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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第3章 萬屋赤葉と匂いのトリック
14/30

#11 匂いのトリック 解決篇 Part.1

【妄想犯行計画】は、創作世界の物語です。

この物語はフィクションです。

実在の人物、団体、事件、出来事とは一切関係なく、すべて架空のものです。

【202X1月X日 AM10:00】

金餅かねもち邸 客間】

【残解決時間141時間】



「家政婦の【――――】さん、あなたが金餅さんを殺めた犯人だ!」



「はぁ?いきなりなんなの!?私が……金餅様を殺めた――証拠はあるの?!」



【Moritaka.(杜鷹さぁ)】

【Is there any basis for claiming this person is the culprit?(この人が犯人である推理と証拠あるの?】



「もちろんあります、これからお話しします」



 ――小蒼(こそう)ちゃん、さりげなくこういう細かいUIを入れてくるよな……


 探索篇の終盤。

 初老の資産家で、匂いの特異体質を持つ金餅 良緒(かねもち よしお)さんが、自宅邸内の書斎室で――命の灯火が消えた状態で発見された。



 萬屋記録局(よろずやきろくきょく)の局員である僕――森咲 杜鷹(もりさき もりたか)は、邸内に設置されている近未来換気設備【K.S換気システムコクソウカンキシステム】の管理ログからK.Nという人物が――事件前日の20時30分に網膜登録をしていた履歴を発見した。



 萬屋記録局長の萬屋 赤葉(よろずや あかは)さんの姉であり、警察キャリア組でもある萬屋 八色(よろずや やいろ)警視にK.S換気システム(こくそうかんき)である頼み事をしたあと――赤葉さんと僕が雑談しながら書斎室に戻ったところで、終わったと思う――



「警察でもないあんたが――そこまで言ってきたということは――」

「もし違ってたら、その時の覚悟は、当然できてるんでしょうね!」

「もちろんです!【――――】さん」

「聞かせてもらおうじゃない――!」



 ここからは【仮想の五感探偵かそうのごかんたんてい】としての僕が、金餅さんを殺めた――【――――】さんと赤葉さんたちに話した推理――

 それでは聞いていただこう――



【202X 1月X日 PM20:00 】

【ほこやぎ町 萬屋記録局 】

【残解決時間 155時間】


 事件の場である金餅邸は、安全面を考慮して立ち入り禁止となっており――赤葉さんたちと僕は、事件についての情報を共有するため――今、萬屋記録局にいる――


「――モリタカくんは、金餅邸の家政婦の初老の家政婦さんの北宮さん――君と赤葉がすれ違った2人の家政婦――東絵さんか西坂さん」

「3人の家政婦さんの中に、金餅さんを殺めた犯人がいるというの?」

「モリタカくん――我々警察は、確たる証拠がなければ、殺めた人間を逮捕することはできないわ」

「その意味と覚悟を理解した上で、キミは私たちに話をする――」

「――という認識で、いいのかしら?」



 そう――これは決してゲームなんかじゃない。

 現実世界では――ただの普通のサラリーマンである僕が、想いを叶える存在【刻想器】だった――小蒼ちゃんと、ハッピーエンドの未来を掴むため、【想いの契約】をした――僕の想いを具現化したもう一つの現実。


 それが、【仮想空間 妄想犯行計画 ほこやぎ町】。



 ただ、普通のVRゲームと違うのは――

 この世界が――【萬屋 赤葉の事件帳】の【ほこなぎ町】を再構築した世界であるということ。

 ほこやぎ町の住人――森咲 杜鷹として、五感を再現された状態で――生きている。



 犯人を間違えることなど、絶対にあってはならない。

 ましてや――ただの一般人の僕が、推理を間違えたら警察組織の信用問題に繋がってしまう。

 だから八色さんは、覚悟の問いを僕にしているのだ――



「八色さん……僕は――どんな理由があっても人を殺めることはあってはいけない――だからこそ……完璧な犯行と見せかけて、金餅さんを殺めた犯人を――僕は許せない!」

「金餅さんを殺めた犯人は、僕が暴きます!」



 人を殺めることはどんな理由があれ、あってはならない。

 例えそれが、仮想の現実の住人だとしても……

 殺めるという選択をした時点で、罪を暴かれる未来は犯人自身が選択した結果なのだ――

 だから僕、森咲 杜鷹は――犯人を暴く。



「……なるほどね、キミの覚悟は分かった」

「私もキミと同じ考え――一人の警察官として、一人の人間として――」

「だから君の推理――聞かせてくれる、モリタカ君」

「はい、分かりました――まず――」



 僕の視界に写る現在時刻の下に表示されていた――帽子を被り虫眼鏡を持ったアイコンが、帽子を被った吹き出しがついたマークに変わった。

 つまり今から探索パートではなく、推理パートに変わったということだろう。

 ――分かりやすくて助かるよ――小蒼ちゃん。



 八色さんたちに僕が――推理を説明する方法。

 それは、八色さんたちからの問いに僕が答える方式であった――

 これは【萬屋 赤葉の事件帳】の作品内でも、明堂さんか八色さんが――必ず赤葉さんに質問して、赤葉さんが推理を答えるのと同じ。

 この世界における赤葉さんの役割は、僕ということだ――

 だからこそ、間違いは絶対に許されない……セーブとロードがない――やり直しが一切できないこの状況、緊張感で余計に僕の手が震える……



 まずは、赤葉さんの質問から始まった。

 最初の赤葉さんの質問は、邸内に入った際に僕が感じた【残り香】についての質問だった――


「今日の朝――私とモリタカが、家政婦さんに案内されて邸内に入った時、匂いがどうとか言ってなかった?」

「はい、それは――」



 あの時、僕が嗅いだ匂いは――ほんのりと残る魚の生臭い匂い。

 【残り香】だと僕が思ったのは、すぐに匂いが消えたからだ。



「残り香か……ていうかさ――なんでそんな大事なことを先に言わないわけ?」

「赤葉さんは、先に進んで行ってしまったので…………」

「……たく、悪かったわね――でも次からはちゃんと情報は共有すること――分かった?」

「はい――分かりました、赤葉さん」



 ――正直に『嗅覚が無いかと思いました!』なんて言葉――赤葉さん達には、口が裂けて言えないよ。



 次に僕に質問をしてきたのは、明堂警部だった。


「モリサキ――確かにホシは特異体質持ちだったよ――」

「金餅さんの命の灯火が消えた推定時刻は、今日の【朝9時過ぎ】――灯火が消えた原因は、金餅さんの特異体質によるものだ――」

「ホシの今日の出勤時刻は、命の灯火が消える時刻の1時間前の午前8時」

「自分以外の家政婦さんがいる状況の中でホシが、トリックを行う時間はない――金餅さんをホシが殺めることはできんぞ」

「だから【――――】さんは、自分の特異体質と【K.S換気システム】を利用して時間差トリックを利用して、金餅さんを殺めたんです――」



 そう、このトリックは時間差トリックだ――

 K.Nさんが前日の20:30に管理者権限でログインした際に残されたログを僕が見た際に、僕は仮想空間内のコントローラーの役割を持つ白いスマホで――

後から見返すことができるように、換気設定の画面を写真で撮影していた。



 書斎室で金餅さんの命の灯火消えた時間のK.S換気システムの設定は――

 キッチンは【吸気】、書斎室と外部は【排気】、それ以外の部屋と廊下は【換気】に設定されていたのだ――


 匂いの特異体質を持つ金餅さんが、【換気】ではなく【吸気】という設定をするだろうか?

 しかも書斎室のみ【排気】から【換気】に1時間後に自動的に切り替わる追加設定もされていた――

 つまり赤葉さんと僕が、邸内に入ったタイミングと【換気】に切り替わったタイミングは同じだったのだと考えた場合。

 僕が嗅いだ、【すぐに消えた残り香】の匂いは、換気システムによって外に排気された匂いの可能性が高い――



「モリタカ君――さすがね」

「あの換気システムのログからそこまで考えるとはね……でもそれだけではダメ、君なら分かるわよね?」

「はい、八色さん……確たる証拠ですね――」



 そう確たる証拠、物的な確たる証拠がなければ、このトリックは成立しない――



 プルル!プルル!プルル!


「――こちら明堂……なんだって?……そうか分かった……」

「モリサキ、おまえの読み――当たってるかもだぞ」

「あんな臭い干物、家政婦が焼くなよ……」



 そう【――――】さんが、トリックで使ったモノ。


 魚の干物だ!


 #11 匂いのトリック 解決篇Part.1 完

 #12 匂いのトリック 解決篇Part.2につづく。

匂いのトリック 解決篇Part.1を最後までお読みいただきありがとうございました!

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