剛の拳 柔の技(5)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
と、その時、瓦礫が音を立てて崩れ、
「勝手に殺すんじゃねぇよ。クソ兄弟っ!」
と、白虎が怒鳴り、不屈の闘志を持つ2人の男は立ち上がった。
全身千本だらけのハリネズミ状態になってもなお、戦おうとする彼らのタフさと精神力に、紅花は無事だと知って安堵し、双頭鳥は理解できずに取り乱す。
「嘘だろ? なんであれくらって生きてんだよ! ムッカつくぅっ!」
「俺らのタフさをなめんじゃねぇ。にしても……いつつ。流石に多過ぎんだろ、これ。標本でもここまで刺さねぇよ」
「出血大サービスって奴さ。嬉しいだろ? 僕も今の君達を見てて嬉しいよ! 人が血塗れのハリネズミ状態になって、苦悶の表情を浮かべる。それが何よりも快感で、嬉しくてたまらないからっ!」
飛燕が嬉しそうにそう話すのを聞きながら、2人は全身に刺さった針を抜いていく。
やがて、全て抜き終わると、白虎はバカな持論を聞かされた苛立ちをぶつけるように、彼らを指差した。
「お前のそういうのが1番どうでもいいんだよ! まぁ、待ってろ。3分後には2度と笑えなくしてやっから」
「僕の飛燕に向かって何言ってんだよ。ホンットにムカつくなぁ!」
荒鷲がそう怒鳴って、十三の息の根を止めようと一歩踏み出した瞬間、双頭鳥の背中に強烈な電気が浴びせられた。
ようやく手足のロープを切断した紅花が、雷孔雀拳仕込みの電気を纏った掌打を叩き込んだのだ。
「ぐわーっ! こ、このゴミ女がぁっ!」
「よくそんなこと言えるわね。ゴミはあなた達の方でしょ?」
捕らえていた相手からの罵りに、双頭鳥は反論し、殺そうと思っていたが、電撃を受けた影響で、全身が麻痺している。
この期を逃す手はない。
「2人共、今よ!」
「うっす! んじゃあ、柔のオッサン。やるか!」
「あぁ。怒りん坊の方は任せろ。お前は、あのニヤけ顔をぶん殴れ」
そう言われて白虎は力強く頷き、手をポキポキとならしながら、双頭鳥に向かってゆっくりと歩み寄る。
反撃開始です。彼らにこの世の地獄を思う存分見てもらいましょう。




