柔を求めし剛将(6)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
そんな十三の心を救ったのは、当時、彼がいた南米の国に取引兼旅行として来ていた久遠組の組長・久遠晋一郎とその娘・沙也加だった。
ロサンゼルス時代から十三のファンだった晋一郎は、落ちぶれた彼の姿に驚いたものの、こうなった経緯を詳しく聞き救済しようと、自分の組に誘った。
最初は反社会的組織に加わることに抵抗があり、入ってからも慣れない日々が続いていた十三だったが、食い扶持を作ってくれた恩義と、沙也加を始めとする久遠組関係者達が優しく、暖かく迎え入れてくれたことで、次第に馴染んでいき、気付けば38歳で若頭に抜擢されていた。
しかも、その頃には、護衛役として7年も一緒にいた沙也加との仲も進展し、交際に発展。熱烈なファンだった晋一郎が反対する訳もなく、新年を迎えると同時に、婿入りすることが決まっていた。
そんな幸せな日々を、双頭鳥は平気で奪っていったのだ。
「……奴らは、年を越そうって時にうちの組に乗り込んできて、おやっさん達を殺し、お嬢を連れ去って行きやがった。『戦利品として、この玩具は貰っていく』そんなクソみてぇな理由をほざいて……かく言う俺も不覚を取っちまってな、気が付いたら病院のベッドで、おやっさんと協力関係にあった帝虎さんとお嬢さんに看病されてた」
「じゃあ、オッサンが今、雷ファミリーにいるのって……」
「あぁ。お嬢を取り返すためと、俺を受け入れてくれた雷ファミリーへの恩義だ。極道であろうとなかろうと、愛した女は自分の手で取り返さなきゃならねぇし、義理人情を欠くわけにはいかねぇ。んなことをしたら、人として終わりだ」
「オッサン……」
「っと、湿っぽい話になっちまったな。とにかく、奴らを見つけ出してぶちのめすためにも、今は早く食え。これから忙しくなるんだからよ」
そう言われて大牙は元気よく、
「うっす。柔のオッサン」
と、十三に独特のあだ名を付けて答えた。
「……変なあだ名を付けるな」
「尊敬の念を込めてっすよ」
「そうかい……好きにしろ」
そう言うと十三は、麺を啜る大牙を待ちながら煙草を吸った。
大牙のネーミングセンスの良し悪しは皆さんの判断にお任せします。




