力の目覚め
正義の間のドアが開いた。
二人の治癒師が入り、彼らの間でヘリオ・ヴァロリンを支えていた。
沈黙がすぐに落ちた。
七十組の目が向き直った。
ヘリオがゆっくり前進した。一歩一歩が膨大な努力を必要としているように見えた。
頭に包帯。左腕がまだ包帯。目に見えて震える脚。
蝋のように青白い顔。
でも目...
目が違った。
より鋭い。より冷たい。まるで物を通して見ているかのように。
治癒師が証人席に同伴した。
座るのを助けた。
ヘリオが背もたれに重く寄りかかり、息を切らして呼吸していた。
ブラックヒル卿が席から彼を観察していた。
「ヴァロリンさん」重々しい声で言った。「証言する状態ですか?」
ヘリオが真っ直ぐになろうとした。口を開けた。
「僕は...はい、裁判長。僕は――」
声が弱く出た。壊れて。
続けようとしたが椅子でよろめいた。
治癒師の一人が支えた。「ゆっくり、ゆっくり」
マジスター・クレインが跳ね上がった。「裁判長、この証人は明らかに信頼できる証言を提供する能力がありません! 状態を見てください!」
フェリスが反対側から立ち上がった。「異議! ヴァロリンさんは落下の唯一の直接証人です! 聞かれなければなりません!」
「この状態で?」クレインがヘリオを示した。「かろうじて話せる! 何を言っても外傷、痛み、薬の影響を受けます――」
「証言する権利がある!」フェリスが叫んだ。
「医療が必要だ!」
クラック。
ブラックヒルの小槌が強く叩いた。
「静粛。両方」
フェリスとクレインが座ったが、まだ敵意を持って見合っていた。
ブラックヒルが長い間ヘリオを見た。
少年が真っ直ぐ座ろうとしていた。でも体が疲労を裏切っていた。手が落ちないように席の端を握りしめていた。
「ヴァロリンさん」ブラックヒルがより優しく言った。「証言したいですか?」
「はい」ヘリオが囁いた。
「現在の状態では、証言が疑問視される可能性があることを理解していますか?」
「僕は...全て覚えています。言えます――」
咳が中断した。痛みを伴う。体が曲がった。
治癒師が席に近づいた。「裁判長、お願いします。この少年は非常に深刻な外傷を受けました。折れた肋骨、頭部外傷、六日間の完全な無意識。必要です――」
ブラックヒルが手を上げた。
他の二人の治安判事と簡単に相談した。
囁き。うなずき。
それから法廷に向き直った。
「決定しました」
絶対的な沈黙。
「ヴァロリンさんは今日証言するには明らかに弱すぎます」
被告席で、カエルとマーカスが目に見えてリラックスした。神経質な微笑み。
マーカスが囁いた:「やった――」
「しかしながら」
言葉が刃のように空気を切った。
「この裁判は開いたまま。却下されない。結論されない。開いたまま」
微笑みが消えた。
「裁判は三日延期されます」ブラックヒルが続けた。「ヴァロリンさんは怪我から回復するのに十分な時間があります。そして――」カエルとマーカスを直接見た「――証言します」
間。
「そしてこの法廷は一言一句聞きます」
小槌を叩いた。
クラック。
「この法廷は休廷します。全員退出自由。三日後、同じ時間に会いましょう」
法廷が囁きで爆発した。
「たった三日――」
「だから裁判は続く――」
「ヘリオは何を言う?」
カエルが青ざめていた。マーカスが頭を手の間に置いていた。
クレインが彼らに向かって身をかがめ、何かを素早く囁いた。おそらく指示。戦略。
貴族観客席のルシアンが一瞬座ったままだった。
制御された表情。でも手が椅子の肘掛けを握りしめていた。
三日。
たった三日。
そしてそれから全てが崩壊する可能性があった。
ゆっくり立ち上がり、後ろを見ずに出た。
証人席で、治癒師がヘリオを立ち上がらせるのを助けた。
「ゆっくり」一人が言った。「私に寄りかかって」
セレストが彼らに走り、オルドリックがすぐ後ろ。
「ヘリオ!」
セレストが彼を抱きしめた――優しく、怪我に注意して――目に涙。
「聞こえた。一瞬、話すのが聞こえた」
「大丈夫、母さん」ヘリオが囁いた。
「いいえ、大丈夫じゃない」オルドリックが息子の肩に手を置いた。「休む必要がある。家に帰ろう」
ヴィヴィアンが近づいた。「ヘリオ、やり遂げた。戻ってきた」
彼が弱く微笑んだ。「やあ、ヴィヴィアン」
そして――
「失礼?」
穏やかな声。旋律的。
セラフィン教授が近づいていた。
「ヴァロリンご夫妻、セラフィンです。マナ制御を教えています。あなたの息子は私の学生でした」
「教授」オルドリックが認識して言った。
「彼を外に連れて行くのを...手伝えますか? 階段が難しいかもしれません」
セレストがうなずいた。「ありがとう」
セラフィンがヘリオの反対側に位置し、支えた。
そして彼に触れた時、一瞬、目が見開かれた。
マナ。
だった...
違う。
前とはとても違う。
でも何も言わなかった。まだじゃない。
エリーゼが廊下で彼らに追いついた。
「ヘリオ」確固たる声だが心配そうな目で言った。「大丈夫?」
「六日前より良い」彼が微笑もうとして答えた。
「これで冗談言わないで」でも彼女も涙目で微笑んだ。
「ありがとう」ヘリオが言った。「してくれたことに。カエルとマーカスに。聞いた」
「当然の報いを受けた。いや、半分も受けていない」両親を見た。「私が馬車まで連れて行く?」
「ありがとう、エリーゼ」セレストが言った。
建物を出た。
アカデミーの中庭が人でいっぱいだった。学生、貴族、延期された裁判について熱心に話す野次馬。
午後の太陽が輝いていた。新鮮な空気。花壇から草と花の匂い。
ヘリオが深呼吸した。
自由。
六日間の暗闇の後、本物の空気。
「馬車はあそこ」オルドリックが示して言った。
「家に帰ろう」セレストが言った。「休んで、食べて、回復して――」
「そして」オルドリックがより厳しい声で付け加えた「証言する。そしてあのろくでなしが代償を払う」
ヘリオがうなずいた。
数歩進んだ。
そして――
ブラアアアアアム。
トランペットの音。
高い。鋭い。執拗。
中庭の全員が止まった。
壁を見た。
トランペットが再び鳴った。
ブラアアアム。ブラアアアム。ブラアアアム。
「何が――?」セレストが始めた。
壁の護衛が叫んだ。
「警報! ワイバーンが接近!」
「北から群れ!」
「全戦力防衛に!」
パニック。
即座。完全。
中庭の群衆が叫びで爆発した。
「ワイバーン?!」
「どこ?!」
「避難所に!」
あらゆる方向に走る人々。
押し合う学生。命令を叫ぶ貴族。避難を組織しようとする護衛。
「全員地下避難所に! 動け!」
オルドリックがセレストの手を握りしめた。「行こう! 今!」
「ヘリオ、走れる?」エリーゼが聞いた。
ヘリオが脚を見た。立っているだけで既に震えていた。
「僕は...できない――」
馬に乗った男が全速力で中庭を横切った。
侯爵ローランド・ソーンウィック、部分的な鎧を既に着て、腰に剣。
「エリーゼ!」叫んだ。
エリーゼが振り返った。「父上?」
「私と! 軍が利用可能な全ての剣士を動員している! 徴用された!」
「でも私は――」ヘリオを見た。
「命令だ!」
彼の後ろで、他の兵士が到着していた。組織化。列を形成。
エリーゼがヘリオを見た。目に葛藤。
「行って」ヘリオが弱いが確固たる声で言った。「彼らを守って」
「でもあなたは――」
「行って!」
ローランドが再び叫んだ。「エリーゼ! 今!」
彼女が最後の一秒躊躇した。
それから父親に向かって走った。
兵士が用意していた馬に飛び乗った。
「安全に!」ヴァロリンに向かって叫んだ。
そして侯爵に従って北の壁に向かって全速力で出発した。
中庭で、混乱が続いた。
「避難所に! 動け!」
セレストがヘリオを引いた。「行こう! 避難所は――」
「図書館の下」オルドリックが完成させた。「来て!」
でもヘリオは走れなかった。
一歩一歩が痛み。ほとんど諦める脚。
セラフィンが彼らに並んだ。「一緒に残ります。手伝います」
中庭を横切った。
群衆は既に薄くなっていた。ほとんど全員が逃げていた。
彼らの上、空。
そして北の地平線に――
黒い点。
たくさん。
速く近づいていた。
「ああ神々」セレストが囁いた。「何匹?」
「多すぎる」オルドリックが言った。
ワイバーンが今見えた。二十。三十。多分それ以上。
青い空に対する黒い生き物。広い翼。空気を鞭打つ尾。
そして音――
叫び。咆哮。鋭い金切り声。
壁で、兵士が位置についた。
魔法使いが手を上げた。
「発射!」
火球、氷の槍、岩の弾丸、矢が空に向かって発射された。
いくつかのワイバーンが落ちた。打たれた。墜落。
でも他は逸れた。回避した。
前進し続けた。
「動け!」オルドリックが叫んだ。
でもヘリオがよろめいた。
片膝をついた。
「ヘリオ!」セレストが支えた。
「できない...できない...」
セラフィンが反対側から彼を取った。「立って! しなければ――」
影。
突然。
彼らの上に降りた。
全員が顔を上げた。
ワイバーンが群れから離れていた。
大きい。太陽光で輝く黒緑の鱗。幅六メートルの翼。歯でいっぱいの顎を持つ三角形の頭。
飢えで輝く黄色い目。
急降下した。
地面を震わせるブームで彼らの前に着地した。
翼が閉じた。尾が空気を鞭打った。
高さ三・五メートルで立っていた。鱗の下で波打つ筋肉。
そして彼らを見た。
獲物。
簡単。
無防備。
顎を開けた。空気を振動させる咆哮。
ラアアアアアグ!
セレストが叫んだ。
オルドリックが前に立った。「逃げろ!」
でも時間がなかった。スペースがなかった。
ワイバーンが一歩前に出た。
それからもう一歩。
ゆっくり。獲物の恐怖を楽しんで。
セラフィンが他の前に位置した。
手を上げた。
「風のバリア!」
手が緑の光で輝いた。
空気の壁が彼らの前に形成された。震える硝子のように見える。
ワイバーンが止まった。
バリアを見た。
それから、ほとんど軽蔑的な無頓着さで、それを通って歩いた。
空気の壁が煙のように散った。
セラフィンが叫んだ。ワイバーンの尾が横に打った。
後ろに飛び、壁に激突した。
地面に倒れ、ぼんやりした。
「教授!」ヘリオが叫んだ。
ワイバーンがまた前進した。
オルドリックが手を上げた。「火球!」
何もない。
ランク∅。息子のように。
再び試した。必死に。
「火! 何でも!」
何もない。
セレストが泣いていた。「いや、いや、お願い――」
ワイバーンが顎を開けた。
もっと広く。もっと広く。
噛む準備、半分に切る準備。
ヘリオが見た。
前に立つ父、震え、無力。
泣く母、恐怖に陥った。
地面のセラフィン、立ち上がろうとして。
そしてワイバーン。
前進していた。
もう違う。
頭の中の声――彼の、でも他の誰かの。
無力なままでいられない。
また。
二度と。
立ち上がった。
脚が震えた。体が痛みを叫んだ。
でも立ち上がった。
「ヘリオ、だめ!」セレストが叫んだ。
でも彼は一歩前に出た。
ワイバーンに向かって。
生き物が止まった。ほとんど好奇心旺盛。
この小さな人間。弱い。傷ついた。
彼女に向かって来ている?
ヘリオが目を閉じた。
マナを感じた。
セラフィンが教えたように。
細い糸。地下の川。
でも今...
今は違った。
より強い。より明確。
そしてその後ろに――
記憶。
彼のじゃない。
リキ・タクヤ博士。
生物の体は主に水で構成されている。
H₂O。
分子結合。
沸点:標準大気圧で100°C。
でももし温度を上げたら...
1000°C。
5000°C。
15,000°C...
完全なイオン化。
プラズマ。
電子が核から引き裂かれる。
物質が純粋なエネルギーになる。
ヘリオが目を開けた。
「火球」と思わなかった。
「土の槍」と思わなかった。
思った:
「生体 = ~60% H₂O。Q = mcΔTを適用、ΔT → 15,000K。分子解離: H₂O → 2H⁺ + O²⁻ + プラズマ。放出エネルギー: 完全イオン化のためのE = mc²。結果: 壊滅的な熱膨張」
手を上げた。
ワイバーンが咆哮し、前に突進した。
開いた顎。
ヘリオが囁いた:
「熱崩壊」
何もない。
一秒間。
ワイバーンが二メートルにいた。
一メートル。
半分――
それから始まった。
生き物が止まった。
まるで見えない壁を打ったかのように。
体が...輝いた。
中から。
オレンジ。それから赤。それから白。
それから――
青。
鮮やかな青、目がくらむほど。
鱗が照らされ始めた。全ての単一の鱗が燃えている石炭のように。
ワイバーンが咆哮した。
でも攻撃の咆哮じゃなかった。
痛みの叫びだった。
体が膨らみ始めた。
まるで中の何かが膨張しているかのように。皮膚に押し付けて。骨に。
鱗が上がった。
煙が口から出た。目から。鼻孔から。
生き物がねじれた。
荒々しく鞭打つ尾。
パニックで羽ばたく翼。
そして――
ブウウウウム。
爆発が彼らを地面に投げた。
爆発は火じゃなかった。
通常の魔法じゃなかった。
光だった。
中庭を満たした目がくらむほどの白青。
草が曲がるほど強烈な熱の波。石畳がひび割れた。
ワイバーンの体が文字通り気化した。
肉。骨。鱗。
全てが一秒の一部で灰と煙に溶けた。
衝撃波が広がった。
オルドリックとセレストが後ろに投げられ、地面に倒れた。
セラフィンが目を覆い、壁に押し付けた。
近くのステンドグラスが震えた。いくつかがひび割れた。
そして――
沈黙。
上昇する煙の音だけ。
黒い雪のように落ちる灰。
オルドリックがゆっくり立ち上がった。
見た。
以前四メートルのワイバーンがあったところ...
今は炭化した地面の円だけ。
そして中心に――
骨格。
黒い。煙を出している。
見ている間に粉に崩れた。
誰かが何か言えるまでに数秒経った。
そして多くの秒後...
「何が...」オルドリックが囁いた。「何が起こった?」
セレストが震えながら立ち上がった。
ヘリオに向かって見た。
少年がまだ立っていた。手を上げて。
でもそれから――
脚が諦めた。
膝をついた。
「した...」
弱い声。疲れ切った。
「本当にした...」
セレストが彼に走った。「ヘリオ!」
彼に到達し、完全に倒れる前に支えた。
「安全、安全――」
でも彼を抱きしめながら、息子を...畏怖で見ていた。
何かを見たばかりだった。
理解できない何か。
不可能な何か。
セラフィンがゆっくり立ち上がった。
わずかに足を引きずりながら、近づいた。
ワイバーンの残骸を見た。
ヘリオを見た。
それから――
手を伸ばした。少年の肩に触れた。
目を閉じた。
マナを感じた。
そして目が見開かれた。
「あなたのマナ...」囁いた。
ヘリオが混乱して、疲れ切って彼女を見た。
「もう『待機中』に振動していない」セラフィンが驚異に満ちた声で続けた。「それは...目覚めている」
より近く身をかがめた。
「何をした? どうやって――」
「魔法じゃなかった」ヘリオが疲労で壊れた声で言った。
「何?」
「魔法じゃなかった、教授」彼女の目を真っ直ぐ見た。「物理学だった。熱力学。電磁励起によるプラズマのイオン化」
沈黙。
セラフィンが彼を見つめていた。
「何が...一体何を意味する?」
ヘリオが弱く微笑んだ。
「みんな間違っているということ。四元素について。魔法について。全てについて」
声が弱くなった。
「火は元素じゃないということ。ただ...燃焼の閾値まで加速された分子運動エネルギー...」
目が閉じた。
体が倒れた。
「ヘリオ!」セレストが彼を揺さぶった。
「気絶した」オルドリックが脈を確認して言った。「生きている。でも気絶した」
遠くで、壁で、戦闘が続いていた。
叫び。爆発。ワイバーンの咆哮。
でも中庭で――
沈黙。
四人。
そして殺されるべきではなかった生き物の煙を出す残骸。
こうじゃない。
昏睡から出たばかりの少年に。
ヌルに。
見たことのない爆発で。
セラフィンが手を見た。
震えていた。
「一体何を見たばかり?」囁いた。
誰も答えなかった。
なぜなら誰も知らなかったから。
彼らの上で、ワイバーンの群れが撃退された。
軍が勝った。
エリーゼが壁から中庭を見た。
煙を見た。灰。
あそこで何が起こった?
でも行けなかった。まだじゃない。
戦いは終わっていなかった。
そして中庭で、オルドリックとセレストが気絶した息子の体を運び去る間、セラフィンがショック状態で彼らの後ろを歩く間――
一つの単一の質問が心に響いていた。
この少年は一体誰?
そして物理学...熱何とか学...あの何かとやらは一体何?




