第一話 家族
私の家族は、父方祖父・父方祖母・父・母・私・弟の六人だった。
父方祖父に関しては、まだ幼い時に亡くなったこともあってか、ほぼ記憶にない。部屋のドアを開け、笑顔でよくお菓子をくれた記憶がある。
後は、泣かされた記憶もあるか。理由は覚えていない。父方祖母が近くに居た風景が記憶に残っている。
亡くなったのは、酒の飲み過ぎが原因だった。入院しており、苦しんでいたと聞かされたような気がする。父からだったろうか。母からだった気もするし、思い出せない。記憶はあいまいだ。
父方祖父は、建築業を営んでいた。そして、父方祖父の息子二人つまり父・父方叔父が、その下で働いていた。が、早くに亡くなったことで、父方祖父の長男つまり父が後を継ぎ、父方祖父の次男つまり父方叔父がその下で働くことになった。
父は、確かまだ二十代後半だったと思う。その若さで、一家を養っていくことになったのだ。長年、そのことに何も思わなかったのだが、私も良い歳になり、大変だったのではと思うようになった。
そして、今思うと恵まれた家庭だった。子供の頃は他人と比較することがなく、自分が恵まれているかなどは考えもせず、分からなかったが、世の中には色んな家庭がある。
父・母が働き、収入を得て、一家が不自由なく生活していくことができた。私・弟は学校に通うことができた。父方祖母は、家事をこなしてくれていた。
私は、反省しなければならないことがある。毎日、美味しい手料理が出てくるのを、当たり前にように思っていた。台所・洗面所・浴室・便所・部屋・廊下などが綺麗であることを、当たり前のように思っていた。いつも綺麗な上着・下着・靴下・タオルなどがあることを、当たり前のように思っていた。
感謝しなければならず、なのに、そんな考えがなかった。自分でやるようになり、それからだいぶ経ち、良い歳になってから、ようやくそんな考えが思い浮かんできたのだった。




