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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第5章 森咲杜鷹と雪護喜冬と第2の妄想犯行
23/30

#20 森咲杜鷹と雪護喜冬 前篇

 第5章 森咲杜鷹と雪護喜冬と第2の妄想犯行



【202X 12月27日 PM15:00】

【まほらぎ市民病院】

【残帰還期限??時間】


 う……うん……ここは……

 僕は今、どこにいるんだ……?


 僕――森咲杜鷹(もりさきもりたか)は、ほこ……やぎ町で……金餅邸の事件を解決したあと……萬屋記録局?で赤葉さんから『昨日から寝てないでしょ……』と言われて……僕の部屋で、寝落ちする感じで……現実世界にログアウトした?


 次回の帰還……期限の【202X 12月27日 PM20:00】の表示を見て、ゴーグルを外した……PM20:00!?


 ゴーグルを外した瞬間、喜冬さんに声をかけられて…………今、何時だ?


 僕は今、一体どこにいるんだ?……家か?

 こんな所で寝ている場合じゃない!

 家に帰らなれければ!

 喜冬さん!


 ――起きなければ!森咲杜鷹!


「はっ!――ここは何処なんだ?」

「……病院?」


 液体が入った透明な袋と僕の腕を管で繋がれている状況から――

 今、僕がいる場所は――病院であることはすぐに判断できた。


「あ――!森咲君、目が覚めたんだ!」

「え……と――誰?」

「覚えてないかな?……灯凛――」

「同級生だった天城灯凛(あまぎともり)

「天城……灯凛……あー!灯凛ちゃん?」

「そうそう!思い出した?探偵君!」

「いやいや、久しぶりに会っていきなり、探偵君は……やめてくれよ」

「えー?昔から『僕は将来、探偵になる!』て、皆んなに言ってた人が、何を今さら――」


 天城灯凛ちゃんは、僕の学生時代のクラスメイト。

 何か書いてる系の女子クラスメイトの印象だったのだが、天城さんがなぜ病院にいるんだろう?


「灯凛ちゃんは今、何してるの?」

「見て分からない?――看護師」

「もちろん知ってたさ!――嘘だけどね……」

「ふふふ――とりあえず先生を呼んでくるから」

「……分かった、ありがとう、あ!その前に――」

「今、何時か教えてくれない?」

「――今?、えーと今は15時かな」

「――!?……ありがとう」


 カラカラ――バタン!


 久しぶりのクラスメイトにこんな形で会うなんて……こんな偶然――本当にあるんだな……ん?


 ……そんな呑気な事を考えている場合じゃない!

 妄想犯行計画の再ログイン期限を見てから、半日以上時間が経っているじゃないか!

 しかもあと5時間ぐらいで【ほこやぎ町】の時間が動き出してしまう……


『森咲君……部屋の奥にある【ソレ】、何?』

『それと【あの世界】って、どう意味?』


 あの時の喜冬さんの言葉は、僕の部屋に喜冬さんが居て、僕がゴーグルをかけたその瞬間、背後にいたからこそ出た言葉だ――


 鳴った気がしていたインターホンも――

 喜冬さんがインターホンを押したから鳴っていた……僕はそれを気のせいだと判断してしまった……

 ちょっとした油断で、KokuSouSPCとメガネ型ゴーグルを喜冬さんに見られてしまった可能性は高い……


 僕と同じ推理モノ好きの喜冬さんの事だ――

 自分から進んで事件に巻き込まれに行くなんて事は、恐らくしないだろう。

 でも気になってしまう……喜冬さんが今、何をしているのか?



 僕があの時――ちゃんとインターホンに気づいて、喜冬さんと会話していれば、【ほこやぎ町】で【臭い干物】を使った事件を解決した後に、喜冬さんとラーメンを食べに行くこともできたのに……


 ――喜冬さんを巻き込んでいないと良いのだが……


 喜冬さんを妄想犯行計画に巻き込んだと思ってしまうと――こんなところで寝てはいられない!

 だから僕は、一刻でも早く――帰らないと行けない!


「たんて……森咲さん、先生を連れてきました」

「担当医の夢森です、よろしくお願いします」

「……どうも」

「早速ですが――」

「森咲さん――あなたは昨日、重度の疲労で自宅で倒れて、病院に運ばれました――」

「同僚の雪護さんが昨日、あなたの家にいなければ、あなたは助からなかった」

「――あなたが倒れた原因によっては、私は医者として、然るべき手段を取らないといけません」

「覚えている限りで結構です――」

「あなたが倒れた原因を……教えてくれますか?」


 『五感再現VR型の推理ゲームで、30時間以上ログインした結果――事件を1つ解決してました!』……なんて言えるわけないだろ!


 ――こんな非科学的非現実なゲーム……夢森先生にどう説明すればいいんだよ……


「あー夢森先生――森咲さんは私の同級生で、雪護さんは私の友人なんですが……」

「森咲さんは――萬屋赤葉の事件帳の大ファンらしくて……」

「倒れた日も――前日から倒れる直前まで、萬屋赤葉の事件帳を仕事をサボって見てたそうですよ!」

「しかも仕事の納めの日にですよ!――社会人としてあり得ないですよね?――夢森先生!」


「え?――森咲さん……それは感心できませんね!」

「ははは――すみません……」

「笑い事ではありませんよ!……雪護さんはあなたの事をかなり心配されていました……」


 ――喜冬さん、本当にごめん……


 僕は、ハッピーエンドの未来を掴むため、想いを叶える存在【刻想器】だった小蒼ちゃんと想いの契約をした――


 僕の絶望の未来の原因の1つが――

 喜冬さんだったとしても――

 同僚以上恋人未満の関係であっても――

 喜冬さんを護りたい想いだけは……だから僕は、覚悟を決めたのに……

 今すぐに喜冬さんに会って話がしたい。


「夢森先生!雪護さんと会って――話がしたいのですが!――ダメですか?」

「今日の面会時間もそろそろ終わりなので、難しいですね――電話なら許可できますが……」

「ありがとうございます!僕のスマホは……」

「森咲さんのスマホならそこにありますよ」

「ですが、先に森咲さんの容態を確認したいので――」

「3時間ほどお時間いただきます」

「その後なら病室内での電話は許可しますが、院内マナーだけは守ってくださいね」

「はい!分かりました」


「じゃあ、天城さん……お願いします」

「承知致しました――夢森先生」

「じゃあ、行くよ――探偵君!」



 ――ログイン期限が来てしまうじゃないか……どうしよう……あ、そういえば――


「灯凛ちゃん、雪護さんと友達だったの?」

「そうだけど――知らなかった?」

「えっ?知らないよ――灯凛ちゃんは――」

「僕と雪護さんの関係は知ってたの?」

「――知らないけど、キフちゃんは最近、好きな人ができた――」

「なんて言ってたような気もするけどね……」

「誰かは教えてくれなかったけどね」

「そうなのか……」

「でも昨日、探偵君が運ばれて来た時の情報に――キフちゃんの名前があったからさ――」

「世の中、狭いなーと思ったよ――はい」

「――着きました!」


 天城さんに車椅子を押されて僕が着いた場所は、検査室だった……

「あとは中の担当医さん達に任せて、検査が終わるぐらいに迎えに来るから――」

「ありがとう、灯凛ちゃん」


 こうして僕は、各種検査などを行い――異常無しと診断されたが、大事をとって明日の朝まで入院する事になってしまった――


【3時間後】

【まほらぎ市民病院 個室病室】

【残帰還期限??】


「はい、お疲れ様でした!探偵君」

「もう検査はコリゴリだ……」

「はいはい、じゃあまた何かあったら呼んでね」

「分かったよ――ありがとう灯凛ちゃん」


 カラカラ――バタン!


 今――僕は、迷っている……

 僕の手にしているスマホの画面には、雪護さんの文字が表示されている……


「さてと……勇気がいるな……何から話せば良いのか」


 ――仕事納めの日に会社を休んでおいて、『ラーメンを食べに行こうとしてました!』とか――喜冬さんに口が裂けても言えないしな……


 でも喜冬さんに電話しなければいけないのは、理解している……

 彼女が【気づいていない】と良いのだが……


「よし!僕は覚悟を決めた――!」


 覚悟を決めた僕はスマホの通話マークを押した!


 トゥ――トゥ――トゥルル――トゥルル――


『……はい……雪護ですが……』

「………………………………」

『……森咲君?』

「……そうです、森咲杜鷹です」

『……バカ』

「うん――ごめん……喜冬さん」

『どれだけ私が心配したか……分かる?』

「うん……喜冬さんがいなければ僕は今頃……」

『そういうことじゃない!――』

「ごめん……ほんとにごめん!」

『明日……あの場所で待ってる……』

「あの場所?」

『そう……杜鷹君が一番よく知ってる……あの場所で待ってる』

「……分かったよ、喜冬さん」

『それじゃ、明日ね――杜鷹君』

「うん――喜冬さん」


 ツー――ツー――ツー


「明日……あの場所……僕が一番よく知っている場所?」

「まさか!」


 僕の予想は最悪な形で、的中しているのだろうか……

 でも僕は今、病院から出ることができない……次回ログイン期限まであと2時間――


 ログイン期限が過ぎたらほこやぎ町の時間が動き出し出し、動かない僕を見た赤葉さんたちが混乱してしまう……

 僕は一体、どうすればいいんだ……


 ピロリン!


 うわ!

 こんな時に誰からだ――ん?……小蒼ちゃん?


 妄想犯行計画 再ログイン期限のお知らせのメッセージを開いた僕は、悪い予想が的中してしまったことを改めて実感させられた――


 帰還期限――202X 12月28日 PM12:00……

 護りたい人を――絶対に巻き込んではいけない人を……雪護喜冬さんを巻き込んでしまった――


 僕自身が選択したことに対しての――最悪な結果だ!


 #20 森咲杜鷹と雪護喜冬 前篇 完

 #21 森咲杜鷹と雪護喜冬 後篇につづく

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