5, 話し合いを終えて
「は〜、終わった終わった」
結局校舎に関する話し合いはなあなあで終わり、私は追い出されるようにして謁見の間から出て、城の廊下を歩く。
ここの城はデカくて困る。転移魔法が掛かってないから移動も不便極まりない。
「…?」
ふと、高い天井に吊るされた豪勢なシャンデリアの近くから気配がした。
「あ〜………アs、じゃないや。ウィアさん?で合ってる?」
聞いてみると、ゆらっと空間が揺らめいた後、私の前に着地音がする。
「お久しぶりですわヴィオラ。私は調査でここに立ち寄ったのですが、どうして城に?と思いまして」
「あ〜、ほら、あれだよあれ」
事情をかいつまんで説明すると、彼女は大きくため息を吐いた。
「本当…人間の使う魔法には反吐が出ますわ。我ら魔族と人間に平等に与えられた"戦う力"を、自分達の美しさに使って…魔導神様がお怒りになられても仕方ない愚行ですわ」
「だね…でも、彼らは神様が見えないし、何なら、私たちに魔法を与えた魔導神様は、常に人間の味方で、魔族が使う魔法は人間の真似事だ〜って、毎度先生から聞かされてるんだよ」
それを言うと、彼女の瞳は大きく開いた。
「それはマジですの…?寧ろ魔法に秀でたからこそ我らは"魔族"という種族名を神より授かりましたのに…?」
「マジなんだよこれが。魔族は私みたいな威力とか数重視の、まさに野生の獣みたいな種だと思ってる」
ウィアさんは、それを聞いて顔を手で覆った。
「ねえ、ヴィオラ。やっぱり、貴女はここにいますの?」
「いるよ。せめてもの情けって奴さ」
彼女は心配そうな顔で、数秒ほど私を見つめた。
そして彼女は、綺麗に折られた手紙を取り出す。
「この国で行われようとしているとある"儀式"についてですわ。後であの方にもお伝えしますが、貴女にも渡しておきますわね」
「ありがとう、ウィアさん」
彼女は一つ礼をすると、転移魔法で去っていった。
私は紙を亜空間魔法で開いた亜空間に仕舞い、外に出る。
寮の部屋に帰ってきて、私は手紙を広げた。
「…あと、半年。……あと、1年。猶予は…5ヶ月」
まっ…どうせ決着はすぐにつく。
私はのんびりと魔物狩りでもしていよう。
☆
「アスモデウスさん!! 私聞きましたわ!」
「おやお嬢様。俺に何か御用で?」
「カッコつけるんじゃありません!! ラヴィーと会ってきたのでしょう?!」
執務室に、鈴のような声が響く。
男性体になったアスモデウスは、ニヤニヤしながら嫉妬で顔を歪ませる"姫様"を見る。
「む"〜…!アスモデウスさんだけズルいのです!外に出て偵察なんてぇ…!」
「そうは言っても、これが俺の仕事なので」
「ラヴィーに色気使ってないですか?!!」
とても必死な思いが伝わってくる問いかけに、アスモデウスは笑みを崩さず、
「ご安心を、お嬢様。彼女はそもそも女好き寄りな嗜好ですし、男性体に惚れられたら俺が困ります。契約を結んだ貴女方は女性なんですから」
「っ!!!」
"姫様"は嫉妬の顔から一転、ぱあぁ!という音でも付いてそうな笑顔になり、部屋から出ていった。
その様子を、やれやれ…という顔で皆が見ていた。




