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我、南雲機動部隊 ―85年の時を超えて―  作者: 土御門惟愛


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第3章 接触の試み

午前11時38分

護衛艦「みょうこう」艦橋

海野隆一艦長は、CICからの報告を聞きながら、険しい表情を浮かべていた。

「暗号通信の解析結果が出ました。

使用されている暗号は……1941年当時の日本海軍が使用していたJN-25系と極めて類似しています。

内容は『連合艦隊司令部応答なし。現在位置確認を求める』という繰り返しです」

副長が低い声で言った。

「彼らは……完全に混乱しています。

突然司令部との通信が途絶えた状態で、ハワイ方面に向かおうとしています」

海野艦長は腕を組んだまま、静かに言った。

「我々は今、歴史そのものと向き合っている……

このまま彼らをハワイに向かわせるわけにはいかない。

指示が出ている。まずは接触を試みる」

「了解。VHFとUHF、両方で呼びかけを開始します」

みょうこうは、国際緊急周波数で呼びかけを始めた。

「こちら海上自衛隊護衛艦みょうこう。

国籍不明艦隊に告ぐ。繰り返す。こちら海上自衛隊護衛艦みょうこう。

貴艦隊の航行目的と国籍を明らかにせよ」

しかし、返事はない。

南雲艦隊は、沈黙を保ったまま、一定の速度で進み続けていた。

CICの士官が報告した。

「彼らの通信は依然として暗号のままです。

内容は『不明艦よりの呼びかけあり。対応如何』……南雲中将は明らかに困惑しています」

「艦長、第三護衛隊群司令からです」

海野艦長は、第三護衛隊群司令からの指示を受け、厳しい表情で通信士に命じた。

「南雲機動部隊に電文を送れ。

内容は以下の通りだ」

通信士は緊張した手でキーボードを叩いた。

送信電文

「こちら日本、海上自衛隊第三護衛隊群第7護衛隊護衛艦みょうこう。

第一航空艦隊司令官、南雲忠一中将殿に申し上げる。

我々は貴艦隊に危害を加える意思はない。

応答を求める」

数分の沈黙の後、初めて南雲艦隊から返信があった。

暗号だったが、すぐに解読された。

「貴艦は一体何者か。

帝国海軍の所属の艦ではないと判断する。

繰り返す。貴艦の正体を明らかにせよ」

海野艦長は深く息を吸い、静かに命じた。

「正直に伝えろ。

我々は……85年後の日本の海上自衛隊である。と」

通信士は一瞬躊躇したが、艦長の指示に従い、送信した。

「こちらは……1941年から85年後の日本、

海上自衛隊第三護衛隊群第7護衛隊所属の護衛艦みょうこうである。

貴艦隊の出現に、我々も混乱している。

攻撃意図はない。話し合いたい」

長い沈黙が続いた。

やがて、南雲艦隊から短い返信が来た。

「貴電文、理解し難し。

しかし、暗号も解読されている模様。我々も現在の状況が理解ができない」

海野艦長は静かに頷いた。

「……これは、歴史との対話になる」

85年の時を超えた、

二つの日本の艦隊が、

太平洋の同じ海域で、

静かに向き合おうとしていた。

お読みいただきありがとうございます。


過去と現代、二つの日本の間で交わされる緊張感と葛藤を描きました。


第4章は明日夕方に投稿予定です。

引き続きお付き合いいただければ幸いです。


よろしくお願いいたします!

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