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夢の中で


真っ青な空。ふわふわとした足元。なんだか雲の上にいるようなーーー。

あ、夢か。

夢と自覚したところで目にしたものは。


THE☆土下座


「すみませんでした」

「え?」


なんか金髪の多分ナイスバディの方が目の前で土下座して謝ってきた。


「私の世界の子が、貴方に承諾もなしに勝手に召喚をしてしまってすみませんでした。

元の世界にお戻しすることも試してみたの。

でも貴方の力が思いの外ここと親和性が高くて引き離すのが難しくて…。

こちらからのサポートはできる限りさせてもらうから何卒許してぇ」

「あの、とりあえず土下座は止めていただいて自己紹介をお願いできますか?」


いや、ここの神様的存在なのは感じているんだけどね?ちゃんと話す為にも確認はしないと。

私の言葉で神様(仮)は顔をあげた。


「…許してくれる?」


それは内容次第かな。という思いをこめてニコリと微笑みかけると、神様(仮)はいそいそと居ずまいをただした。


「私ったら取り乱してしまってごめんなさいね。お茶でも飲みながらお話しましょう。」


いつの間にかお茶とお菓子が乗ったテーブルセットが現れていた。まぁ、夢の中だしね。

ということで説明の内容をざっくりと。


まず、目の前で土下座かましたこの神様(仮)は正真正銘神様で、ここの世界を統括する女神アグリナ様と名乗られた。

見た目は金髪長身ナイスバディで私があちらの世界の書物やらで認識している所謂神様的な衣装を召している。お顔は薄布がかかっている為見えないがおそらく美形。

私が召喚されたのは、この世界の更なる安定の為。

本来なら然るべきときに夢を通して説明をし、了承を経た上で迎える予定だったらしい。

なのに先走ってあのたわけ者(アグリナ談)が召喚を行い、尚且つ従属までさせようとしたというわけだ。


それから聖人召喚の歴史?を語ってくれた。


この世界のなりたちとして、地球から召喚されたものがもつ魔力的なものの余剰分が、世界に還元されて現世の維持と繁栄に役立つシステムがある。

今回の事件(?)の元凶であるあの現王家の阿呆の一族のはじまりは、アグリナ様が地球の人間を召喚をさせるためにある程度の魔力を持った人間の中から適当に選出し、神託を下した者。

それを人間サイドが勝手に「女神に選出された人間」と祭り上げ、王族なんぞというものにした。

アグリナ様は神託時に「召喚を行う際には神託を下す」といった基本的なことから、「召喚されてきたものに対しては丁重に扱い、自由・意見を尊重すること」といった、こちらに呼ばれた地球の人間に不利益が生じないような事由も伝えたとのこと。

よばれる人間は、年齢は18~30歳程度で性別は括りはなく男女どちらもおり、いずれもこちらの世界での役割諸々を女神様が説明をし、了承を得た上での召喚であった。

召喚後も丁重にもてなされ、王城でゆったりと過ごす者もいれば市井で暮らすものもおり、また世界中を冒険するものもいた。

初期300年ほどはなんの問題もなくこのシステムは稼働していた。

地球の人間の寿命を考えればわかる通り、召喚は50年毎に一度のペースでなされてきた。

人間は忘れていく生き物である。

こちらの世界の人間も然り。

伝承や伝記が残っているにも拘らず、それを忘れ、又は眉唾ものと思い込み、「やらかす」人間はどこにでもいる。

聖人、つまり地球人はこちらの世界では得られないような知識を持ったものが稀にいた。

その知識がもたらす利益に目がくらんだものが出始めたのだ。

前聖人が生きているのにも関わらず、更なる利益を得ようとアグリナ様の神託を待たずに召喚が行われるようになった。

女神様がそれに気づいたのは、そろそろ次代の選出をと下界を見たときだった。

100年の間に、呼ばれてしまった相当数の地球人。

気付いた直後からまずは召喚陣が作動しないよう手配、地球サイドの神に謝罪をしたり、事後処理にあたっている間に数百年経過していた。

矢鱈めったらに呼ばれてしまった人間たちの余剰魔力のおかげで、召喚に関しては放置していても問題はなかった。

それからさらに時は経ち、その魔力が尽きそうになってきたので今回の召喚を行うことになったのだ、と。

候補者わたしを選び、召喚陣の起動の為に必要な魔力を送らなくてはならないことを思い出し、魔力を注ぎだした。力がたまり、神託を下すまでに説明にいこうとおもっていたら、また奴らが「やらかし」たのだ。

これまで数百年、うんともすんともいわなかった召喚陣から魔力の波動が感じられたことに気づいた城の魔術師。王族や貴族、神官たちは数代前のやらかしを女神さまが御許しになったのだ、などと自分達の都合のいいように解釈し、勝手に人間側からも追加の魔力を注ぎ神託を待たずに召喚を行うに至ったのである。


そんなこんなで、普段は現世に手を出すことはしないらしい女神様。今回はもう目こぼしはできないとのことで、あのたわけ者たちには罰を与えておいたとのこと。

そして私の今後の行動についてだが、特にしてほしいことはないらしい。

前述のとおり、私がもっている魔力的なものの関係で、ここにいてくれるだけでありがたいんだって。

あちらに戻ることは今の段階だと難しいが、時間をかければなんとかすると言ってくれた。

今のところ戻る予定はないが、万が一ということがあるのでお願いはしておいた。


「してほしいことは特にないとは言ったけど、思い出したときに祈りを送ってくれたら嬉しいわ」

祈りといっても、仰々しいものではなくて今までしてきたように感謝の念を送ったりでいいらしい。

「祭壇や教会からおくってくれたら、より多くの力をもらえるから嬉しいけれど」

にこにこしながら(布で隠れてるから雰囲気だけど)そういうアグリナ様。

「わかりました。旅の行き先にあるときは祈りをおくるようにします」


たわけの補償とはいえ融通をきかせてくれている相手なのだから出来ることはするよ。


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