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第2話 冷製牛乳スープの悲劇

「プウラ王女に、おなら決闘を申し込みたい」


男はそう言い放ち、堂々と城門に立った。名をしまさという。


守衛は呆れたように鼻で笑った。

「お前のような小者が、プウラ王女におなら決闘を挑めるわけがないだろう。

身の程をわきまえろ!」


しかし、その声は王女の耳に届いていた。

「いいわ、受けて立つわ」


その一言に場がざわつく。


「王女、しかし……!」守衛が慌てて制止しようとする。


「ただし、負けたときは覚悟しておくのね?」王女は静かに言い放った。


しまさは険しい表情でうなずく。


「ああ、打ち首でも何でも、好きにしろ」


王女は微笑みながら言った。


「おなら決闘は1週間後。せいぜい、お腹のコンディションを最悪に仕上げておくことね」


そして彼女は、軽く力を込めて一発。


「ブウッ!」


その音は地鳴りのように響いた。


しまさは愕然とする。


「か、かんべんしてくれ…。こんな音、聞いたことがない…。

まるで腹の中でダイナマイトが爆発したようだ…」


決闘当日

ついに、おなら決闘の日がやってきた。王宮の広場は冷蔵庫に

入りきらなくなったマカロニサラダのように大勢の人で埋め尽くされていた。


審判の合図で勝負が始まる。


「勝負、開始!」


まずはプウラ王女が放つ。


「ブウゥゥーーーーーッ!!!!」


観客がどよめく。


「おおぉーーっ! なんという破壊力…! 今日ここに来られて、

本当に良かった…! 伝説のおならを聞けるなんて…!」


しまさの番が回ってきた。


「プ……ビチビチ……」


沈黙が流れる。


観客の失笑が響いた。


「なんだそのおならは! 惨敗だな……」


しまさはうなだれた。


「くそ…惨敗だ…。1週間、冷製牛乳スープで腹を壊したというのに…

まさか本番で漏らすとは……情けない……」


プウラ王女は厳しく言い放った。


「あんたには、死んでもらうわ」


守衛に命じる。


「こいつを、連れて行きなさい」


「承知しました」


守衛に連れられながら、しまさは叫んだ。


「ゴキブリ!」


俺が投獄されてから、幾日が経った。

牢獄での生活は、まさに地獄だった。


米はふやけきっていて、スパイスのひとつも感じられない無味な食事。

かつて俺の腹を刺激し続けたビチビチ感は、今や完全に沈黙していた。


ある日、いつものように牢屋のNetflixでアニメを観ていたときのこと。

画面越しに聞き覚えのある声が響いた。


「しまさ、助けにきたぜ!」


振り向くと、そこには懐かしい顔。

トクマルだ。かつて共に苦楽を乗り越えた、相棒だった。


「お前を脱獄させるために、看守に2000万円払ってきたよ」


「安いな」と、俺は返す。


「邪魔する奴らは全員、少林寺拳法でぶちのめしてきたぜ」

トクマルの瞳には、確かな覚悟と正義のスパイスが宿っていた。


「少林寺拳法は、やっぱ無敵だな」

思わず笑みがこぼれる。


「脱獄したら、また一から修行しないとな。

俺にはまだスパイスが足りない気がするんだ」


「そのことなんだがな」

トクマルが少し真面目な顔になった。


「料理のスパイスは、控えめのほうがいいんじゃないか?

プウラ王女は、深夜のお菓子と不摂生な生活で、

あの伝説級のおならを生み出したって話を聞いたことがある」


「そうか、スパイスに頼りきるのではなく、爆発力のあるおならには、

日々の努力が必要っていうことか」


でもまずは一歩ずつ。


「よし、脱獄したらまずは車を買いに行くか!」


笑いながら俺たちは、暗い牢を抜け出した。

この先の道のりがいかに険しくとも、仲間がいれば乗り越えられる。

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