第21話 俺に任せておけ!
アイリが話していると、しまさはずっと黙って頷いていたかと思うと、唐突に話を遮った。
老人病のように人の話を聞かず、
「つまり…そういうことだな」「アイリの言うことはよく分かるぞ」と自己完結した。
その言葉から、しまさが本当に理解しているのか疑わしく感じられたが、
しまさが怒っているわけではないと分かり、アイリはほっとした。
「俺に任せておけ!」
その声を聞いてしまさが頼もしく思われ、
昨日までこんなに絶えず優しい男を殺そうとしていた自分に腹が立った。
しまさは一瞬悲しげな表情を浮かべ、低く言った。
「昔、キャサリンという女を愛していた。俺の弱さで彼女を失った。
相棒のトクマルも、俺の不注意で死なせてしまった。
だから今度は、お前を死なせるわけにはいかない。」
小さな声だったが、語気は強く、熱がこもっていた。
そのとき、マスクを付けた組織の者らしき一団がこちらに向かって近づいてきた。
しまさは構えを崩さず、鋭く吠えるように短く言った——「任せろ!」
敵の一人が前蹴りを放ってきた。しまさは回し受けで攻撃をいなし、相手の重心を崩すと、
間合いを詰めてすかさず右手で突きを入れた。突きの軌道を利用して相手を突き飛ばし、
続けて低い位置からの前蹴りを返す。受→突→蹴の連係は無駄がなく、タイミングと体重移動が正確だった。
最初の相手は咳き込み、膝をついてその場に崩れた。
続けて二人が同時に襲いかかる。しまさはまず一人の腕を絡めて制し、
相手の肘に自分の体重と回転の力を乗せて関節をねじるようにし、腕を折った。
もう一人には右足を軸に瞬時に踏み込み、左手で顎を突いて勢いを止めた後、
相手の溝内に中断を入れるように急所を突き、動きを止めさせた。
二人が床に倒れるまでの一連は、素早く、かつ余計な力を使わない合理的な動きだった。
以前のように「おなら」に頼る戦い方は、もうできなかった。
トムちゃんとの戦いで肛門を損傷しており、医師からは無理をするとおならをしたうんこができない身体になると止められているからだ。
「アイリ、俺とお前は鏡合わせだ」
その言葉が響く中、腹の出たスーツをだらしなく着た男が、
ゆっくりとしまさへ向かって歩み出てきた。




