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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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剛の拳 柔の技(8)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 ちょうどその時、間もなく搭乗手続きを締め切るというアナウンスが流れた。


「あ、やべっ。行かねぇと。んじゃ、オッサン達、また会いましょう! さいならー!」

 大牙はそう言うと、キャリーバッグを引っ張りながら、元気よく去って行った。


「行ったの」


「十三。いいコンビだったよ」

 紅花からそう言われた十三は、煙草に火をつけてフーッと煙を吐き出し、


「まぁ、まだまだ青臭くて未熟なガキですが、磨けば光るものを感じます。それになんだかんだ言って、あいつの心と技の『剛』なとこ、これでもけっこう好きなんですよ」

 と、大牙のいないところで好意的に評価した。彼が飛び立つであろう空をじっと見つめながら……



 一方の大牙は、離陸から30分後。十三らとの日々を振り返り、彼らに思いを馳せていた。


 が、ここできれいに終わらないのが、大牙である。

 ふと、何かを忘れていると感じた彼は、程なくして、自分にとってかなり重大なことを忘れていることに気付いた。


「あーっ! しまったー! 俺、香港の名所とか、全っ然行けてねー! しかも、みんなへのお土産も忘れてたーっ! どうしよう……携帯もぶっ壊れちまったし、このままじゃ透美さん達に殺される!」

 大声で騒いだことでCAに注意された彼だったが、騒いだところで携帯電話もお土産も無い以上、どうすることもできない。

 不安で気が気でなくなった大牙は、そのままビクビクしながら帰ることとなった……



 それを最初から読んでいたのだろう。帰国後、大牙から事情を聞いた武文は、あらかじめ用意していた土産物を彼に渡し、それで誤魔化すよう助言。

 携帯電話についても、旅の途中で誤ってドブに落としたことにし、後日買い替えるよう提案した。

 おかげで大牙は、透美らから大目玉をくらうことを回避し、香港での仕事は、旅行こそはできなかったものの、一件落着となった。


 この一件で、大牙は報酬とは別に大きなものを得ることができた。

 それは、『柔』の心とそれを極めようとする求道者・十三との出会い。

 十三はこれ以降も、大牙の要請で殺さない程度のサポートをしてくれるようになり、2人は名実共に名コンビとなった。

 そう。『柔』と『剛』相反する2つを極めつつある格闘家で組まれた最強のタッグが………………

 大牙としては旅を満喫できなかった分、少し残念でしょうが、十三という頼れるパートナーをみつけただけ結果オーライでしょう。

 それにしても、全てを読んでいた武文って……

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