4, 呼び出し
数日後。
私は何故かお城に呼び出されていた。
謁見の間に来れば、私を蔑む目をした貴族と王族がいる。そして、扉のそばには、かつて、私が友人だと思っていた少女の親、そして私の親までもが、ギロリと睨む。
「…」
そのまま王の前で跪くと、開口一番言われたのは、
「ヴィオラ・ニーレイ。何故、校舎を吹き飛ばした」
宰相からの、疑問符のない質問。
「何か勘違いしてませんか?私は水のライオンを電気魔法で分解して消しただけです。簡単なことですよ、水素が燃えやすいなんてことは。魔法属性探知も使わず炎を使った貴族が悪いでしょう」
「だが、貴様はその後教室にいた生徒を避難させることなく自分だけ逃げた。それはどうしてだ」
「助ける必要性がないと感じたからですけど? 『おんぶにだっこ』にも限度ってのがあるんです。そもそもなんで私に守ってもらえる前提で話してます??」
「なっ…」
反論に周囲がざわめく。
私が言った通り、まずどうして私が貴族を守る前提になってるのかを聞きたいのだ。
「…ヴィオラ」
「?」
横から声を掛けてきたのは、かつて私の友人であった少女、ニルドア・フォーストだ。
王族のすぐ真横にいた彼女は、白いドレスを翻して此方に来る。
「貴女は…まるで変わってないのね。野蛮な魔法にばかり時間を使って…」
「野蛮な?? その野蛮な魔法に助けられたのは何処の誰でしたっけね聖女様??あの時私が助けに来たら失禁してたおバカな聖女様が上から目線で何を言ってるのかな?」
「なっ…!// 私の黒歴史を掘り返さないでください!! ッ貴女みたいな獣にこんな魔法は使えないでしょう?!」
逆上したニルドアは魔法を発動させる。
そこには、水と風を組み合わせてできる氷属性で作られた沢山の獣。中にはフェニックスらしき鳥やユニコーンのような馬がいる。
周囲の貴族達は「おお…!」と歓声を上げ、王族ですら誇らしげな目で彼女を見る。
魔法のコントロールは大変よろしい。がしかし。コントロールに割きすぎて魔力密度と濃度がスッカスカだ。
「寒くなっちゃうでしょ全くもう」
私は立ち上がって、唸り声を今にもあげそうな獣達に向かってフィンガースナップ。
パシン!と音がした後、獣達は綺麗に雲散霧消した。
「はえ??」
「魔力密度・濃度共にスッカスカだよ聖女ニルドア様? それで? 今何をしようとしてたのかな聖女様??」
がくんと膝をついたニルドアを見てか、私の顔に笑みが生まれる。
助けられておきながら恩を仇で返そうとしてきたおバカな聖女様(笑)には丁度いい罰だ。
「ああそれと…氷で動物を作る程度、私にもできるよ?」
「…?」
最早反応する気もないニルドアを前に、私は手を空に掲げる。
私の足元から出て来る、金色と黒の、細長い体をした、この国にはいない特殊な種族、"龍"だ。
「ほれ、綺麗でしょ?氷に闇と光属性をプラスした私に忠実な駒」
「ぁッ…」
顔を青ざめさせたニルドアは、即座に叫び声を上げて王子や王女のいる場所へと走っていく。
ニルドアの作った氷の獣と、私が作った龍は根本的に作りが違う。
"意志"があるのだ。
ニルドアはただ形を作っただけ。言わば彫刻だ。私のは、氷と光、闇に降霊魔法もプラスした意志を持つ龍。
「…ごめんなさい話がそれましたね。それで?なんでしたっけ話の話題」
くるっと振り向いて言うと、それ以上誰も言葉を発せなかった。




