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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
62/110

白黒(5)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 白黒つけず、ハーレムエンドというグレーな形で決着がついた龍を巡る恋騒動。陰ながらその様子を見守っていた翔馬達はこの結果に満足し、心から祝福した。


 それは、彼を目の敵にしていたこの男も同じである。


「柚さん。幸せそうだね」


「あぁ。悔しいけど、こりゃ勝てねぇわ」

 悔しそうにそう言うが、敗北を悟った朔馬の表情はどこか晴れやかだった。めでたく結ばれた柚の嬉しそうな顔を見て、龍なら彼女を幸せにできると、やっと認められるようになったからだろう。


 なら、次は自分の番だ。自分も龍と柚に負けないぐらい恋をして幸せになり、その時の自分を彼女達に見せつけよう。

 そう思い、一歩踏み出そうと意気込む朔馬の手を、茅がそっと握った。


「茅?」


「朔馬……その……私じゃ、柚さんの代わりになれない、かな?」

 頬を赤らめてそう言う茅の言葉に、朔馬は最初、意味がわからなかったが、瞳の言葉を思い出したことで、すぐにピンときた。

 彼の春も案外近いところまで来ていたのである。


「バーカ。お前が柚姉ぇの代わりになんてなれっかよ」

 朔馬の返事から、自分ではまだ朔馬を振り向かせることができないのかと、茅は早合点し、落ち込んだ。


「そう、だよね……」


「そうそう。お前はお前だ。誰の代わりでもねぇ。だから……これからはお前のことを、1人の女として、とことん愛してやるよ」


「え? てことは……」


「そういうこった」

 朔馬はそう言って微笑み、勇気を振り絞って想いを伝えた茅の健闘に応えるように、恋人つなぎで手を握り直した。


 ゲレンデの外で結ばれた2つの恋。身近な若者達を側で見守ってきたシュバルツからすれば、これほどまでに嬉しいことは、まず無いだろう。

 龍は約束を守ってくれた。茅の気持ちも朔馬に届いた。シュバルツはハッピーエンドを見届けると、彼女達の世界の邪魔をしないように、喜びを分かち合っていた他の傍観者達と共に、その場から退散した。



 翌日。昼頃までスキーを楽しみ、晴れて恋人同士にもなった龍達を乗せた車は帰路につき、スキー旅行は、最高の思い出と共に幕を閉じた。


 これでまた、奏と離れ離れになって、今後は遠距離恋愛になる。解散し、自宅に帰る愛花達を見て、龍はそう思っていたが、奏は帰ろうとしなかった。


「東京で仕事もあるし、もっと龍と一緒にいたいから」

 ということらしい。

 前日の呟きもあって、龍は少し気にはなったが、断る理由は無いからと了承。柚と未来と雲雀も、それなら自分達もと、その日は全員で龍の家に泊まることにし、お互いに愛を深め合った。


 きっと、龍も朔馬も茅も柚達も、あの夜の出来事を、これから先、一生忘れないだろう。あんなに衝撃的で幸せな一時は、人生でそう何回も訪れるものでは無いから……

 故に、何があっても守り通さなければならない。たとえ、不安の闇が彼らを覆い、絶望を呼んだとしても………………

 龍の恋がハーレムエンドで終わり、朔馬と茅も結ばれました。

 できれば、彼らのイチャラブジーンをもっと描きたかったのですが、次の話は3月頃の話。卒業シーズンだけあって、その暇は無さそうです。

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