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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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奏を殺害せよ(1)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 黒龍が黒蛇派を一掃し、態勢を立て直すのに、おそらくではあるが、ある程度の時間を要するはず。その間に万全の準備を整えておけば、たとえどんなことがあっても、黒龍を容易く討つことができる。

 そう踏んだ死獣神メンバーは、茅からの連絡を待ちつつ獲物の手入れや鍛錬をし、龍から事情を聞いた奏や未来、愛花に、しばらくの間、安全なところにいるよう求めた。


 これで大丈夫。あとは彼女達の安全を確保しつつ、黒龍との決戦を待つだけ。死獣神メンバーの誰もがそう思っていた。



 が、それをあざ笑うかのように、朔馬の死から1日経った平成19年3月4日午前7時頃。死獣神の予想より早く事態は大きく動いた。

 死獣神の存在が白日の下に晒され、彼らの被害者遺族らで構成されたグループ・死獣神被害者の会が昨日の昼頃に発足されたと、朝のニュースが報じたのである。

 一応、大半のメンバーが未成年ということで名前や顔こそ公表されなかったが、中学生が法治国家で殺し屋稼業がしている事実に、集会を見にきていた野次馬達が次々と同調し、死獣神に対するバッシングを浴びせている様が大々的に放送されていた。


 それだけなら、とうとう人殺しのツケを払う時がきたかと、龍も諦めることができるのだが、問題はその参加者にある。

 どういう訳か死獣神被害者の会の中に、黒龍が本名である斎藤龍一(さいとうりゅういち)という名で参加していたのだ。


 どういう思惑で、彼が死獣神被害者の会に接触してきたかはこの際置いておくにしても、龍達にとっては完全に寝耳に水。テレビ画面に映る黒龍の姿を見て、目を丸くしていたが、驚くのはまだ早い。

 遺族を焚きつけ黒龍まで仲間に加えた死獣神被害者の会。彼らを率いていたのは、龍と奏の両親である青山慎介(しんすけ)と貞子(さだこ)だった。


「我々は、死獣神を許しはしません。あいつらは、残された家族の気持ちも考えずに喜々として殺しに明け暮れ、多額の報酬まで得ている犯罪者集団です。そんな奴らを野放しにしていていいと思いますか? いいわけがない! 奴らも奴らの協力者も裁かれるべきだ!」

 親の身勝手な言葉に、奏と澪はイラッときたが、同じ映像を見ていたはずの龍は違い、慎介の言葉に心を痛めていた。


 確かに自分達は殺し屋集団だ。それは否定しない。だが、だからって遺族の気持ちを考えてなかったかと言われると、それは違う。

 死獣神が結成される前から、龍は遺族の気持ちを考え、罪を背負う覚悟をしていた。あの他人第一の龍がそれを疎かにし、罪の意識から逃げるなどあり得ない。

 なのに慎介は、それを知ってか知らずか、実の子に向かって心ない言葉を言い放ったのである。

 ついに龍の両親が表舞台に現れました。

 どうやら龍には決着をつけなければならない過去がもう1つ増えたようです。

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