真相(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
時は遡り、例の斬撃音がしたあの時。ペガサスは間違いなく人を殺していた。
ただしそれは、拘束されている朱雀達ではなく、勝ち誇った顔をしていた青山夫妻と赤羽夫妻だが。
「何……?」
「こんな子供騙しの手に引っかかるようでは、まだまだですね。黒龍さん」
そう言うとペガサスは、3人を縛っていたワイヤーカッターを緩め、拘束を解いた。
とはいえ、何も知らされていない彼女達からしたら、さぞ肝を冷やしたことだろう。
「ほんま死ぬかと思ったわー。前もって言うといてぇや」
「ごめんね。君達の演技力を考えたら、黙ってた方が安全かなと思って」
そう言われたら、反論の余地はない。
「これは、してやられたな。全てはこの一瞬のための演技だったとは……どうやら、思っていたより姑息で非情な男のようだ。嘘をついただけでなく、演技のために仲間を2人も殺すとは」
「天道に反する故、できればつきたくありませんでした。その虚しさは、痛いほど知ってますし。それに、彼らを殺したのはあくまで別の目的のためであり、殺す以外の手段がなかったからです。後でちゃんと復活させます」
「そうか……で? まさかそれで勝ったつもりじゃないだろうな?」
黒龍の指摘はもっともだ。大した戦闘力もないあの4人を殺したところで、戦況は好転しない。寧ろ、玄武達を失っている分、悪化していると言ってもいい。結局、黒龍1人をどうにかしないことには、死獣神の全滅は免れないのだ。
それに、ペガサスにはもう1つ予定外のことがある。黒猫の行動だ。
当初、ユニコーンらと立てたプランでは、彼女はユニコーンと共にペガサスの行動をアシストするだけだったはず。なのに、ブラック・ナイト側につき、率先して青龍の命を狙うなど、明らかにやり過ぎているのだ。
黒猫なりの考えがあるのか? はたまた純粋に復讐に駆られているのか? その真意は定かではないが、ペガサスは希望を失ってはいなかった。
「もちろん。そこまで甘くは考えていません。青龍君が彼女にやられるのは、言わずもがなですが、このまま決着がつかず、あなたか影が乱入してくるようなことになったら、彼は確実に殺されます」
「逆を言えば、黒猫が少年に説得されて、俺と敵対することになれば、勝ち目はあると?」
「はい。それが、この状況下における最大にして唯一の希望です」
ペガサスは、迷いなく真っ直ぐな言葉でそう断言した。青龍こそが勝利の鍵であり、希望だと信じているからだ。
だが、それを聞いても黒龍は、何故か慌てて黒猫の救援に向かう素振りも見せず、不遜な態度を崩さない。
いったい、その自信はどこからきているのか? ペガサスは疑問を抱いた。
これが真相その1です。
ペガサスが何故ユニコーンらと結託してこんなことをしたのかは、後で彼の口から語られますので、もうしばらくお待ちを。




