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この村、全員ラスボス経験者でした。 〜もう二度と世界を救いたくない元最強たちのスローライフ〜  作者: にる


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段取り

朝。


目が覚める前に、

今日の流れが分かっていた。


考えたわけではない。


起きる。

水を飲む。

窓を開ける。


順番を確認しない。


身体が、

迷わない。


外へ出る。


井戸へ向かう。


並び方が昨日と違う。

違うのに、

戸惑わない。


桶を受け取る。

渡す。


目を合わせなくても、

手は合う。


宿。


器が少ない。


少ないと、

分かっている。


足りる量だけが並ぶ。


誰も増やさない。

誰も足さない。


アーシャが言う。


「これでいい」


問いではない。


答えもいらない。


畑。


畝は短いまま。


ガイルは端に立つ。


線は引かない。


それでも、

越えない。


越えない位置が、

分かっている。


鍛冶場。


入口は半分だけ開く。


ドラムは振り向かない。


「今日は?」


「今日は、そのまま」


そのまま、が何かは言わない。


広場。


椅子は戻らない。


空いている場所は、

空いたまま。


そこを避けて、

人は立つ。


立ち位置が決まる。


決めた覚えはない。


川。


飛び石は広い。


跳ばない。


遠回りを使う。


距離は長い。


でも、

時間は余る。


余るのに、

埋めない。


夕方。


布団が敷かれる。


枚数は見ない。


一枚足りない気がする。


確かめない。


確かめなくても、

横になれる。


夜。


部屋。


窓の外は暗い。


広場に影がある。


数えない。


名前を呼ばない。


呼ばなくても、

回る。


戻らない。


戻さない。


探さない。


それが段取りになる。


胸の上下が、

ゆっくりになる。


深くなる。


考えは浮かばない。


浮かばないことに、

違和感はない。


目を閉じる。


眠れた。

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