柔を求めし剛将(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
十数分後。地図の通り進んだ大牙は、目的地である路地裏の一角に辿り着いた。
観光客がごった返していたメインストリートと違い、どこか治安の悪さを感じるような場所だが、今のところそれらしい場所や人は見当たらない。
強いて言うなら、2メートルはあろうかという屈強な大男が、紫煙を燻らせて立っていたことぐらいである。どうやらこの男が例の要注意人物らしい。
「ん? なんだボウズ。ここは観光客が来るところじゃないぞ」
「あぁ、すんません。実は俺、ここで人と会う約束がありまして……」
その一言で大牙の正体を悟った男は、吸っていた煙草を捨てて足で踏みにじりながら、
「なるほどな。お前がお嬢さんが言ってた殺し屋か。どんな奴が来るのかと思ってたが、なんてことねぇ。ただのガキじゃねぇか」
と、吐き捨てた。このなめきった発言に大牙が怒らないわけがない。
「おい、オッサン! 調子ぶっこいてんじゃねぇぞ! 俺は地上最強の殺人拳・白虎流護皇死神拳の最終継承者・白虎だ! なめんじゃねぇぞっ!」
「白虎流護皇死神拳? ずいぶん大層な名だが……はて? 知らねぇな」
「だーかーらー……調子ぶっこくなっつってんだろうが! 掌ーっ!」
そう怒鳴り声ながら、大牙は大男の顔面めがけて掌打をしようとした。
が、男は殺意のこもった手が自分に当たる寸前で掴み、一本背負いで彼を地べたに叩きつけた。
受け身もとることができなかった大牙の全身に強烈な痛みと衝撃が襲う。
「がはっ! 一本背負い、だと? オッサン、柔道家か?」
そう尋ねられると、男は再び煙草に火をつけて、煙を吐き出し、
「……柔道じゃねぇバカ野郎。柔と言え」
と、訂正した。
真下から見たその男の顔にどこか見覚えがある。そう思いかけた大牙だったが、全身打撲と軽い脳震盪を起こしたことで、次第に意識を失っていった…………
大牙を1発でのしたこの大男。
強いこだわりをもつ彼が敵か味方かは次で判明します。




