第3話 3000万円のベントレー、運転できず
「しまさ、また車買ったのか?いくらだった?」
車を買った次の日、トクマルがそう聞いてきた。
「ベントレーのコンチネンタルGで3000万だ。安いだろ?」
しまさは軽く笑って答える。
「……ああ、コンチネンタルGで3000万は確かに安いな。
でも、お前、免許失効してるだろ?どうやって運転するつもりなんだ?」
「日本では飲酒運転で免許を失ったが、
ここは ガスリア王国だ。ここならまた取れるはずだよ。」
「なるほどな。まずは免許の手続きからだな。俺はこれから仕事があるから帰るわ。またな。」
「おう、元気でな。」
軽やかな足取りで歩き出すしまさ。
その足はまるでカモシカのように細く、どこか無敵感すら漂っていた。
やがて、しまさは免許センターへと足を運ぶ。受付には小太りの女性職員がいた。
慣れた手つきでパソコンを操作しながら言う。
「あなた、日本で免許を失効してますね? ガスリア王国では、
国外で失効した免許のある方には免許を発行できない決まりなんですよ。」
しまさは肩を落とした。だが、すぐに前を向く。
「まぁ、不況になったらベントレーを売ればいいか。問題ないな。」
そのとき、スマートフォンが震えた。トクマルからの着信だった。
「しまさ!プウラ王女に勝つ方法がわかったぞ!」
「本当か!? 教えてくれ!」
「いいか、クーラーでお腹をビチビチにすればいいんだ!
お前は今まで牛乳やスパイスで無理に腹をビチビチにしようとしていたから負けたんだよ!」
「……さすがトクマルだな。」
しまさはすぐにエアコンを20℃に設定し、Netflixを起動する。
「今度こそ勝つ。ありがとう、トクマル。」
その目には、王女へのリベンジに燃える静かな闘志が宿っていた。




