意識
グレイスパイア山から落ちて五日目だった。五日間の昏睡、五日間の沈黙。
保健室の部屋で、セレスト・ヴァロリンが不快な椅子で眠っていた。頭をベッドの端に置いて。
毎晩そこで過ごし、去ることを拒否していた。一人にすることを拒否して。
オルドリックは一時間前に家に戻った――洗って、着替えて、何か食べる必要があった。夜明けに戻る。治癒師がその夜ヘリオを診察した。一日二回するように。
「安定」言った。「骨は治癒している。でも頭は...」文を終えなかった。
必要なかった。
机の上のろうそくが低く燃え、蝋が皿に垂れていた。
窓が半開きで、夜風がカーテンを動かしていた。
ヘリオが動かずに横たわっていた。呼吸していた。
胸がゆっくりだが規則的に上下していた。
頭の周りの包帯はその朝交換されていた。より清潔。血が少ない。でも彼は目を覚まさなかった。動かなかった。目を開けなかった。
でも何かが変わっていた。心の奥深く、体が従えない場所で、何かが...移動していた。
夢のように。いや。夢じゃない。もっと何か。
ヘリオが目を開けた。
少なくとも、そう思った。
でも自分の目を通して見ていなかった。見ていた...上から?
天井が下にあった。
いや、上。いや――
回転した。そして見た。
ベッド。部屋。
椅子で眠っている母。そしてベッドに...
彼。
ヘリオが上から自分の体を見た。
動かない。青白い。
包帯。包帯を巻かれた腕。
それは僕だ、と思った。僕は...自分自身を見ている。
手を動かそうとした。下を見た――でも手がなかった。ただ...思考。
形のない意識。
話そうとした。「母さん?」
音がなかった。
セレストが動かなかった。
僕を聞けない。
話せない。
できない――
パニック。
ヘリオが降りようとした。体に戻ろうとした――
何もない。
浮かんでいた。宙に浮いて。非実体。
何が起こっている?
僕は...死んだ? これが死ぬ時に起こること?
いや。体はまだ呼吸していた。見えた。上下する胸。
死んでない。僕は...分離している。
母に触れようとした。手――手の思考――が通り抜けた。
霧のように。何もないように。
何もできない。ただ...見るだけ。
どれだけ時間が経った? 分からなかった。
時間が奇妙に見えた。弾力的。
ろうそくが燃えた。ゆっくりと。
垂れる蝋。母が呼吸した。眠った。
そして彼は浮かんだ。存在するが無力。
ドアが開いた。
ゆっくり。注意深く。
ヘリオが向き直った――いや、意識が移動した。
人影が入った。看護師の服。保健室の白いチュニック。
でも何かが間違っていた。
顔が覆われていた。鼻と口の周りに巻かれたスカーフ。目だけが見える。
看護師――いや、看護師じゃない――が閾値で止まった。ベッドに向かって見た。眠っているセレストに向かって。
待った。
一分。二分。
セレストが動かなかった。
人影がゆっくり近づいた。静かな足音。制御されている。
ベッドの横で止まった。ヘリオの体を見た。
そして目の中の何か――冷たく、計算された何か――がヘリオの心に警報を鳴らした。
誰? 何が欲しい?
人影が最後にもう一度周りを見た。
それからチュニックのポケットに手を入れた。
何かを取り出した。
注射器。小さい。
中に暗い液体。
ヘリオが見た。そして理解した。
いや。いや。
毒。僕を殺したい。
叫ぼうとした。「母さん! 起きて!」
音がなかった。
セレストが眠り続けた。頭をベッドに置いて。
人影が注射器からキャップを外した。ろうそくの光で輝く液体。
ヘリオの腕に向かって身をかがめた――健康な方、包帯なし。
いや!
ヘリオが動こうとした。彼に向かって飛ぼうとした。何かをしようと。
意識が移動した――でもただの思考。霧。何もない。
触れられない。押せない。できない――
注射器が皮膚に近づいた。
誰か! 助けて! 母さん!
沈黙。
針の先端が腕に触れた。皮膚を貫いた。
半センチメートル。一センチメートル。
ゆっくり。正確に。
静脈を探して。
いやいやいやいや――
ヘリオが絶対的な絶望を感じた。完全。
全てを見ていた。全てを理解していた。
そして何もできなかった。
何か――何かしなければ――
魔法! そう。魔法。
魔法を使わなければ。
持っている全てを集中した。意志の全ての欠片。
「火球!」
可能な限りの力で言葉を思った。
「火球!」
何もない。炎なし。熱なし。
ヌル。いつものように。
いや! 今じゃない! お願い!
針がより深く貫いた。静脈を探して。ほとんど――
「土の槍! 盾! 何でも!」
何もない。
いつも何もない。
欠陥品。役立たず。
精霊としてもヌル。
針が静脈を見つけた。人影がプランジャーを押し始めた。
暗い液体が動き始めた。
一瞬。
これが全ての時間。
そしてヘリオには魔法がなかった。体がなかった。何も――
待って。
思考。
彼のじゃない。
いや、お前の。
何?
より古い。より深い。
ついに浮上する埋められた記憶のように。
声。外からじゃない。中から。
心の深いところから。壁が壊れた場所。
「魔法は存在しない」
リキ。
リキ・タクヤ博士。
僕。僕だった。僕だ。
「無から火を作れない。意志で土を命令できない。これらは幻想。物理学ができることの誤解」
分かる。今分かる。
十六年のヘリオが必死に魔法をしようとした。
三十二年のリキが宇宙を理解した。
二つの心。
一つの理解。
「でも基本的な力を操作できる。なぜならそれらは本物だから」
針。毒。ほとんど中に――
「宇宙の全てがこれらの力に応答する。全て」
...人間の体も?
質量。約80キログラム。
重力の対象。重力の力。
「重力は引力じゃない。時空の曲率だ、ヘリオ、知ってる」
アインシュタイン。
方程式。
子供の頃に理解せずに描いたもの。
今理解する。
Rμν - ½Rgμν = (8πG/c⁴)Tμν
曲率。張られた布の上のボウリングボールのように空間を曲げる質量。
そしてもし...曲げられたら?
「魔法で押しのけろ」じゃない。教えられたように。
でも「質量が重力を作る、重力は曲率、空間を曲げて全てが動く」
物理学。魔法じゃない。物理学。
毒が入っていた。
一ミリメートル。二ミリメートル。
速く。速く考えろ。
F = ma。質量約80kg、距離1.5m。押すには加速度50m/s²が必要――通常の重力の五倍。集中。一方向。時空を曲げる、重力勾配ベクトルを生成。少しでも間違えたら、全ての骨を折る。
なら重力を変えろ。空間を曲げろ。今。
暗殺者の体。質量:~80 kg。
距離:~1.5メートル。
ヘリオ――いや、リキ――いや、両方――
「土の槍」と思わなかった。
飛び出る岩を視覚化しなかった。
思った:「体の中心から2メートルの半径で時空を曲げ、暗殺者の反対方向に50 m/s²の重力勾配ベクトルを生成」
視覚化した――炎じゃない、元素じゃない――空間そのものが曲がるのを。
引き付ける代わりに反発する見えない窪みのように。
マナが応答するのを感じた。
命令にじゃない。
イメージの視覚化にじゃない。
理解に。
マナが何をすべきか知っていた。
なぜなら今――ついに――誰かが真実を告げていたから。
今押せ。
ブーム。
本当の音じゃない。
でも圧力の波。
見えない。
不可能。
人影が見えない巨人に打たれたように後ろに飛んだ。
滑らなかった。
つまずかなかった。
文字通り飛んだ。壁に向かって。
地面から浮き上がった体、腕が回転、ショックで見開かれた目――
クラック。
部屋全体を震わせる衝撃で壁に激突した。
絵が落ちた。
机が動いた。
注射器が手から飛び、床を転がり、暗い液体が白いタイルに血のように広がった。
セレストが急に目を覚まし、椅子で跳ね上がった。
「何が――?!」
壁に対する男を見た。
注射器を見た。
液体を見た。
すぐに理解した。
「護衛!」人生で使ったことのない声で叫んだ。「護衛!」
男――男だった、スカーフが落ちて普通の、怯えた顔を明らかにした――が叫んだ。
高い音。動物的。
立ち上がり、激しく震え、ベッドを見た。
ヘリオの動かない体を見た。
一センチも動いていなかった。
「幽霊――」男が恐怖で壊れた声で囁いた。「精霊――悪魔――」
「誰?!」セレストが立ち上がって叫んだ。
「護衛!」
男は待たなかった。
ドアに向かって走った。
蝶番がきしむほどの力で開け放った。
そして逃げた。
廊下に響く足音、ますます遠く、助けを呼ぶセレストの叫びと混ざって。
遠くの声。走る護衛。
でも男は既に夜に消えていた。
ヘリオが浮かんでいた。
上から場面を見ていた。
叫ぶ母、走る護衛、至る所に混乱。
床の注射器。
広がった液体。
壁のひび――深い、亀裂のクモの巣――男が激突した場所。
僕がそれをした。
手を見た。
手の思考。形のない霧。
でも何かをした。
機能した。
僕は...何かを動かした。
魔法なしで。
十六年。十六年の失敗。「ヌル」。「欠陥品」。「十分な親和性がない」。
嘘をついていた。
欠陥品じゃなかった。
親和性が欠けていなかった。
理解が欠けていた。
魔法は存在しない。物理学は存在する。
重力。電磁気。核力。
四つの基本的な力。
子供の頃に描いた方程式。
リキ――彼――が知っていた。
三十二年の知識。
十六年の体。
合計四十八年。
僕は両方だ。
魔法を探していたヘリオ・ヴァロリン。
物理学を理解していたタクヤ・リキ。
そして今...
ベッドの体を見た。
今、本当に何か分かる。
魔法使い。
いや。
物理学を「魔法」と呼ぶ世界の物理学者。
ドアが再び開いた。護衛。治癒師。興奮した声。
「何があった?!」
「男がいた――しようとした――注射器――」
「少年を確認!」
「安定、触れていない――」
「注射器を集めろ! 内容を分析させろ!」
「あの男を探せ! 遠くに行けない!」
混乱。
でもヘリオはもう聞いていなかった。
何かを感じていた。引っ張る何か。
意識――精霊、思考、何であれ――が滑り始めていた。
昏睡の暗闇に向かってじゃない。
別の何かに向かって。
より深い。
より広大。
彼のじゃない記憶。
研究室。コンピューター。画面の方程式。
男――彼、でもより年上、眼鏡をかけて――が夜遅くまで働いている。
会議。拍手。「リキ・タクヤ博士が統一の理解を革命化したばかり――」
打撃。痛み。暗闇。
「エネルギーは創造されない、破壊されない。変換される」
そして――
護衛が建物を捜索していた。
注射器が注意深く集められ、分析のために保健室の研究室に運ばれた。
壁のひびが測定され、写真を撮られ、研究された。
「これをするのにどれだけの力が必要?」護衛が囁いた。
セレストは聞いていなかった。
息子の手を握り、静かに泣いていた。
「お願い」囁いた。「お願い、目を覚まして。私のところに戻って」
ベッドで、ヘリオが動かずに横たわっていた。
でもまぶたの下で、目が動いていた。
速く。
深い夢のように。
あるいは再び生きている記憶のように。
治癒師が脈を確認した。
「加速している。昨日よりずっと」
呼吸を確認した。
「より深い。より強い」
額に手を置いた。
「燃えている...熱じゃない。でも熱。まるで――」
止まった。
「まるで?」
「まるで中の何かが...点火しているかのよう」
保健室から遠く、夜明けに溶ける夜に、暗殺者が走っていた。
廊下を通って。
階段を下りて。
アカデミーの複合施設の外。
まだ恐怖の顔。
幽霊。精霊。悪魔。
少年は動かなかった。目を開けなかった。でも何か――
何かが壁に投げた。
見えない力。
不可能。
影で待っている馬車に到達した。
中に這い上がった。
「終わった?」中から声が聞いた。穏やか。冷たい。
「僕は――ない――何かが――」
「終わった?」
「いいえ! いいえ、違う――何かがうまくいかなかった――」
沈黙。
それから声、さらに冷たく:
「なら失敗した」
「でも――でも何かあった! 力! 少年が――」
「少年は昏睡状態だ。何もできない」
「分かってる! でも――でも――」
声がため息をついた。
「行け。消えろ。もし見つかったら、知らない」
馬車のドアが開いた。
暗殺者が押し出され、道に倒れた。
馬車が出発し、石の上で車輪がガタガタ鳴った。
男がそこに残り、震え、遠くのアカデミーの明かりを見ていた。
それから立ち上がった。
そして反対方向に走った。
昇る夜明けに消えて。
保健室で、太陽が昇っていた。
窓から入る最初の光線。
ヘリオの顔に触れた。
温かい。
金色。
そしてその瞬間――
その正確な瞬間――
ヘリオ・ヴァロリンの指が動いた。
震えじゃない。
反射じゃない。
意図的な動き。
手が閉じた。
開いた。
再び閉じた。
窓の外で、夜明けが空をピンクとオレンジに染め始めていた。
五日目が終わろうとしていた。
そして何か――誰か――が目を覚まそうとしていた。




