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この村、全員ラスボス経験者でした。 〜もう二度と世界を救いたくない元最強たちのスローライフ〜  作者: にる


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先に済んでいる

朝。


目が覚める前に、

水を飲もうと思った気がした。


起き上がる。


机の上に、

水が置いてある。


冷たい。


飲む。


置いた覚えはない。


考えない。


外へ出る。


井戸へ向かう途中で、

桶が渡される。


まだ並んでいないのに。


「ありがとう」


言うと、

相手は頷くだけ。


順番は見えない。


でも、

待たなくていい。


宿。


アーシャが言う。


「今日は軽めでいいよ」


「うん」


器が並ぶ。


少ない。


少ないのに、

ちょうどいい。


足す必要がない。


「塩、いる?」


聞かれる前に、

差し出される。


使う。


使い終わると、

手元から無くなる。


誰が戻したか、

見ていない。


畑。


ガイルは端にいる。


「今日はそこまででいい」


「まだやれるけど」


「いい」


短い。


続ける理由が、

思い浮かばない。


鍬を置く。


作業は終わる。


終わらせた覚えはない。


鍛冶場。


入口は半分。


中に入る前に、

ドラムが言う。


「今日は触るな」


触る用事がない。


引き返す。


「悪いな」


謝られる。


何に対してか、

分からない。


広場。


椅子が無い場所に、

人は立たない。


立たなくても、

会話は届く。


「それ、もう済んでる」


誰かが言う。


何が済んだのか、

確認しない。


済んでいるなら、

それでいい。


午後。


川へ向かう。


飛び石の手前で、

足が止まる。


遠回りの方へ、

自然に向く。


迷わない。


迷う必要がない。


途中で、

籠を持った人とすれ違う。


中身は見ない。


見なくても、

足りていると分かる。


夕方。


宿へ戻る。


布団はもう敷かれている。


「早いね」


「今日は、早い」


昨日と同じ言葉。


違和感はない。


夜。


部屋。


窓の外。


暗い。


やることが浮かばない。


浮かばないから、

何もしない。


身体が軽い。


軽いまま、

横になる。


何も決めていない。


決めなくても、

一日が終わる。


そのまま、眠れた。

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