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駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
1.どこかで聞いた都市国家
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17.実習という名の(1日目 移動中~)


 おはようございます。クロエです。只今実習地に馬車で移動中ですが、馬車内の空気が凄く重いんです。なぜかと言うと……


 「やぁ、綺麗なお嬢さんが二人ともそんな顔してるんじゃ、折角の良いお天気も太陽が隠れてしまうよ。同じパーティー仲間なんだから、仲良くしていこうよ」


 にこやかに笑顔を見せますが、てめぇは目が笑ってねぇんだよ。何を考えてるんだコイツ?

 僕は、目の前で微笑むワイアットをジト目で見ます。さすがに、この状況は予測していなかったよ。イリスはイリスで、リリーさんやエリックさんが教えてくれなかったことに対してむくれています。

 そして外をぼんやり見ているリアン。なんでこのメンバーなのか、考えようとしたんだけど……


 「俺はお前が気に入らねぇ」


 ボソッとリアンが呟きます。くっ、お前ら僕をもう一歩で死なせるところだったのに、全然態度かわらないね?

 さすがに、今のは失礼だと思ったのか、イリスが口を挟みますが、無視ですか、そうですか。こんな様子が、学院をでてから続いています。これで、明るく軽い雰囲気になれるわけが無い。


 とはいえ、魔法都市アレキサンドリアを出るのはこれが初めてですしね。街よりの木橋を渡り終え、馬車はいま石造りの橋の上を、西岸地区に向けて走っているのです。橋は滝より100m上流にありますが、水量が多いのでゴウゴウと言う音が響いているし、いつも街の上から眺めていた風景ですが、視点がかわると当然違ってみえますね。

 窓の外を見て気を紛らわそうとすれば、正面に座っているリアンが視界にはいります。かといって、イリスと話そうとすればワイアットが視界にはいり、表面上社交的な様子を取っているこいつと話さない訳にもいかない。この4人でパーティー組んで、ゴブリンやオーク退治? どこの冗談だよ。もういいや、無視だ無視、虫、ムシっと。


 馬車のドアに組み込まれていた一人用の折り畳みテーブルを、目の前に立ち上げ、ハンカチをその上に広げます。後ろ手にホルスターから『ガンブレード・クロエedtion1_R』(以後ガンクロR1でいいよね)を取り出し、ロックを解除。左に振り出したシリンダー後部に、何もついていないスピードローダーをセットし、中央のボタンを操作して魔石を取り外します。空のシリンダーを元に戻し、窓の外に向けて軽くトリガーを引きますが、当然何も発射されません。小指で属性切り替えボタンを操作しながら、トリガーを引き、シリンダーを一周させたところでテーブル上に本体を置きます。

 その後、スピードローダーから魔石を一つずつ取り出し、傷や欠損が無いかを確認すると、改めてスピードローダーに魔石をはめ込みます。軽い音と共にシリンダーにセットされた魔石の状況を目視でチェックし、異常が無いことを確認。問題は無いようですね。それぞれの魔石には、昨晩のうちに魔力が充填されていますから、問題はありませんね。ヒップホルスターに納め収納します。

 続けて左太ももにつけたレッグホルスターから『ガンクロL1』を取り出すと、同じように本体を点検します。ガンクロLは。左手用。シリンダーの振出し方向や、親指で操作するセレクターが、左右逆に付いています。撃つだけなら左右関係ありませんが、すべての機能を使用するには左手で操作する必要があります。本体のチェックすべきところは全く同じですけどね。

 続けてシリンダーに装着されていた魔石の確認に入ろうとして、本体をじっと見ているイリスに気付きました。

 僕はため息をつくと、ピストルスコープをセットしてイリスに渡します。一応、彼女の『アスクレビオス・エリスedtion1』は触らせてもらいましたしね。これでお互い様です。


 「左用だから、注意して」


 イリスにそう言い、僕は魔石のチェックを続けます。一通りチェックが終わり、問題はなかったのですが、もう少しイリスに遊ばせてあげましょう。ホルスターから、『#一粒弾__スラッグ__#』用のシリンダーを取り出すと、ダミーの魔石を取り外します。同じ様に予備のフォルダーから『一粒弾』用の魔石をとりだし、シリンダーにセット。コイツは大きいから、ロック機構がついているので、操作をしてロック。これも問題なさそうです。再びロックを解除し、魔石を取り外します。魔石はフォルダーに収納し、シリンダーもホルスターに再装備。


 「イリス?」


 声をかけると、名残惜しそうにですが、本体を返してくれます。右用と同じように、魔石を再装填し、異常が無い事を確認してレッグフォルダーに戻そうとして気がついてしまいます。

 イアンとワイアットがテーブルの下を覗き込んでいる事に……


 「なっなっ、何をしてる~!」


 僕は右足を咄嗟に蹴り上げました。覗き込んでいた、リアンの顔面にむかって……


*****


 現在、リアンはワイアットの膝枕で絶賛爆睡(昏睡?)中です。イリスがいてよかったね。居なかったら、君、顔面崩壊したままになるところだったよ?


 さすがのワイアットも不味いと思ったのか、素直に謝りましたが、備え付けの固定テーブルを破壊してしまったので、僕も御者さんに怒られてしまい、むくれています。修理費用はエリックさんに請求することにさせましたよ。息子さんの監督不行き届きです。

 さすがに、イリスもリアンとワイアットを#下種__げす__#を見るような目で見ていましたが、とりあえず最低限の治療だけはしてあげたようです。


 先程までとは別な意味で空気の重い馬車のなかで、ワイアットが口を開きました。


 「まずは、すまなかったと言わせてくれ。ボーパルバ…コホン。そのつもりは無かったが、事実として淑女のスカートを覗き込むマネとなったのは事実だからね。

 そして今回の4人パーティーの役割分担を君達に説明させてほしい。」


 #殺人兎__ボーパルバニー__#と言いそうになって、僕にギロリと#睨__にら__#まれ言い直したワイアットが、言葉を続けます。さすがに、いつもの無表情とはいかないようだね。まあ、この状況でいつも通りできたら大したものだけど。なんだかんだいっても彼も10歳ではありますからね。

 僕がジト目で見ながら先を促すと、多少ホッとした様子で先を続けます。


 「今回のパーティーリーダーは一応僕に任されている。そして、僕が既存の火薬式の銃を取り扱っての攻撃を担当する。これは、僕がこの中で一番火薬式の銃を扱いなれているからだ。」


 ふむ。ワイアットの家は海軍の長官の家でしたね。押収した『銃』の取扱いも息子に教えていたとしても不思議ではありません。僕が#頷__うなづ__#くと、彼はさらに話を続けます。


 「リアンは改造型の火薬式の銃を使用する。これも、いわなくても解るだろうが、エリックさんから取扱いを学んでいる点で、彼が一番扱い慣れているという理由になる。そして、イリスは、今回はショックガンの射手と兼任で、回復役をお願いする。」


 へぇ、まあイリスも嬉しそうだからいいかな。


 「……そして、クロエ……は、自分の魔道具の実戦試験と、イリスのショックガンの出力調整役をお願いしたい。」


 へっ? きいてないよそんなの。


 「エリックさんが、君なら出来るはずだと言っている。簡単な調整方法はこのマニュアルに書いてあるので渡してくれとの伝言なんだ」


 ワイアットから調整方法のマニュアルを受け取り、ぱらぱらと中身を流し読みします。まあ、細かいのは夜にでも読むことにしますか。


 「最後に、僕達にはリリーさんからの任務が与えられている。これは僕もまだ読んでいないが、食事の直前直後は読むことは避けるようにといわれているので、今ここで読もうと思う。リアンもいいな?」


 ワイアットの膝の上で、リアンが頷いたようですね。


 「まず、ワイアット・リアン・イリスの3名へ。生きている状態のゴブリンの、頭部・腕・胸・腹・脚を初弾で狙い打った標本を、射撃時のデータと合わせてそれぞれ二頭提出の事。そして、留めをさす場合、初弾での損傷部位以外で止めをさすこと。」


 さすがに、この指示には三人ともドン引きですね。どう考えてもこれは、銃の試験ではなくリリーさんの探求の為の標本獲得ですか……


 「そして、君への指示だが、こちらはアレクシア様からだ。書いてある通りに読むようにとの指示だ。『#クロエ__・__#は、6属性全てで頭部を破壊した標本の取得をすること。必ず一撃で倒し、且つ森や周囲の環境への被害は与えないように』と書いてある。」


 ちょっとまって? 火魔法つかって相手を倒さなければいけないのに、環境への被害は禁止って難易度高くないですか? そして僕は呟いてしまいます。


 「やっぱり、マッドサイエンティストだ、リリーさんもアレクシアさんも……」

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