砕かれた皇子
王室の馬車が静かに田舎を通り抜けた。
会話なし。笑いなし。景色へのコメントなし。
道路の車輪の音だけ。
そしてルシアン皇子の不規則な呼吸。
隅に座って、窓の外を見つめていた。
でも本当には見ていなかった。
彼の目は別のものを見ていた。
いつもそれ。
ドオオオオオン。
音。また。いつも。
一秒前に起こったかのように。
何時間も前じゃない。何日も前じゃない。
一秒。
白-オレンジの光。
三メートルの球体。
彼を後退させた熱。
そして——
手が座席を握りしめた。
震えていた。
また。いつも。
「殿下?」向かいに座った召使が言った。
慎重な声。
ルシアンは答えなかった。
「殿下、一時間で到着します。望まれますか——」
「黙れ」
声が平坦に出た。空っぽ。
召使は即座に黙った。視線を下げた。
馬車の他の二人の召使は何も言わなかった。
でも視線を交わした。
何かがおかしい。
皇子はこんなじゃない。決して。
ルシアンは気づいた。
気にしなかった。
外を見るのに戻った。
でも見えたのは——
飛んでいくファイアボール。
蒸発する的。
焼けた溝。
崩れた壁。
そして彼——
彼が...
目を閉じた。
手がもっと強く震えた。
城が夕暮れの地平線に現れた。
高い塔。強大な壁。金色の旗が翻る。
ソルマールの王室。
父、アルダス王の住居。
馬車が正門から入った。
警備兵が頭を下げた。
「お帰りなさい、殿下!」
ルシアンが降りた。
硬い脚。機械的な動き。
召使が荷物を持って急いだ。
「殿下、お荷物をお持ちします——」
「全部部屋の外に置け。入るな」
「でも殿下——」
「入る。な」
声が高くなった。ほとんど叫ばれた。
召使が後退した。
「お-お望み通りに、殿下」
ルシアンは中庭を通った。
東塔の階段を上った。
長い廊下。装飾された扉。
自分の部屋に着いた。
入った。
閉めた。
鍵を回した。
カチッ。
沈黙。
ドアにもたれた。
激しく息をした。
家だ。安全。
誰もここで見られない。
誰も——
でもここでも——
閉じたドアでも——
まだ聞こえた。
ドオオオオオン。
そしてその「ヌル」...ヘリオ。
振り向いて何もなかったかのように微笑む。
一時間が経った。
ルシアンはベッドに座っていた。
膝に手。
床を見ていた。
ただ...回復しないと。
ショックだった。トラウマ。
でも過ぎる。
魔法は戻る。
ただ...
立ち上がった。
部屋の中央に行った。
深く息を吸った。
いいだろう。ファイアボール。
千回やった。一万回。
僕の魔法だ。最も簡単。
最初に学んだ。
右手を上げた。
見た。
震えていた。わずかに。でも震えていた。
だめ。集中しろ。
目を閉じた。
マナを感じた。
導こうとした。
いつものように。
何年もしてきたように。
目を開けた。
手を見た。
「ファイアボール」
何もない。
絶対的な沈黙。
火花一つない。
ルシアンは手を見つめた。
何が——
だめ。もう一度。
「ファイアボール!」
何もない。
「ファイアボール!」
閃光。小さい。弱いオレンジ。
半秒続いた。
それから消えた。
ルシアンはゆっくり手を下ろした。
他の誰かのもののように見ていた。
だめ。ありえない。
ただ...疲れている。そうだ。疲労。
明日は良くなる。
でも翌日は良くならなかった。
ルシアンは夜明け前に目覚めた。
本当には眠っていなかった。
目を閉じたまま起きていただけ。
いつも見ていた——
ドオオオオオン。
爆発。
そして彼...いつも彼。
立ち上がった。
再び部屋の中央に行った。
今日は機能する。機能しないと。
「ファイアボール」
火花。弱い。昨日より少ない。
「だめだめだめ——」
「ファイアボール!」
何もない。
「ファイアボール!」
オレンジの閃光。一秒続く。消える。
ルシアンは拳を握りしめた。
手が震えていた。
また。もう一度。また、くそ。
一時間後——十回の試み。
二時間——二十回。
三時間——三十回。
毎回——
弱い火花。あるいは何もない。
本当の炎は決してない。
制御された球体は決してない。
何千回も呼び出したファイアボールは決してない。
膝が崩れた。
床に座っていた。
ベッドに背中をもたれて。
頭を手に。
何が起こっている?
目を閉じた。
そして見た——
訓練場。
ヘリオが手を上げた。
「有名な魔法を見せてくれ」
笑っていた。自信を持って。
無能なヌルがいつものように失敗する。
それから——
ドオオオオオン。
光。熱。恐怖。
あれは何だった???
脚が崩れた。
膀胱が空になった。
脚の間に温かい湿り。
広がる染み。
「見ろ、皇子が——」
声。ささやき。笑い。
いや。笑っていなかった。
でも彼は笑いを聞いた。いつも。
ヘリオの目。
彼を見ていた。
憎しみではなく。
もっと悪い。
...何もない。
ルシアンが脅威でさえないかのように。
まるで...
...無関係。
ルシアンは目を開けた。
激しく息をした。
額に冷たい汗。
立ち上がった。
よろめいて。
だめ。
僕は皇子だ。ランクA。天才。
僕は...僕は...
両手を上げた。
「ファイアボール!」
火花。右。
火花。左。
両方消えた。
「だめ!」
「ファイアランス!」
何もない。
「炎の壁!」
哀れな火花。
「ライトニング!」
半秒続いた弱い閃光。
ルシアンは叫んだ。
欲求不満。絶望的。
続けた。
呪文の後に呪文。
知っている全て。
火。水。土。空気。雷。氷。光。
毎回——
失敗。
火花。
何もない。
あるべきものの影。
手が血を流し始めた。
物理的にではない。
でも痛みを感じた。
マナ自体が拒否しているかのように。
体が言っているかのように——
だめ。もうだめ。決して。
再び崩れた。
今回は完全に。
床に横たわった。
上を向いて。
天井を見つめた。
なぜ機能しない?
最後に本当の魔法を発動したのは...前だった。
彼の前。
目を閉じた。
再び見た——
ドオオオオオン。
光。恐怖。
そして——
中のマナが...消えた。
スイッチが切られたように。
何が...
目を開けた。
マナはある。感じる。
でも使おうとすると...
...彼を見る。そしてマナが...逃げる。
唾を飲み込んだ。
魔法がないわけじゃない。
使うのが怖すぎるんだ。
僕がヌルになった。
思考が来た。
明確。容赦ない。
ヘリオはヌルだった。
今は五十メートル進んで四十センチの石壁を破壊する恐ろしい魔法をする。
僕はランクAだった。
今は火花も作れない。
交換した? 可能? 彼は...僕の力を取った?
いや。不可能。
魔法はそう機能しない。
でもじゃあどうやって?
答えがなかった。
恐怖だけ。
恥だけ。
そして成長する確信——
戻らない。決して。
終わった。
三日目はさらに悪かった。
ルシアンは部屋から出なかった。
召使がノックした。
「殿下? 昼食——」
「出て行け」
「でも殿下——」
「出て行けと言った!」
一人にした。
また試した。
五十回。百回。
毎回——悪化。
火花はもっと弱くなった。
炎はもっと短く続いた。
マナは...滑り落ちるようだった。
保持できないかのように。
手がふるいのようだった。
泣き始めた。
望まなかった。
でも止められなかった。
静かな涙。
試している間流れた。
また。また。また。
「お願い」ささやいた。「お願い、機能して」
でも機能しなかった。
四日目——
ルシアンはベッドから起きさえしなかった。
天井を見ていた。
手は休んでいても震えていた。
毛布の下。
隠されている。
でも震えていた。
魔法なしで僕は誰?
質問が戻った。
強迫的。
...ただの少年?
称号はあるが力のない貴族?
無用な皇子?
父は何と言う?
顧問たちは何と言う?
王国は何と言う?
「ルシアン皇子、かつての天才、今やろうそくさえつけられない」
笑い。ささやき。憐れみ。
憐れみ。
憎しみより悪い。
軽蔑より悪い。
憐れみ。
だめ。
飛び起きた。
だめ。
戻らない。アカデミーに。
全員が見たところに。
ヘリオが...
名前が歯を食いしばらせた。
ヘリオ。
ヌル。もうヌルじゃない。
僕を...何をした?
破壊した? 砕いた? 盗んだ?
分からなかった。
でも一つ知っていた。
戻れない。決して。
ドアがノックされた。
「殿下」
別の声。より権威的。
護衛隊長。
「殿下、話さないと」
「今はだめ」
「重要です、殿下」
ルシアンは躊躇した。
それからドアに行った。
わずかに開けた。
隊長が見た。
表情は中立。専門的。
でも目...心配?
「何?」
「殿下...召使が三日間出ていないと報告しています。食べていない。...大丈夫ですか?」
だめ。大丈夫じゃない。
最悪だ。それで?
「大丈夫だ」
「殿下——」
「大丈夫だと言った」
隊長がゆっくりうなずいた。
「お望み通りに。でも...陛下、父上が帰還の報告を求めます。何と言えば?」
ルシアンが彼を見た。
報告。父。アカデミー。
「言え...父に会いたいと伝えろ」
「もちろん、殿下。いつ——」
「今日。今。できるだけ早く」
隊長が驚いたようだった。
「わ-分かりました、殿下。即座にメッセージを送ります」
ドアを閉めた。
再びもたれた。
いいだろう。
伝えないと。
...アカデミーを去らないと。
戻れない。
戻りたくない。
手が震えた。もっと強く。
父は理解する。理解しないと。
僕は息子だ。
守ってくれる。
...そうだろう?
二時間後——
再びノックされた。
「殿下!」
急いだ声。
ルシアンが開けた。
隊長の表情が...緊張していた。
「何が——」
「陛下がメッセージを受け取りました」
間。
「そして...アカデミーからの報告も受け取りました。事故について」
ルシアンの心臓が止まった。
「報告?」
「はい。ハーウィンド学長から。...爆発を説明しています。壁。トラウマを受けた生徒たち」
ああ、だめ。
「そして陛下は...陛下は即座に会いたいと」
「いつ——」
「今です、殿下。おっしゃいました——」
隊長が躊躇した。
それから声を下げた。
「『連れてこい。即座に』と」
ルシアンが青ざめた。
その声。
知っていた。
数回しか聞いたことがなかった。
父が——
激怒している時。
「分かった」ほとんどささやきで言った。「行こう」
城の廊下を通って歩いた。
ルシアンが隊長の後ろ。
一歩一歩が...最終的に見えた。
処刑に向かって歩くように。
何と言う?
どう説明する?
「父、怖いです」だめ。皇子は恐れない。
「父、魔法が消えました」だめ。弱く聞こえる。
「父、戻れません」...多分。
玉座の間の扉に着いた。
警備兵が開けた。
ルシアンが入った。
広間は大きかった。
高い柱。塗られた天井。
そして奥に——
玉座。
母、女王もいた。
心配そうに見えた。
アルダス王が座っていた。
頭に王冠。肩にマント。
表情——
氷。
両脇に——
二人の顧問。年老いた魔法使い。武器マスター。
全員が見ていた。
ルシアンが前に歩いた。
中央まで。
膝をついた。
「父上」
沈黙。
長い。
重い。
それから——
「立て」
冷たい声。制御されている。
でも下に——
怒り。
ルシアンが立った。
視線を低く保った。
「私を見ろ」
目を上げた。
王が見つめた。
氷のような青い目。
「説明しろ」ゆっくり言った。
「なぜ王立アカデミーの学長が私に報告を送った。お前が——私の息子が——施設を去ることを要求したと」
間。
「そしてなぜ——なぜ——三日前に家に戻って部屋に閉じこもった。臆病者のように私に直接向き合う代わりに」
声が上がった。わずかに。でも十分。
ルシアンは震えた。全身が。
「私は...父上、私は——」
「話せ!」
雷。
ルシアンが飛び上がった。
そして——
止められなかった。
言葉が出た。
壊れた。乱れた。
「彼が...ヘリオが...存在すべきでない魔法をして、そして私は...見て、そして今できない...もうできない——」
止まった。
もう魔法ができない。
言葉が出なかった。
恥ずかしすぎる。
...最終的すぎる。
王が見ていた。
冷たく。
「もう何ができない?」
ルシアンは視線を下げた。
沈黙。
「私を見ろ、ルシアン」
苦労して目を上げた。
王が身を乗り出した。
「言え」刃のように低いが鋭い声で言った。
「本当に何が起こった?」
そしてルシアン——
皇子。
天才。
王国の未来。
——何と答えるべきか分からなかった。




