第12話 来世で、もう一度あなたと
ここは……どこ?
暗闇に包まれた意識の中、私はふと悟った。
「そう…。私は死んだのね」
不思議と怖くはなかった。むしろ、どこか清々しい気分だった。
しまさと過ごした、あのたった一ヶ月。
私の人生の中で、一番幸せな時間だったわ。
思い返せば、今までの人生はろくなものじゃなかった。
家柄も良くない。学歴もない。
何もなかった私が唯一逆転できるとしたら冒険者しかない。
そう、それだけが、私に残された希望だった。
でも私の希望も叶わなかったのね。
報われないことこそもあるのが人生よね。
でも、これでいいのよ。
心がすさんでいた私に、しまさはそんな気持ちでこのダンジョンに来た私の「青い目」のことを、
「まるで宝石のように綺麗な瞳だ」
そう言って、初めて褒めてくれたの。
誰も、そんなふうに言ってくれたことなんてなかった。
この青い目を気味悪がって、家族にすら捨てられたというのに。
もう少し、彼のそばにいたかったな……。
だけど、これでいいのよ。しまさには、世界を救うという大きな使命がある。
私と一緒に暮らしていたら、きっと彼は冒険者をやめて、
小さな町で平穏な日々を送ることになる。
それって、確かに「幸せ」かもしれないけれど──
「刺激」が足りないわよね。
そう、それはまるで
「タマネギの入っていないポテトサラダみたいなものよね」
私は、先に行くわ。
死後の世界で、あなたをずっと待ってる。
来世では、今度こそ結婚しましょう。
だから、私の死を悲しまないで。
しまさ。あなたが笑ってくれるなら、それで十分なの。
そうそう、最後に、あなたに贈り物があるの。
これは、私の“加護”
あなたに託すわ。
名を『エンチャント・エヴァーレイス』
「決して、愛を忘れぬ者に宿る力」
またね
──アンドレアス・メアリより




