表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四つの基本的な力の魔法使い ー 物理学者から魔法使いへ、状態変化を経て  作者: Adriano_P


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/159

逃亡と山賊

第18章 逃亡と山賊



夜明けが空をピンクとオレンジに染めた時、馬車がアカデミーを出た。

ケールとマーカスが中に座り、閉じたカーテンの後ろに隠れていた。

足元に袋。ポケットに偽の書類。よく隠された五百金貨。


「やった」マーカスが囁いた。震える声だが希望に満ちて。「出た」

ケールがカーテンの隙間から外を見た。アカデミーの壁が遠ざかっていた。ますます小さく。

「まだじゃない」言った。「国境を越えるまで」

「でも自由だ。裁判なし。刑務所なし。何も——」

「うん」ケールが背もたれに寄りかかった。目を閉じた。「自由」


馬車が加速した。

地平線に消えて。

北へ。

救いへ。


あるいは救いだと信じていたものへ。



三時間後、保健室で一人だった。

母さんと父さんは休むために家に帰っていた。セラフィンは授業があった。エリーゼは軍事報告で忙しかった。


ついに沈黙。

そして考える時間。


左腕を見た。まだ包帯。右脚、固定されている。

肋骨が呼吸するたびに痛んだ。

通常の治癒は何週間もかかる。多分何ヶ月。


でも僕には何週間もなかった。

裁判は明日。たった一日。動けなければならなかった。証言するために。



ドアが開いた。

年老いた治癒師が入ってきた。新しい包帯と小さなポーションの瓶を持って。


「おはよう、ヴァロリンさん。調子は——」


立ち止まった。

僕を見た。


「顔に色が戻っている」


「そうですか?」驚いて聞いた。


近づいてきて、優しく腕に触れた。手の下で緑の薄い光が輝いた。


「ふむ……腫れが少し減っている。多くはないが……奇妙」脚も確認した。「ここも。循環が改善されている? どうやって……?」


混乱した目で僕を見た。

「何かしましたか?」


「僕は……たくさん水を飲んだ?」嘘をついた。「そして少し動こうとした」


「水」懐疑的に繰り返した。「動く」


「はい?」


完全には信じていなかった。でもより良い説明がなかった。

「そのまま続けてください」首を振りながら言った。「何をしているにせよ、機能しているようだ」


ドアの方へ向かいながら、ぶつぶつと付け加えた——

「腕の腫れは……黒胆汁が多すぎる……粘液も多い……四つの体液のバランスが崩れている……ハーブティーと、少しの忍耐で……」


そして出ていった。



止まった。

黒胆汁? 粘液?


中世の概念だ。

存在しない。

それなのに……機能している。


ベッドに座り直した。混乱して。

どういうことだ?


目を閉じた。ゆっくり呼吸した。

もしかしたら……リキに、助けを求めるべきかもしれない。


体の中を、軽い震えが走った。

まるで内側の扉を開けるように。


『リキ……?』


——いる——


僕とは違う、落ち着いた、分析的な声が答えた。


『リキ……治癒師は四つの体液について話していた。中世の、誤った概念だ。それなのに、体は反応している。どうやって……?』


——仮説だ——


リキが言った。


——科学的方法。第一、観察——機能している。第二、使用者——治癒師——が認識している法則が、マナに作用を与える。第三、マナは意志を物理的な作用に翻訳するが、その精度は使う者によって制限される——


『つまり……マナは命令を実行するが、それが正しいかどうかは知らない、ということ?』


——おそらくな——


——このマナが何であれ、通訳のように機能している。治癒師は四つの体液を信じている。だからマナはその信念に基づいて命令を実行する。結果は近似的だが、体が反応するには十分だ——


『じゃあ……僕の場合は……?』


——我々は物理を知っている。現実により近い読み方だ。マナはより精密な、より良い命令を翻訳する。結果はより強力で、より精密な効果になる。意志が、知識と出会う——


まるで人工知能のようだ、と思った。プロンプトが曖昧であればあるほど、結果は不正確になる。明確で詳細であればあるほど……うまく機能する。


『つまり……治癒師が四つの体液を信じていれば、マナは……その命令を、たとえ間違っていても実行する。それでも機能するのは、体が反応するからだ』


リキが心の中で前に出てきた。


——そうだ。その通り。マナは実行機構のようなものだ。道具だ。判断はしない。理論が正しいかどうかは知らない。ただ実行する。命令の精度が、効果の質を決める——


ある考えが、心の隅で忍び込んだ。

マナを作ったのは誰だ? ずっと存在していたのか、それとも誰かがここに置いたのか?


リキが頭を振った。


——今はやめておけ。役に立たない。形而上学に時間を使うな。今、応用できることに集中しろ——


うなずいた。

そうだ。まず理解する。それから起源について考える。



目を開けた。

腕と脚が、より温かく、より生きていると感じた。

奇跡的な治癒じゃない。でも効果がある。小さい、制御可能、現実的な。


ゆっくり拳を握った。

マナの細い糸を感じた。か細いが、覚醒している。

できる。理解できる。より精密にできる。


リキが、心の中で一歩下がった。僕に場所を譲って。

二重の声は疲れている……でも、共に働く準備ができている。



『何かできる?』


目を閉じた。

考えた。

治癒。実際にどう機能する?

分裂する細胞。修復する組織。石灰化する骨。

そして僕は……何も知らない。


リキは物理学者だった。医者じゃない。生物学者じゃない。


——だが好奇心はあった。続けろ——


少し笑いそうになった。

わかった、わかった。続ける。


粒子、力、場を知っていた。解剖学じゃない。細胞生理学じゃない。

でも多分……多分何かの方法で助けられる。

「治癒」じゃない。でも……促進?


人体は電気信号で機能する。これは知っていた。

ニューロンは活動電位を通じて通信する。イオンが細胞膜を通って動く。

そして細胞は酸素、栄養が必要、修復するために。


血液循環。


もし損傷した領域の血流を改善したら……

より多くの酸素。より多くの栄養。より速い自然治癒。

試す価値があった。


マナを感じた。今より明確に流れる細い糸。

傷ついた腕に導いた。


電磁場。低強度。でもどれくらい低い?

リキが知っていた周波数について考えた。

ELF——極低周波。地下通信に使用。

約3Hzから30Hz。


でもどの周波数具体的に?

10Hzを試した。任意。

腕が……何もない。何の感覚もない。


弱すぎる? 強すぎる? 周波数が間違っている?


7.83Hzに下げた。シューマン共鳴——どこかで読んだ。地球の磁場の自然周波数。

もし人体がこの場で進化したなら……多分この周波数により良く反応する?


理論。ただの理論。


腕がうずき始めた。

何かが起こっている。

軽い。奇妙。

それから熱。繊細。


血管拡張? 毛細血管が開いている?

あるいはただ想像しているだけ?


分からない。道具がない。データがない。完全に盲目で飛んでいる。


続けた。五分。

うずきが続いた。

良い? 悪い? 誰が知っている。


十分。

熱がわずかに増加した。

もし誇張したら、損傷を引き起こす可能性がある。熱すぎる=悪化した炎症。

もし慎重すぎたら、何も起こらない。


バランス。でもどれ?


十五分で止めた。

疲れ切った。

機能したか分からない。でも少なくとも死んでいない。


小さな勝利。


場を脚に移動した。

同じアイデア。循環。多分炎症の減少? 炎症は……水? 液体? もし排水を改善したら……

確信がなかった。即興していた。


止めた時、疲れ切っていた。

痛みは……同じ? あるいは多分わずかに少ない?

言うのは難しい。

でも腕が……硬くない感じがした。

指を動かそうとした。

前はほとんど固定されていた。今……少し良い。


奇跡的な治癒じゃない。でも何か。

もっと理解しなければ。勉強。実験。

物理学を知っている。でもそれを医学に……生物学に……適用するのは違う。

工夫しなければ。創造的な方法を見つける。知っていることを使って、どうやるか知らないはずのことをする。


物理学、対、全て。


唯一の方法。



ドアが再び開いた。

治癒師が戻ってきた。確認のためだろう。


入ってきて、立ち止まった。

僕を見た。

そしてもう一度見た。


「これは……」


近づいた。今度はより急いで。包帯のロールをサイドテーブルに置くのを忘れたほどに。


腕を取った。指の動き、関節の柔軟性を確認した。

緑の光が、前より明るく輝いた。


「ありえない」呟いた。


脚も触った。圧をかけて。腫れを確認した。

眉が上がった。


「腫れが……ほぼ消えている。数時間前にあったのに」


僕を見た。今度ははっきりと不安そうに。

「ヴァロリンさん、本当に何をしましたか?」


「水を……たくさん」繰り返した。


「水ではこれは説明できない」


「動いた」


「動くことでもない」


僕を見つめた。長い間。

答えを探していた。見つからなかった。


「私は四十年間、治癒師をやっている」ゆっくり言った。「こんな速さでの回復は……数えるほどしか見たことがない。そして、そのどれもが、貴族や王族の、ランクの高いマナ使い手だった」


間。

「あなたは……ヌルなのに」


何も言わなかった。

言える言葉がなかった。


彼女は——いや、その治癒師は——首を振った。

「分からない」呟いた。「でも分からない方がいいかもしれない」


包帯を置いて、ドアの方へ向かった。

立ち止まって、振り向かずに付け加えた。

「明日は処置の必要がないかもしれない。様子を見ましょう」


そして出ていった。



腕を見た。

動かした。痛みなしで。ほぼ。


物理学:1。医学的無知:0。

今のところ。



二時間後、ドアが再び開いた。

エリーゼ。

鎧を外した。シンプルな服。ほどけた髪。

そして表情が……疲れている。


「やあ」言った。「大丈夫?」

「いいえ」ベッドの横の椅子に崩れ落ちて言った。「絶対に」

「何があった?」

「『何』じゃない。『誰』。人々。多すぎる人々」

「説明して」


こめかみをマッサージした。

「ここに来る間に十回止められた。十回、ヘリオ」

「何のために?」

「四人が一緒に訓練したがった——」

「そしてあなたは言った?」

「ケールとマーカスにしたように殴り殺すと」

「そして彼らは?」

エリーゼが信じられない表情で僕を見た。

「一人——一人——が『はい! できれば!』と言った」


笑い出した。

「笑わないで!」言ったが、彼女もほとんど笑っていた。「恥ずかしい!」

「面白い」

「それから」続けた「三人が『ただ話したい』と。二人がデートを提案した。そして一人の女の子が——」

止まった。顔を手で覆った。

「——女の子がバラをくれた」

「素敵」言った。

「赤、ヘリオ。赤。分かる?!」


笑いを抑えられなかった。

「面白くない!」

「とても面白い」

「普通に戻りたい」

「四十人の証人の前で二人を虐殺した。その船は出航した」

「分かってる」うめいた。「そして今何? アイドル? アイコン?」

「名声へようこそ」

「嫌い」

でも微笑んでいた。かろうじて。



ドアが再び開いた。

ヴィヴィアン。

エレガントな水色のドレス。三つ編みにまとめられた髪。そして手の間に——

花束。

大きい。カラフル。美しい。


「ヘリオ!」微笑んで言った。「持ってきた——」

止まった。

エリーゼを見た。

微笑みがかろうじて凍りついた。

「ああ。エリーゼ。もうここにいるのね」

「ヴィヴィアン」エリーゼが中立的な口調で言った。


わずかに気まずい沈黙。


それからヴィヴィアンが入り、ベッドの横のテーブルに花を置いた。

「あなたのために」言った。「……良くなるように」

「ありがとう、ヴィヴィアン」言った。「美しい」


彼女が微笑んだ。それからエリーゼを見た。

「こんなに早くここにいると知らなかった。忙しいと思った……何? サインを書く?」

エリーゼが眉を上げた。

「ごめん?」

「ああ、何でもない」ヴィヴィアンが甘いが鋭い調子で言った。「ただアカデミーの半分があなたについて話している。偉大な英雄。無敵の剣士」

「人々が勝手に——」

「もちろん。ただ……最近とても人気がある」間。「本当の男泣かせ」


エリーゼが彼女を見た。

「男泣かせ」

「はい。少なくとも……多分誰かを放っておけるかも。全員があなたの足元に落ちる必要はない」


口調は軽い。でも意味は明確。

ヘリオを放っておいて。


エリーゼがゆっくり立ち上がった。

ヴィヴィアンに向き直った。

微笑んだ。甘く。

「ね、ヴィヴィアン、正しい。人気になった。でもあなたが思うためじゃない」

「ああ?」

「『魅力的』や『カリスマ的』だからじゃない。何かをしたから。行動した。大切な人を守った」

僕を見た。それからヴィヴィアンに戻った。

「他の人は花を持ってきて望むだけ」


おお。


ヴィヴィアンが赤面した。「私は『望んで』ない——」

「もちろん」エリーゼが言った。「ただ……何て言うか……縄張りを示している?」


僕はそこに座り、テニスの試合のように交換を見ていた。

助けて。


「女の子たち」手を上げて言った。「本当に、必要ない——」

「ヘリオ、黙って」二人が同時に言った。


黙った。


ヴィヴィアンが背筋を伸ばした。「少なくとも私は注目を得るために人を虐殺する必要がない」

「いいえ、あなたは受動的戦略を好む。とても……高貴」

「そしてあなたは暴力を好む。とても……エレガント」


見つめ合った。


僕はドアを見て、どれだけ速く逃げられるか計算した。


それから——


ヴィヴィアンが笑った。

軽く。本物。

「わかった。このラウンドはあなたの勝ち」

エリーゼが微笑んだ。「競争じゃない」

「もちろん競争」


座った。二人とも。ベッドの両側に一人ずつ。

そして僕はそこに留まった。明らかに何らかのライバル関係を持つ二人の女の子の間に閉じ込められて、完全には理解していない。


僕の人生が複雑になった。



おしゃべりしていた——まあ、彼女たちがおしゃべりして、僕は愚かなことを言わないようにしていた——廊下で声が聞こえた。

高い。興奮した。


「何が——」

「——山賊——」

「——死んだ——」

「確か?」

「——馬車——」


三人全員がドアに向き直った。

エリーゼが立ち上がった。「何があった?」


「何が起こっている?」

廊下の学生が振り返った。

「ケールとマーカス! 山賊に殺された!」


沈黙。


「何?」ヴィヴィアンが急に立ち上がって言った。

「どうやって?」エリーゼが聞いた。

「馬車が北の道で見つかった。山賊に襲われた。二人が乗客だった。二人とも死んだ」



心臓が凍りついた。


「どうやって死んだ?」エリーゼが突然冷たい声で聞いた。

学生が青ざめた。「喉を切られた。二人とも。護衛は言う……速かったと」

「逃げていた?」聞いた。

「そう見える。馬車は国境に向かっていた。護衛は空の袋、散らばった書類を見つけた——いくつか燃やされていた——強盗のようだった」

「山賊が全て取った?」

「はい。金、書類、偽の身分……全て」

間。

「遺体だけを残した」


絶対的な沈黙。


ああ。

ああクソ。


ヴィヴィアンが口に手を当てた。「ああ神々……」


でも僕はエリーゼを見た。

そして彼女は僕を見た。

目が合った。

そして理解した。

二人とも。


山賊。

馬車。

便利すぎる。

きれいすぎる。


エリーゼが拳を握りしめた。

僕は目を閉じた。


ルシアン。

明らかにルシアン。

証人を排除した。


そして今安全だった。

完全に、完璧に安全。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
シューマン共鳴、lainを思い出した
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ