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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第4章 雪護喜冬とあの子
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19話 妄想犯行計画からの招待状 中篇

 妄想犯行計画からの招待状  中篇



【202X X月X日 APMXX:XX】

【ほこやぎ町 境界線外 まほやぎプラネタリウム】


「ふっ――あなたの覚悟は分かった……杜鷹(もりたか)があなたの事を大切な人と言っていた意味が、分かった気がするよ。はい、これがワタシが杜鷹に見せた絶望の未来、はいどうぞ!」



 『皆様、森咲杜鷹の絶望の未来、再上映を開始いたします。皆様是非、ご鑑賞ください!』



 絶望の未来の再上映のアナウンスと共に天体観測が上映されていた映像が代わり、森咲 杜鷹の絶望の未来という映像が流れ始めた。

 あまりに残酷なこの映像を見た私は、言葉を失ってしまった。

 それと同時に、森咲君が私の事をどれだけ大切な人として思っていてくれたのか、森咲君の想いを初めて私は知ることができた。

 私が森咲君の部屋で、この世界へログインしている事を知ったら……


「森咲君はどう思うのだろう……」


「ふっ、杜鷹は喜冬の事を大事に思っていた。あの日、杜鷹と喜冬が映画館で観ていた劇場版 萬屋赤葉の事件帳で、萬屋八色からの電話を黒いスマホで萬屋赤葉が電話に出るシーン、喜冬は覚えてる?」


 萬屋八色からの電話に赤葉が出るシーン?

 勿論、私は覚えている。

 あの日を境に森咲君は変わり、目の光が消えてしまった。

 森咲君が、大好きな萬屋赤葉の劇場版だったのに、森咲君が寝ていた理由が、あの時の私には、理解ができなかった。

 でも、森咲君の秘密を知った、今の私なら分かる気がする……


「刻想器さん……いいえ、小蒼さんの仕業でしょ?」

「ふっ、だとしたらあなたはどうするの?」

「私は、森咲君……いいえ、杜鷹君を護るだけ、あなたの思い通りにはさせない!」


「ふっ、あははは! あははは!」

「何が可笑しいの?」


 このタイミングで笑い出すなんて、本当に小蒼さんは、意志を持っているの? 私にソックリの一人の少女……


「喜冬……あなたも杜鷹の絶望の未来に繋がる要因で、あなたが知ってるあの子もまた、森咲 杜鷹の絶望の未来に繋がる要因だからだよ」


「私と私がよく知るあの子が要因? そのことを杜鷹君は知ってるの?」

「ふっ、あなたが要因であることと絶望の未来を見たもうひとりのあの子がいることは、杜鷹も知ってる。あの子の事は、杜鷹は知らない」


 小蒼さんからの衝撃的な言葉に私は今、非常に混乱している。


 小蒼さんが言っているあの子とは、私と同様に推理作品やトリック作品が好きな子で、あの子は今も変わった様子もなく、元気に暮らしているはずだ。


 

「なぜ私とあの子が、杜鷹君の絶望の未来の要因になるのかは、私には分からない……でも杜鷹君の絶望の未来に私とあの子が関係していると知ってしまった以上は、私はそれでも、杜鷹君を護るために後には引かない!」


「ふっ、『後には引かない!』かー、じゃああの日、杜鷹とワタシが何をしたのか教えてあげるよ」


 そう告げた小蒼さんは、あの日、映画館で杜鷹君が眠っていた間、杜鷹君と小蒼さんが何をしていたのかを私に語り始めた――



「刻想器だったワタシは、あの日……このプラネタリウムで、森咲 杜鷹とハッピーエンドを掴む覚悟の契約をした。ワタシたち刻想器は、強き想いを持つヒトと出会い、そのヒトと想いの契約をすると、契約者の想いの強さによって、人格と姿が変わる」


 想いの強さで人格と姿が変わる? 私の目の前にいる、小蒼さんは10年前の私の姿に似ている。


「ふっ、ワタシが、喜冬の10年前に似ているのは、杜鷹と想いの契約を結んだ時に、同僚で片恋相手のあなたと劇場版萬屋赤葉の事件帳のトリック妄想ばかりしていたから……」


 ―え? 私とトリック妄想?


「ふっ、だから小蒼は……ラッキーな刻想器だ。刀や大樹にされなくて良かった……」


 何が、ラッキーな刻想器よ! 杜鷹君の体と心を傷つけて、限界まで追い込んだのに!


「でも私は……10年前の私と杜鷹君と会ったこともないよ」

「ふっ、それはあなたと萬屋赤葉の年齢が混ざったから、ただそれだけ……」



 『ただそれだけ』って……私は今、何故ここにいるのだろうか? 本当に心配して、損をしてしまった気分だ……でも私はどうしても納得できないことが一つだけある、杜鷹君が倒れた直接的な原因だ。


「小蒼さん、杜鷹君はどうして倒れたの?」

「ふっ、喜冬もモリタカと同じ様に人に答えを求めるだけで、自分で考えないタイプ? ポーチの中に白いスマホが入ってるよね?」

「ポーチ? いつの間に。えーと、スマホの画面は……と、まさかと思うけど……杜鷹君が倒れた原因をスマホから探せということ?」

「ふっ、正解……妄想犯行計画のゲームルールが設定画面のヘルプから読める」


 小蒼さん言う通り、私は妄想犯行計画のゲームヘルプを見つけて開いた。


 【妄想犯行計画のゲームルール】


 1.ほこやぎ町以外のエリア移動は禁止。


 2.【探偵ヘルプについて】

 萬屋赤葉などの探偵を呼出ができる機能。

 ただし、Aの事件で探偵ヘルプを使用した探偵は、事件解決後はお手つき状態となり、Bの事件を解決するまでは、呼出不可。

 探偵ヘルプの探偵は、犯人を暴き出す権利はない。


 3.【時刻表示について】

 現在時刻は、妄想犯行計画内の時刻。

 現実時刻は、契約者の住む世界の時刻。

 妄想犯行計画にログイン中は、現実世界の時刻は進まない――逆の場合も同じ。


 4.【各事件の解決期限】

 現実世界換算で七日間の168時間。


 5.【ログイン義務】

 妄想犯行計画の暴く側のプレイヤーは、一日1回は、必ず妄想犯行計画を起動しないといけない。

 ログアウト時から次回ログインをするまでに、二十四時間を超過してしまった場合。

 ペナルティとして、超過した時間分、妄想犯行計画内の時間が進む。


 6.【ログアウトについて】

 基本的に一部条件を除き、任意のタイミングで可能であるが、ルール3に注意。

 事件解決期限が24時間を切る場合は、ログアウトできない。


 7.【暴く側のプレイヤーのゲームオーバー条件】

 事件を暴けない場合。

 事件の解決期限を過ぎた場合。

 妄想犯行計画内で死亡した場合。



 8.【妄想犯行計画について】

 この世の理とは違う概念で作られた推理ゲーム。

 この世の理で作られたモノでは、妄想犯行計画を記録、生配信することはできない。


 9.【ゲームクリアの条件】

 自身の未来を選択し、自身の未来の壁なるものを越えた時、未来への道は開かれる。


 警告.【妄想犯行計画を解析しようとした場合】

 暴く側のプレイヤー又は、暴かれる側のプレイヤーは、強制的にゲームオーバーとなる。


 以上のルールが破られた場合は、暴く側、暴かれる側を問わず、最悪な未来が訪れるであろう。


【閉じる】


 妄想犯行計画のゲームルールを確認した私は、ゲームルール3とルール4が原因んで、杜鷹君が倒れたのではないかと考えた。


 つまり杜鷹君は、適度にログアウトして現実世界で休息を取っていれば倒れることは無かった……

 しかし、今の私はメガネ型VRゴーグルを通じて、意識と五感が全て妄想犯行計画内にある。

 この空に浮いている感覚を杜鷹君も同じ様に感じていたのだとしたら、気持ちが分からなくもない……



「ゲームヘルプを読んで分かった事がある。小蒼さん、あの子が暴かれる側でしょ?」

「ふっ、なぜ分かったの?」


「私は、推理作品とトリック作品の鑑賞と考察、オリジナルトリック作りが好き。あの子もね」


「私とあの子は、推理ドラマを観ながら、オリジナルトリックを考えて遊んでたからね。杜鷹君が、ログアウトを忘れてしまう程、推理に熱中できるトリックを組めるのはあの子しかいない!」


 萬屋 赤葉の事件帳はフィクションの枠を最大限活用したトリックが売りの推理作品だ。

 私とあの子もレアグッズを持っているぐらい、好きな推理作品、だからあの子が、暴かれる側のプレイヤーである可能性は、容易に推測できた。

 杜鷹君があの子を知るはずもない……逆も同じなように……


「ふっ――喜冬は賢いね……そう、ワタシがあの子が、普段使用しているあの高性能PCへ妄想犯行計画の暴かれる側バージョンをこっそり入れた時に、あの子は直ぐに気づいた。

 それから躊躇うこともせず妄想犯行計画を起動させ、ある利用規約に同意して、第1の妄想犯行を組み始め、あっという間に作り上げた第1の妄想犯行のステージ解放ボタンをクリックした」

「ある利用規約? あの子は利用規約をちゃんと読んだの? 」

「ふっ、読んでた……と言うより、あの子の利用規約は、杜鷹とは違うあの子自身に訪れる絶望の未来であり、あの子はそれを見て、何食わぬ顔で……」

「利用規約に同意したのね?」」

「ふっ、正解」


「あの子が組んだ第1の妄想犯行を、杜鷹君は暴けたの?」

「ふっ、暴いたよ、1回もログアウトせず、20時間以上かけてね」


 昨日の仕事の納めの日に、会社を欠勤した杜鷹君の家で、メガネ型ゴーグルを掛けていた杜鷹に声をかけた時、杜鷹君はすぐにメガネ型ゴーグルを外して、私の声に驚いていた。


 妄想犯行計画のゲームルール通りなら、私が声をかけたあの一瞬で、杜鷹君は妄想犯行計画内で、20時間以上の時を過ごして、事件を暴いた事になる。



 ――私の1秒が、杜鷹君にとっては、20時間以上、並大抵の精神力では持たないよ……杜鷹君。


「まさか……こんな事になっていたなんて、私は全く知らなかった。でももう1つ、小蒼さんに聞いてもいい?」

「ふっ、何? 雪護喜冬」

「あなたは……小蒼さんは、何が目的なの?」


 私には、ハッキリさせておきたい事がある。


 それは小蒼さんの目的である……



 19話 妄想犯行計画からの招待状 中篇 完

 20話 へつづく!

2026年3月19日(木)一部内容を改訂しました。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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