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第4話 努力は、才能に勝てない

それから3年が経った――。


しまさは、仕事から帰ると毎晩、クーラーの効いた部屋で

Netflixを観ながら腹のコンディションを整える日々を送っていた。


冬でも薄手のシャツ一枚。時折、

パンツにうんこが付いてしまうこともあったが、気にしなかった。


「これは、努力の証だ。汚くなんかない」


その確固たる信念と共に、彼は静かに、

そして着実におならの力を鍛え続けていた。


「よし、準備は万端だ」


ついにリベンジの時が来た。

しまさは、カモシカのような軽やかな足取りで

王宮の城門へと向かった。


「プウラ王女に、おなら決闘を申し込みたい」


堂々としたその声は、風に乗って王女の耳に届いた。


「……どこの不届き者かしら。私におなら決闘を申し込むなんて」


プウラ王女は不敵に笑った。


「ふふっ、あんたは3年前、私に完敗した惨めな男ね」


「俺はあのときとは違う」


しまさは少林寺拳法で鍛えてきた拳を握り、目を燃やす。


王女は優雅に微笑んだ。


「いいわ。受けて立つ。おなら決闘は1週間後。

せいぜい、お腹のコンディションを“最悪”に仕上げておくことね」


「今からでもいいぜ……だが、1週間後だな。楽しみにしてるぜ」


そして、決闘当日――。


王宮の広場は冷蔵庫に入りきらなくなったマカロニサラダのように、

溢れんばかりの観客で埋め尽くされていた。


「勝負、開始ッ!!」


審判の合図とともに、戦いの火蓋が切って落とされた。


まずは、プウラ王女のターン。


「ブウゥ! ブウゥ! ブウゥ! ブウゥゥゥゥゥ!!」


轟音。大地が震え、

鳥や虫が一斉に鳴き出した。


「ミンミン! ピヨピヨ! ガチャガチャ!」


観客は息を呑む。


「おぉぉぉぉ……! 地鳴りのような音!

今日ここに来られて本当に良かった! これはもはや芸術だ!」


続いて、しまさの番がやってきた。


「プゥ…プゥ…プゥ… ビチビチ……アー」


またしても――漏らしてしまった。


広場に、沈黙が走る。


「俺は3年間、何をしていたんだ……」


しまさは膝をついた。


プウラ王女は静かに、だが厳しく言い放った。


「あんたには死んでもらうわ」


おならの推進力で一気に空を飛び、

しまさの前へと舞い降りると、王女は尻をかまえた。


「ブウゥゥゥ!!!!」


その刹那、しまさの首が吹き飛んだ。


静寂。


努力は、才能に勝てない。


それを、この日しまさは身をもって証明したのだった――。

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