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ガールズクロスライン 第10話(夜) 目覚めと黄金の階段
目を開くと、そこは漆黒の空に浮かぶ月と星の下だった。
眼前には黄金の光を放つ巨大なピラミッド。無数の灯籠が空へ舞い上がり、街の階段を埋め尽くす人々が歓声をあげていた。
白いフードを被った彼女が、振り返って微笑む。
「すごいでしょ? 夜は眠るものだと思ってた。でも……ここでは、夜こそが目覚めなんだ」
煌めく街の灯りが、彼女の瞳に映る。
「ほら、一歩ずつ登ってみよう。わたしたちの声も、この光に混ざるから」
月に照らされた彼女の横顔は、朝に見せた無防備さと重なり、夜の祭りに不思議なあたたかさを与えていた。
お読みいただきありがとうございます!
第10話は「屋根裏の朝」と「ピラミッドの夜」を対にしました。
次回もまた、新しい朝と夜の境界線でお会いしましょう。




