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【深層】4-37

 ダンジョン迷宮“16”第四階層

~ (中略)…その扉の中へと入っていた彼らが帰ってくることはなかった、、。確認できただけでも、これで3組の冒険者パーティが帰ってこなかったことになる、、。この迷宮は一時的に立ち入り禁止処置を実施することを進言する、、。少なくともAランク冒険者以上の冒険者に調査依頼を出すべきであろう… ~ ダンジョン迷宮調査員 アン・キシャラ・エスフィオナ


・・・


 コバヤシ達一行がその扉を抜けると、今度は自動的に扉が閉じていってしまった。

「綺麗、、」

そこは、どういう仕組みなのかコバヤシにはさっぱりだったが、これまでの洞窟とはがらりと変わり、まるで西洋の宮殿をイメージさせる一本道の廊下がずっとまっすぐ奥まで続いている。

幅はそれなりに広く、驚いたことに廊下の壁際にはいくつもの美しい装飾品が飾られている。こんなにも明るいのはなぜかとコバヤシは考えるが、すぐにこの廊下の壁という壁がすべてうっすらと光り輝いていることに気がつく。


「確かに、、綺麗です、ね、、」

コバヤシは辺りを確認しながらリーシアの言葉に応える。マップを確認したところ、敵と思える反応はこの廊下の奥に一つだけのようだった。

「おったから、おったから」

「これ、持ってちゃわない?」

ルゥが壁に飾られている装飾品をうっとり見つめながら言う。ドラコもどこか楽しそうに見える(相変わらず無表情だったが、、)


「それにしても、迷宮ってやつはこんなにも不思議な構造をしているものなのか、、?」

「うーん、、そうねぇ、、」

考えながらもメイがこちらのつぶやきに対して答えてくれる。

「私は、自分がこれまで潜ったことのある迷宮しか知らないけど、、」

そう前置きしてから続ける。


迷宮には、その迷宮によってそれぞれ独自の“造り”があるのよ。それに、迷宮によっては各階層ごとによってガラリとその“造り”が変わることもあるわ。まぁ、さっきの扉?みたいなのは私も初めて見たけど、、


こんな造りの迷宮はメイも初めて見たとのこと。

「そうか、、、まぁ、気を付けて進もう」

マップに映っている“奥の存在”がそこまで強いとは今のところあまり思えなかったが、油断は禁物だろう、、

「あと、戦利品に手を付けるのは依頼が終わってからにするぞ、ルゥ」

「は~い~」

「ドラコも」

「おった、、から、、」

コバヤシは二人にそう言い聞かせると、奥に向かって歩き始める。


・・・


廊下に飾られている装飾品は、絵画や宝石、金銀が散りばめられた武具なども多くあったが、なんとなくそれらに手を付けるのはためらわれた。

いや、それでも“奥のあれ”を片付けた後で改めて考えることにしよう、、

「それにしてもなんかここ、、なんか、少しだけ懐かしさを感じんのよね、、」

少しぼーっとした顔でルゥが言う。

そういえばこいつって、元々はヨーロッパの国から転生したんだったけか、、(ほとんど記憶はないとか言ってたが)

もしかしたらこの西洋にありそうな宮殿風の渡り廊下を、かつてどこかで見たことがあるのかもしれないな、、


「あ、また新しい扉ですねっ」

リーシアの言う通り、コバヤシ達の前には再び巨大な扉が現れる。といっても、先ほど通ったあの白い扉ほどの大きさではない。

今度は真っ赤な扉か、、

色こそ違えど、その扉にも華麗な装飾が全体に散りばめられている。コバヤシがその扉に触れると、やはり先ほどと同様に自動で開いていく。

一番奥までは、まだ結構あるな、、

コバヤシはマップを確認しながら扉を通過していく。やはりこの階層、フロアには魔物が全く居ないようだった。


「まだ結構あるのかしら」

廊下の先に目を凝らしながらルゥがつぶやく。コバヤシ達が全員扉を通りぬけると、白い扉の時と同様に自動で閉まっていった。試しに開けられないか試したところ、うんともすんとも言わない。

壊そうと思えば壊せないこともないかもしれないが、、

しかし今のところそこまでする緊急性も特に感じなかったので、このまま先へと向かうことにする。


そこから先もずっと同じような景色が並ぶ。一番奥に確認できる敵性存在はまだだいぶ先なのが分かっていたので、コバヤシはそれを皆に伝えておくことにする。

奥へ進んでいくにつれ、更にいくつもの扉が現れる。それぞれ青、黄、緑の一色であった。


最初の白い扉を通ってからしばらく経ち、同じような道をひたすら歩き続けていたので段々と時間や距離の感覚がおかしくなってきていることに気が付く。

「また扉ね、、」

メイが少し疲れた様子でつぶやく。


真黒な扉。大きさは最初の白い扉と同じ程度だろうか、、

コバヤシにはこの扉の奥に居る存在をすでに確認していた。ここに来るまでに一体の魔物とも出くわさなかったことを考えると、この先に居る存在がよほど強力な魔物ということだろうか、、

「それじゃ、とりあえずこの先に“居る”らしいから、まずは俺一人で確認してみるよ」

さっそく扉に手を触れようとするコバヤシが全員から止められる。


「ちょっとっ! 何言ってるのよっ!」

「私たちも行くってばっ!」

「そ、そうですよっ!」

「いっしょっ」

・・・。


「うーん、、いや、危険かもしれないし、とりあえず確認するだけでもさ」

コバヤシは困りながらもそう言い訳する。いや、確かめて(みんなにとって)危なそうだったら速やかに片づけてしまおうと考えてはいる。

「だからこそ普通は万全を期して全員で行くんじゃないっ」

…確かにそうなのだが、、


「わかった。それじゃあドラコと俺でまず中を確認する、でどうかな」

絶対に無理はしないからと、主にメイの顔を向いて応える。

「あい、いぇー」

ドラコが隣で“ガッツポーズ”をしている、、

「うーーーん、、まぁ、、それなら、、」

でも絶対に無理はしないようにねと、彼女は心配そうな顔で言う。

これはあんまり心配させないようになるべく早く戻るようにしよう、、

わかったと、コバヤシはみんなの方に一言言ってから扉の方を向く。


「それじゃ、頼んだぜ、相棒」

「おーけー、ぼすぅ」

二人は互いの拳をこつんと合わせ、それから目の前の扉を開く。


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