真相(4)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
「黒猫。お前が俺を殺そうとしていたことなど、とうにお見通しだ。そのために裏切り者の演技をしていたこともな」
それを聞いた青龍達は吃驚し、ペガサスは合点がいった。これが黒猫の行動の真意であり、黒龍の自信の正体だと。
「そんな。なんで柚はそんなマネを!?」
「……強情だからか」
「え?」
「強情だから強がって無理するし、強情だから何でもかんでも1人で背負い込もうとする。殺すことはもちろん、憧れの上司を殺すという汚名や、それらをする上で必要な憎まれ役も全てね」
ペガサスの推測を聞いて、青龍達もようやく理解できた。黒猫は、最初から裏切ってなどいなかったのだ。そう思うと、自然と安心した。
「ははははは! 確かにあいつらしいが、同時にらしくないとも言える。普段は冷静で賢いはずのあいつが、感情に任せて、こんなバカげたマネをしたのだからな」
「それはそうですが、これであなたにもわかりましたよね? 彼女は拷問殺戮マシーンなんかではなく、心を持った1人の人間だと」
ペガサスはそう言うが、黒龍は全く意に介していないようだ。
「そのようだが、このザマではな」
「あなたって人は……!」
「悪いのはあいつの方だぞ? 仇敵だった男と手を取り、無謀にも俺に挑んだ。ブラック・ナイトを裏切ってまで。今頃、鴉や蝙蝠らが草葉の陰で泣いてることだろう」
憧憬の念を抱いていた部下に対して、この仕打ちと嘲笑。青龍達の中でフツフツと怒りと殺意が増していった。
片や、砕けた肋骨が肺に刺さり、呼吸もままならない黒猫が抱いていた感情は、悔しさと無力感と散っていった者達への申し訳なさ。
虚を突き、確実に仕留めたと思っていたのに、返り討ちに遭い、形見の刀まで折ってしまった。現状、ほぼ戦闘不能と言っても過言ではないだろう。
それでも、まだ闘志までは折れていない。ここで自分が死んだら、朔馬達に顔向けできないし、愛しの青龍も黒龍に殺されかねない。
故に、死んでも死にきれないのだ。
(だからお願い。動いて。私の体! 黒龍さんさえ葬れたら、後はどうなってもいいから……)
心の中でそう言うと、黒猫は祈るように瞼を閉じた。その頬には悔しさと懇願から流れた涙が伝う……
「さて、そろそろ黒猫を両親の元へ送ってやるとするか」
「そんなことさせません! ペガサス君。朱雀! 2人は僕と一緒に! 澪は柚の手当てを!」
「はい!」
そう返事して、鳳凰は黒猫の元へと向かおうとするが、それを黒龍が許すはずがない。鳳凰と黒猫をまとめて殺そうと動き出した。
そうはさせまいと、青龍と朱雀とペガサスは一斉に斬りかかり、白虎とユニコーンは黒龍を支援しようとする影部隊を食い止めようとした。
これが真相その2。
褒められたことではありませんが、彼女なりにケジメをつけようとしたのでしょう。
それだけに今の状況は、無念で仕方ないと思われます。




