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【迷宮ピクニック 2】4-35

 迷宮の入り口につくまで、途中で野営を二回する必要があった。出発して三日目にはその迷宮入り口と思われる場所へとたどり着いたので、ギルドで言われていたのよりはまる一日早く着いたということになる。


「さすがに今日はこのあたりで野営にしようか」

まだ日は暮れていなかったが、このまま突入していくというのはどうも気が引けた。

「ちょうどいい時間だし、適当にこの辺りで食べれるものがないかも探しましょ」

メイがそう言ってさっそく馬車から降りる。

食べ物の多くはコバヤシがアイテムボックスの中にも所持していたが、どうやら狩り自体が彼女は好きらしい。

まぁタダで食材が手に入るならそれに越したことはない。


この馬車を手に入れてからは野営の準備がとんと楽になった。

まずテントのようなものを馬車の外にいちいち張る必要がない(いちおうそういったものもアイテムボックスの中に在るが)

見張りを二人程度交代で行えば、馬車の中に広々とした就寝スペースが確保できるのであった。

全員でも寝れないことはなかったが、かなりぎゅうぎゅう詰めになる。それにやはり見張りは必要だろう。

いずれにしろ野営の準備がかなり楽になったというのはコバヤシ達的には大いに助かったのだった。


「それじゃ、二手ぐらいに分かれて行こうか」

コバヤシはみんなの顔を見渡しながらそう提案する。

「いぇすまぁむ」

「おっけー」

「わかりましたっ」

「それじゃあ私、ドラコ、メイの三人と、そっちは二人でお願いね」

あ、何か食べれそうな植物や果物もあったら取っておいてねとメイはこちらに付け足す。

リーシアとコバヤシの二人はそれに対し返事をすると、こちらもさっそく散策の用意をするのだった。


「私もダーリンと一緒が良かったー」

「ドラコもー」

「あんたたちはこっちだからっ」

二人を引っ張っていくエルフ。というか、ドラコは「ダーリン」て言葉の意味を分かっているのだろうか、、

「わ、私たちも行きましょうかっ」

おかげで何やら変な空気になってしまったなと、少しばかりルゥを呪いつつ、こちらも食料採集へと向かうのだった。


・・・


馬車の近くで夕食をとる。キャンプの際に必要な道具各種(調理グッズも含む)はコバヤシがあらかじめ大体のものを所持しているので、馬車の中には何も積んでいないという不可思議な馬車であった。


「何か他にも必要なものはある?」

アイテムボックスの中からいろいろなものを取り出しながらコバヤシが女性陣に尋ねる。

「…しかし、ほんとに便利よねぇ、それ、、」

コバヤシのその姿をじろじろと見ながらメイが言う。ここに居るメンバーにはもうすでにこの“アイテムボックス”のことはばらしているのであった。

「セイドウさんのみたいですよね」

「今度から私たちの服もたくさん入れられるわねっ」

勝手に衣装箪笥化計画を練っているサキュバスは放っておいて、コバヤシはリーシアに賛同する。

「彼のはもっと便利でしたね」

この“アイテムボックス”は、しまうときと出す時が少し手間である。まぁ、中に入れてあるものの状態が固定されるのは助かるし、十分便利なんだけども、、


食事の用意も整ったところで、コバヤシ達一行は明日の計画を話し始めることにする。

そうだ、念のためにみんなのステータスももう一度確認&調整しておこう。


「明日はとりあえず朝から迷宮に潜るってことでいいよね?」

コバヤシは焚火を囲んでいるみんなに向かって話しかける。ドラコのみすでにうとうと状態であった。

「いいんじゃない? 確か4階層で止まってるんだったっけ?」

今回の依頼は、この迷宮4階層を突破して欲しいというものであった。この場合の『4階層』というのはつまり地下4階というイメージの方がわかりやすい。

「確か、有名な“迷宮研究家”からの依頼なんでしたっけ?」

リーシアさんが自身の作ったシチューの味見をしながらこちらに確認する。ちなみにこの中ではメイ以外はみなそれなりに料理技術がある。

「そうですね」

あの受付嬢のことを(嫌々)思い出しつつコバヤシは応える。


「迷宮研究家ねぇ、、」

するとメイがしかめた顔でつぶやく。

「その“迷宮研究家”? って何なの?」

今度はルゥが聞いてくる。それはコバヤシも少し気になっているところだったのでちょうどよかった。

「う~ん、、あれはねぇ、、何て言えばいいのかしら、、」

「確か、ダンジョン迷宮を研究している人達の総称でしたよね」

言い淀んでいるメイに対しリーシアが話してくれる。

「まぁ、、そうなんだけど、、」

「メイはその人たちに会ったことがあるのかい?」

彼女の反応を見てコバヤシは予測を立てる。

「まぁ、ね、、」

顔をしかめながらメイは続ける。


「あいつらは、なんというか、、このダンジョン迷宮ってやつに憑りつかれているような奴らなのよ、要は」

「憑りつかれているって、、」

彼女のその言い方に少し苦笑する。

「いやいや、もうほんとにそうなのよっ」

それからメイは、自分の会ったことのある迷宮研究家達が如何にいかれていたかを、しばらくの間とめどなく喋り続けるのだった。


・・・


「ドラコちゃんはもう眠っちゃってますね」

見ると、リーシアさんの言った通り、すでに少女はすやすやと寝息を立てていた。

「今日は4人で見張りを交代させていきましょうか」

コバヤシはドラコを馬車へと寝かせながら言う。

「明日に疲れを残さないようにしないとね」

「まぁ寝心地いいコレがあれば余裕でしょっ」

ルゥが馬車の中へとダイブしながら言う。そこにはコバヤシが用意したいくつかの簡単な“寝具”も置かれている。

いつかちゃんとしたものをもっと用意しようと密かにもくろんでいるコバヤシである。

見張りの順番を決め、交代の時間は月の位置によって体感で測るとのこと。どうやら自分以外にとってはわりと普通にこなせることみたいである。


「ま、明日はちゃちゃっと依頼を終わらせちゃいましょっ」

メイのその一言に、みんなは笑顔でこたえるのだった。


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