奏を殺害せよ(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
そんな弟の心中を察した奏は、少し考えてから隠すべきではないと決心し、2人に、慎介と貞子の元から離れ、家出してきたことをカミングアウトした。
理由は、慎介と貞子がどこかから龍が殺し屋をやってることを嗅ぎつけ、始末しようとしているから。
偶然耳にしてしまった弟の危機に、いても立ってもいられなくなった彼女は、親に内緒で帰国。龍の不安を煽らないようにと、ずっと黙っていたのだ。
「そうなんだ……ずっとひっかかってたんだ。姉さんには父さんも母さんもいるのに、なんでスキー旅行に行く車内であんなこと言ったんだろうって。けど、今のでその意味がわかったよ。でも、いいの? 下手をしたら姉さんまで……」
「覚悟の上だよ。私は龍を守るために帰ってきたんだから」
そう言うと、奏は朝食を平らげ、出かける支度を始めた。明日からやるコンサートの打ち合わせのためである。
「姉さん。僕も一緒に行こうか?」
「大丈夫だよ龍。あんたは私のことより、自分の心配でもしてなさい。命を狙われてるのもあるけど、もうすぐ卒業でしょ? 高校どこにするか決めてんの?」
「あぁ、うん。翔馬君や雲雀と同じ高校にしようかなって。未来や武文君とは研究や今後の会社運営のためとかで違う高校になるけど」
「そっか。ま、高校に受かるまで気を引き締めていかないとね。じゃ、いってくる」
「いってらっしゃい」
そう言って奏は、元気に仕事へと向かい、龍と澪は彼女を見送った。
泣いても笑ってもあと8日で卒業。殺し屋稼業のせいで学校生活にそこまで思い出はないが、卒業して武文や紫乃、大牙と疎遠になってしまったら、死獣神の活動も大きく変わってくるかもしれない。
そう思うとちょっぴり寂しくなるが、これも大人になるために必要なこと。そう割り切った龍は奏の言葉どおり、気を引き締めた。卒業してからも生き延びて、みんなとの日常を過ごすために。
そう思い、これからどうしようか澪と相談しようとした矢先、携帯電話がと鳴った。武文からだ。
「もしもし」
「あぁ龍君。悪いけど、今日の昼の1時にうちに来てくれないかな? 死獣神メンバー全員で話し合いたいことがあるんだ」
「話し合いたいこと? もしかして茅ちゃんから何か連絡が? それとも、死獣神被害者の会のことで?」
「それもだけど、今朝、匿名の依頼がきてね。それについてもなんだ。内容は『報酬は4億。青山奏を殺害せよ』」
「え…………?」
信じられない依頼内容に、龍は思わず頭が真っ白になった。
卒業を間近に控えたこのタイミングで奏を殺せというまさかの依頼。
否が応でも厳しい選択を迫られることになります。




