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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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裏切り そして……(6)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 それとほぼ同時に、青龍と黒猫の再戦も始まっていた。


 といっても、内容自体はほとんど黒猫のワンサイドゲームの様相を呈している。長い時間を過ごし、恋仲にまで発展したことで、以前にも増して彼女に情が移った青龍が、説得と防戦に撤しているからだ。


「柚やめてよ! 君があの人の為に戦う必要なんてどこにも……!」


「元凶が勝手なことばかり言わないで。その必要があるから、こうして命を奪おうとしてるの。だから……さっさと死んで」

 そう言って黒猫は、アビスキリングしかけてきた。それを見て青龍も、彼女の刃から仲間を守るためにアビスキリングをする。

 何発かは防げたが、被害は少なからずあり、影部隊の半数が死亡。ユニコーンと白虎も防具のおかげで斬られこそしなかったが、打撲を負った。


「ちょっ、青龍! 考えてやれや!」


「あ、ごめん! けど、安心して。この後の毒放射だけは、必ず阻止するから!」

 そう言って青龍は、アビスキリングから周囲に毒を散布する派生技・アビスキリング・ヒドラを警戒したが、一手先を読んでいた黒猫はヒドラスラッシャーを手離し、菊一文字零式・真打を装備すると、


「誰がそうするって言った?」

 と言い、平突きで青龍を空中へ突き上げ、居合い斬りした後、天高く跳躍した。

 素早い連撃からの頭上を越える跳躍に、青龍は黒猫の姿を見失う。


「あれ? 柚は?」


「あ! 龍! 後ろっ!」

 朱雀からの言葉に、青龍は振り返ろうとしたが、それよりも早く、


「闇夜流剣術極奥義……朔夜(さくや)」

 という声と共に、弧を描くように振り下ろされた太刀によって、地面に叩き落とされた。


「つっ! うぅ……」


「……やっぱりすごいね。龍君。その龍鱗の強度もだけど、咄嗟に体を捻って、致命傷を避けたでしょ?」


「はは、君がつけてくれた見切り特訓のおかげ、かな?」

 青龍はそう言うが、実際のところ、やせ我慢などしている余裕はない。

 もちろん、そんなことなど黒猫は見透かしている。


「そう……でも、もうそろそろ限界でしょ? 説得なんて無駄なことはやめて、大人しく死んでくれる? 今なら、死に方ぐらい選ばせてあげるよ」


「そうは、いかないよ。柚がどう言おうと、僕は諦めない。絶対にあの人の元から抜けさせる。でないと柚は、一生幸せになんてなれない」


「龍君なら、幸せにできるとでも言うの?」

 黒猫からのその問いに、青龍は首を横に振り、


「僕はそこまで大それてないよ。けど、少なくとも、あの人よりかはマシだと思う」

 と、答えた。すると黒猫は、


「……そこは嘘でも『うん』って言ってよ。バカ……」

 と、呆れた表情でボソッとそう呟いた。だが、鈍感な彼の耳には届いていない。


「え?」


「なんでもない。それより龍君。時間切れだよ。どんな死に方をしても、恨まないでね」

 黒猫はそう言うと、掌打で青龍を黒龍の眼前までぶっ飛ばし、菊一文字零式・真打を納刀しながら、ゆっくりと近付いていった。


「黒龍さん。今から彼を殺します。その死に様を特等席でご覧ください」


「ふっ、そうさせてもらおう」

 2人の強敵に挟まれるという過去最大のピンチ。ヘタに逃げたら、かえってやられるだけだと悟った青龍は、黒猫の必殺の一撃を躱すことだけに全神経を注いだ。

 対する黒猫も精神を整える。次で決めるつもりのようだ。

 黒猫がした技・朔夜は、彼女の父・闇が最も得意としていた決め技です。

 そんな技まで持ち出した黒猫と彼女を止める戦いをする青龍。2人の再戦は次の話で終わりを迎えます。

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