第5話 愛とビールとビチビチの腹
夢か──
俺の首が、プウラ王女のおならで吹き飛ばされるという夢を見ていた。
目覚めると、現実でも“漏らして”いた。
「あー……」
俺はため息をつきながら、パンツをゴミ箱に放り投げた。
パンツはまた買えばいい。問題ない。
けれど、胸の奥に小さな不安が残った。
もしかして、冷房で腹を壊した程度では、
いや、どんな腹痛を抱えていても、俺はプウラ王女に勝てないのかもしれない。
米が固くて油まみれのチャーハンを食べてお腹を壊しても、
それでもなお、プウラ王女のおならには敵わない気がしてならなかった。
勝つには、どうしたらいいのか?
考えても答えが出なかった俺は、とりあえず「金だわし」で顔を洗い、
夜のフィリピンパブへと足を向けた。
「いらっしゃいませ〜!」
「キャサリン、いるか?」
「はい、少々お待ちくださいませ」
待っていると、青い目をしたキャサリンが現れた。
俺は彼女の前に座り、グラスを傾けながら切り出した。
「キャサリン、ちょっと相談があるんだ」
「なあに? しまさ」
「俺、プウラ王女と決闘したいんだ。だけど、おならが強すぎて、勝てる気がしない」
「ふふっ、プウラ王女と決闘なんて、あなた、男らしいわね」
「対抗するには、俺もお腹を“ビチビチ”にしないといけない。
どうすれば、最大限に腹を壊せるんだ?」
キャサリンはウィンクしながら、グラスを軽く持ち上げて答えた。
「毎日、ビールを浴びるように飲むといいわよ。腸にくるから」
「なるほど……ありがとう。じゃあ、これから毎日飲みに来て努力するよ」
「うん♡」
「やっぱり俺、モテるんだな」
「ふふっ、少林寺拳法で鍛えた胸、触ってもいい?」
「いいぜ、ほら──固いだろ?」
「うん、かっこいい♡」
それから半年──
しまさは毎晩パブに通い、ビールで胃腸を鍛え抜いた。
そしてついに、お腹のコンディションは“完全”となった。
「才能じゃない、愛の力で勝つんだ…!」
しまさの瞳には、燃えるような闘志が宿っていた。
決戦の日は近い。
その先に待つのは栄光か──あるいは、再び吹き飛ばされる未来か。




