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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
20/110

ペガサスの模倣犯(4)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 それから一夜明け、平成18年11月22日午前7時半頃。いつものように純和風の朝食を食べている龍と澪に、テレビからとんでもないニュースが舞い込んできた。


「では、次のニュースです。今朝6半頃、当番組宛てに天使ペガサスからの犯行声明が送られてきました」

 アナウンサーから知らされたそのニュースに驚いた2人は、思わず互いの顔にご飯粒を噴き出してしまった。


「えぇっ!? どういうこと!?」


「それもですけど、龍さん。汚いですよー」


「あぁ、ごめん。でも、それはお互い様だよ」

 そう言って謝り合っていると、画面が切り替わり、ペガサスと思わしき仮面を着けた人物の犯行声明の映像が流れ始めた。


「どうも、天使ペガサスです。この度僕は世界のために、原田防衛大臣に反対する者を抹殺します。彼の思想はこの国を、いえ、世界を導くに相応しいものです。それを受け入れず反発する者は、愚物以外何ものでもありません。これまでの被害者達がそうです。それではこれで」

 映像は終始声を変えたまま、そこで終わった。それだけに、龍はこの犯行声明に強い違和感を感じずにはいられなかった。



 時間帯が時間帯だけに、死獣神メンバーはもちろん、全校生徒も見ていたこの犯行声明は、瞬く間に学校中に広まり、中には、殺人鬼が学校通っている現状に文句をつけるPTAもいた。


 当然そんな状況になれば、死獣神の集会の議題にもなる。

 その最中に、欠席していた当事者が姿を現した。


「あー! 翔馬! あんた、あれどういう事やねん!」


「そうっすよ! あんな奴なんかのために殺しをするなんて、らしくありません!」

 顔を見せるなり、雲雀と大牙からそう叱責された翔馬だったが、弁解や謝罪をするわけではなく、


「知るかっ! 俺が聞きてぇぐらいだ!」

 と、反論した。

 責めていた2人や紫乃は、思っても見なかったらしく、面食らっていたが、朝のニュースで違和感を感じていた龍と柚と武文は、すぐに納得した。


 彼らが違和感を感じた理由は、以下の2つ。

 1つは、敵に対しても正々堂々としているはずのペガサスが、仮面だけでなく声まで変えていたこと。

 もう1つは、ペガサスの決まり文句である『Good-bye human』を言わず、『それではこれで』という言葉で締めていたこと。

 いずれも、独自の美学を持つペガサスが、絶対にやらないことである。


「おおかたペガサスを研究してマネた模倣犯だろうな。手段はそれとなく似せてるが、美学もへったくれも無いし、何より雑すぎる。あれじゃこっちがいい迷惑だよ」


「そうね。てことは……」


「あぁ。今日あたりにでも模倣犯とその裏にいるバカを殺しに行ってくる。これを放置してたら、ペガサスの協力者ってことで、死獣神に依頼が来なくなっちまうしな」


「それは流石に困るね。手伝おうか?」

 龍がそう言ってサポートを申し出ると、翔馬は首を横に振った。


「いや、いい。自爆の件もあんのに、これ以上お前らに迷惑かけるわけにはいかねぇ。だから、この一件は俺1人で片をつける。んじゃな。Good-bye human」

 そう言って翔馬はペガサスと入れ替わり、蒼穹の彼方へと飛び去っていった。

 事件の背後にいる黒幕と模倣犯を調査するために…………

 ペガサスは自らを演出するいわば劇場型犯罪者です。仮面を含めた美学は、そのために欠かせないものなだけに、それを雑に扱った犯人にはそれ相応の制裁が待っていることでしょう。

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