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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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剛の拳 柔の技(4)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 無数の千本で離れた距離から素早い攻撃をする飛燕と、その援護を受けて杭による接近戦をしかけてくる荒鷲。同性愛者の兄弟だからこそ為せる見事なコンビプレーに、即席のペアである白虎と十三は翻弄されるも、なんとかくらいついていく。

 そのしつこさに荒鷲はイラつき、飛燕は賞賛する。


「やるね。流石は死獣神」


「調子乗ってんじゃねぇ! ホモ兄弟!」


「それはこっちのセリフだよ。君こそ殺し屋としても、人としても先輩の僕らに、もっも敬意を払うべきだ。ホント、ムカつくなぁ。そんな無礼な君達にやれる物はこれしかないね」

 荒鷲はそう言うと、飼育ケースの裏に隠していた大きめのキャリーバッグを取り出し、弟と協力してそれをぶん投げた。


 たかがキャリーバッグ。そう侮る十三は、仕掛けが発動することを警戒し、その前に放り投げて遠ざけようと身構え、タイミングを注視した。


 すると、飛燕のリモコン操作でキャリーバッグのロックが外れ、中身が露わになった。それを目の当たりにした十三は我が目を疑った。

 何故ならそこにあったのは……


「…………え……? お嬢…………?」

 そう。ハリネズミのように全身針だらけになり、胸にポッカリと大きな穴が空いた沙也加だったからである。

 愛する女と変わり果てた姿で再会するという最悪の展開に動揺した十三は、突然のことに思考が停止する。そこを奴らは見逃さなかった。


「ボーン」

 そう言って荒鷲がスイッチを押すと、体内に埋め込まれていた爆弾で沙也加の体が爆ぜ、キャリーバッグと彼女の体内に仕込まれていた無数の千本が部屋中に飛散した。

 双頭鳥と紅花は、事前に用意されていたバリケードで身を守ったため無傷だったが、白虎と十三は目の前で爆発したことで反応が遅れ、爆風と千本の嵐の直撃をくらい、瓦礫の下敷きになった。


 勝負あり。そう確信した双頭鳥は、子供のように大喜びし、紅花は絶望のどん底に叩き落とされる。


「やったね。兄さん。僕らの絆の勝利だ」


「そんな……あなた達、よくもっ!」


「おー怖い怖い。そんなにあのバカ共が大事だったっていうのかい?」

 そう尋ねられた紅花は、強い口調で肯定した。


 それもそのはず、彼女は初めて会った時から、十三に片思いしていたのだ。

 もちろん、婚約者がいることは百も承知。それでもこの淡い恋心を捨てきれなかった彼女は、その気持ちをグッと抑えて、ただひたすら彼の幸せだけを願い、健気に見守り続けていたのである。


 その一途な乙女心を察した上で、双頭鳥は歯牙にもかけず、さらには冷笑までした。


「そっか。ま、そんなことどうでもいいけど。じゃ、兄さん。そろそろ……」


「わかってるよ。飛燕。このマフィア女を徹底的に辱めてから、あいつらの後を追わせてやろう」

 そう言われてる間も自力で手足を縛るロープを解こうとする紅花だったが、どう足掻いても間に合いそうにない。

 これからのことを想像した彼女は、悔しさから奥歯を噛み締め、一筋の涙を流した。

 ここまで虫唾が走る外道は、そういないと思います。

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