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「あの、今日行きたいお店があるんです。駅前に新しくカフェができたらしくて、すごくおいしいって聞いて⋯⋯⋯北川さん?」


反応がないのを不思議に思って、ちらっと彼のほうを向くと、一瞬遅れて目があった。


「あ、すみません。カフェいいですね。行きましょうか」


「⋯はいっ」


やっぱり何かあったんだろうか。

挙動不審な様子に首をかしげつつ、私は素直についていった。


           *



カフェのドアを開けると、涼しげな風鈴の音とともに店員さんの「いらっしゃいませ」という声が耳に入ってきた。


いかにも女子高生に人気がありそうな、つまりはインスタ映えしそうなお店だ。


「わぁ⋯おしゃれですね!どうしよう~何頼もうかなぁ⋯北川さんはどうします?」


「んー、オムライスランチにしようかな⋯」



(オムライスランチだって⋯!)


子供っぽいだなんて思うのは年上の人に対して失礼だとは思うけど、ちょっと笑ってしまった。何か、かわいい。


私が笑ったのに北川さんは気づいたのか、「あ、やっぱりこれに⋯」と言いかけた。


「⋯私も同じのにします」


笑顔で北川さんの方を向くと、今日初めての柔らかい笑顔が返ってきた。


「じゃあボタン押しますね」


「あ、やっぱり俺ハンバーグランチにしよ」


え!?


突然の変更に戸惑っていると北川さんは、


「そしたらシェアできるでしょ?」


と涼しい顔をして言った。

これといった表情の変化は見られないからきっと、純粋に思ってのことだろう。


だけど⋯!!


意識しちゃった自分が恥ずかしくて、そっとうつむいた。


(恐るべし天然⋯)

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