↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

189/198

『受付嬢、ふたたび』

「…はぁ、、」

メリエ冒険者組合(ギルド)にて、一人の麗しき(自称)受付嬢が嘆息をもらす。

「どうしたのよネリネ、そんな顔して」

すると隣に居た別の受付嬢がこちらの顔を覗き込むようにして尋ねてくる。心配しているというよりは少しからかうような口調だ。今は比較的ギルド内が空いている時間帯というのもあってこうして話しかけるような余裕もあるのだろう。

「…別に、、何でもないわよ、、」

ネリネと呼ばれたその受付嬢はふてくされたようにそう返す。

「また“勇者様”のことでも考えてたんじゃないのぉ?」

「…ぐっ、、」

「街を駆け回っても見つからなかったもんねぇ」

「…ぐ、、うぅ、、」

彼女に言われたとおりでぐうの音も出ない(自称)美人受付嬢ネリネ・ノルフェシアである。

「あの時はホント、大変ご迷惑を、、」

勇者様を探し求めてあの復興祭駆け回り、そして見つからなかった挙句にヤケ酒をしすぎてこの同僚のうちへとたどり着いてしまったことをネリネは思い出す。

「ふふ、いいわよ別に」

結局、勇者様は見つからないわ同僚には恥をさらしてしまうわで、、

ネリネが再び嘆息をもらしていると、外から見知った顔ぶれがギルドへと入ってきたことに気が付く。


・・・


「今日はアキラにも参加してもらうからね」

「コバヤシ、さんか~」

その一団の先頭は、すでにネリネにとっては見知った組み合わせであった。

かなり目立つその一団は、最近になってまたずいぶんとその構成も変わっていた。

「アキラさんとの依頼は少し久しぶりな気がしますねっ」

「ダーリンてば最近引きこもりがちなんだから」


今日は全部で五人だろうか、、


「引きこもりって、、」

そして最後尾から現れたのはそのグループの中で唯一の男性であった。ここらではあまり聞かない名前であったが、彼の特徴は何といってもその眼光であろう。

それにしても人間、慣れるものね、、

あんなにも恐れていた彼の目つきであったが、今ではそこまで怖がらずに対応出来るようになった自分に対してそう思わずにはいられなかった。


「あ、ネリネリ~」

ドラコと呼ばれている少女がこちらに対してそう声をかけてくる。この少女、最近ではこちらのことをそのようにして呼んでくるのである。ちなみにギルドを出入りするような子供はこの子だけである、、

「こらドラコ、そんなアイスみたいに、、」

コバヤシが少女ドラコに対してそう言う。そういえば彼をこのギルドで見かけるのはずいぶんと久しぶりのような気がした。

最近はずっと他のメンバーだけだったような、、

そこでネリネはある一つの考えに思い当たる。


そうだ、、もしかして彼なら、、


・・・


「あのっ!」

依頼が貼ってある掲示板をみんなで眺めていると、後ろから見知った顔の女性に話しかけられる。


「あなたは、、」

「ネリネリ~」

隣のドラコが即座に反応する。というかいつのまにこんなに懐いたのか、、

「僕たちに何か、、?」

コバヤシは彼女、受付嬢の一人であるその女性を見ながら応える。彼女と受付越し以外で話すのは初めてな気がした。

「いや、、その、、えーと、、」

自分と目が合うと少し困ったように(と自分には感じられた)目をそらす。

「…私たちに何か用、、?」

するとなぜか隣に居たメイが少しだけ威圧的に前へと出てくる。少し怖い、、

「実はその、、コバヤシさんに聞きたいことがあって、、」

ネリネと呼ばれていたこの受付嬢がそう告げると、リーシアやルゥの方からも何やら不穏な、というよりぴりついた空気が感じられた気がした。


「はぁ、何でしょうか」

ドラコはすでにこちらへの興味を失ったのか、一人掲示板の方をぼんやりと見つめている。

「実は、そのぉ、、」

そこで彼女は意を決したかのようにふぅと一息つく。


「セイドウ様について知っていることを教えてほしいんですっ! 彼はいったい今どこに! 彼女とかいるんでしょうか!? 私にも可能性はあるでしょうか!? 好きな女性のタイプとか食べ物とかうんぬんうんぬんうんぬん!」


「…え?」


突然すぎる話題にコバヤシは思わず思考停止をしてしまう。そしてそれを聞いたメイとルゥの二人はなぜかこちらへの関心を失ったようで、ドラコと一緒に再び良さげな依頼がないか掲示板へと視線を戻すのであった。リーシアさんのみいまだこちらをおろおろとしながら見つめていた。恐らくはセイドウという名前を聞いたからであろう。この中では自分と彼女だけが“彼”に関わりが深いともいえる。


まるで知らない人がごとくふるまっている他の女性メンバーたちの見切りの早さには、もはや感動を覚えるレベルである。なんならこのギルドに居るほかの冒険者たちもこちらと目を合わさないようにし始めたのも間違いなく気のせいではないだろう。


この後、怒涛の質問攻めにあうコバヤシを置いて女性陣だけで依頼を受けることになることを、彼はまだ知らない、、


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。