裏切り そして……(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
その一方で玄武は、現状を冷静に分析し、熟慮した。
確かに青龍の言うとおり、黒龍の言葉を鵜呑みにするわけにはいかない。敵の言葉は信用するな。これは戦場の基本中の基本である。
だが、もし本当にそうなら、それは別の犯人がいるということになる。
では、いったい誰が? 頭を捻る玄武の脳裏にある出来事が思い浮かんだ。
それは、以前にもAIのパソコンがハッキングされたことがあったということ。
その時のハッカーの目的は、AIが仲間をからかうために拡散させたある動画を消去するためで、その人物は、からかわれている仲間の為を思って行動していた。
動機としてはその程度のこと。しかし、AIのパソコンにハッキングできる人物は、彼女ぐらいしかいない。玄武は、その人物こそが犯人だと気付いた。
ならば、一刻も早く皆に伝えなければ。でないと、動揺で士気が下がったところを黒龍に付け込まれてしまう。玄武は自らの推理を基に犯人を明かそうとした。
しかし、それはできなかった。彼を遮るように、ペガサスがまた語り手のように語り出したからだ。
「さて、戦いもいよいよフィナーレです。皆さん。準備はよろしいですか?」
「フィナーレって、あいつに勝つ方法がみつかったんすか!?」
「まぁ、そんなところ」
ペガサスが肯定すると、黒龍はそんな方法あるわけないとでも思っているのか、鼻で笑った。
「ほう。そこまで言うのなら見せてもらおうか。その方法とやらを」
「えぇ。すぐにでも」
自信たっぷりのペガサスの言葉に、白虎や鳳凰らは期待を抱いた。天使であるペガサスならば、黒龍を討つことができるかもしれない。そう思ったからだ。
ペガサスは、仲間の想いに応えるような笑みを浮かべると、ワイヤーカッターを操り、一直線に標的を貫いた。
自身の背後にいる獅子と玄武の心臓を。
「…………え……?」
希望から一転、絶望のどん底に叩き落とされ、青龍達は頭が真っ白になる。
「ごふっ! どう……して…………? ペガ、サス……君………………」
「そういう……ことか…………けど、なん、で………………?」
「悪いね。2人共。今日で死獣神は、終わるんだ」
無慈悲かつ冷酷な言葉を浴びせると、ペガサスはワイヤーカッターを一気に引き抜いた。
傷口から大量の血が、放物線を描きながら噴き出す。やがて、出血の勢いが収まると、2人はその場に倒れ、息絶えた。
急転直下の展開で起きた裏切り行為。
玄武と獅子の死から、物語は終幕へと近付いていきます。




