【My馬車でgo 2】4-33
設計図を確認しているうちにいくつものスキルを習得していることに気が付く。それらの確認や、設計図を続けて読み込んでいるうちに、いつのまにかドラコ、リーシア、そしてメイの三人も周りに集まってきていた。
「みんな、おはよう」
コバヤシはそこで図面の読み込みを一時中断し、ルゥ以外の三人にも事情を説明することにした。
「―という訳なんだ」
先ほどルゥに対しても説明したものと同じものを再び繰り返す。
「…はぁ、、」
するとそんなコバヤシに対し、なにやらメイがやれやれといった様子で話しかけてくる。
「というかアキラって、馬車も作っちゃうわけ、、?」
こちらをじろり見つめてくる彼女
「たぶん、なんとかなると思う」
だからとりあえず今日は時間をくれないかとメイに頼み込む。
「完成すればこれから先の冒険がかなり楽になると思うんだよ」
コバヤシがこう言うと、メイは「う~ん、、」とうなりながら目をつむる。
「まぁまぁ、しばらくダーリンはほっといてあげましょっ」
「アキラさんはほんとに何でもできてしまうんですね、、!」
「ドラコ、おなか減った」
各々がコバヤシとメイに対して色々意見していたが、最終的にコバヤシ抜きで今日はギルドの依頼があればこなすということで決まりになった。
「とりあえず今日だけよっ」
メイがそう言ってから他の女性陣を引き連れてギルドへと向かう。その姿がすっかり様になっていたので、コバヤシにはどこか安心できるものがあった。
「ありがとうみんな」
さすがに一日で馬車を完成させるなんてことは不可能ではあるが、いったいどれぐらい時間がかかるのかということや、足りない素材がどの程度あるかを確認出来るかもしれない。
・・・
「んぁ?」
ずんぐりした毛むくじゃらのドワーフ(知らない人が見れば“そう”とはわからないかもしれない)は、メリエにある寂れた屋敷の中庭で一人声をあげる。
昨日の夜まで、彼の目の前にはコバヤシが用意したという大量の木材が山積みにされていたのだが、それがきれいさっぱりに無くなっている。
誰かが盗っていった、、?
彼の頭にはそんな考えがふとよぎるが、しかし瞬時にその考えを振り払う。あの大量の木材をこのタイミングで、しかも一晩で盗み出せるような存在が都合よく今この街に居るとは考え難かった。
しかしそれならば一体、、
「ザッチョ」
すると後ろから彼を呼ぶ声がして、そちらを振り返る。
「おぉうっ」
そこにはあの大量の木材をどこからともなく調達してきた本人が居た。
今ではすっかり慣れたものであったが、この男の目つきはひどく恐ろしいものがある。特に朝などはその眼光で子供を泣かせてしまうほどであろう。
「そこに置いておいた馬車用の木材なんだけど、ここだと作業スペースが少し狭いからほかの場所に移させてもらったよ」
その男、コバヤシはさらっとそんなことを告げてくる。
「そいつぁ構わねけんあどぁ、、」
いったいどうやってそんなことを一晩でやってのけたのだろうかと、ザッチョは少しばかり疑いの目をコバヤシへと向ける。
といっても、あまり個人についてのことをとやかくと深く聞き出すのもどうかと思い踏みとどまる。今日はこれから彼も向かうところがあった。
さすがにこの規模の仕事を一人でやるわけにはいかんからなぁ、、
「とりあえずそれだけ伝えに来たんだ。ここに居てくれて助かった」
またわからないことがあれば聞きに来るよとだけコバヤシは言うと、どこかへともなくふらりと去ってしまう。おそらくは馬車の制作へと向かったのだろう。
ザッチョはそちらにも関わりたい気持ちを抑え、自分も出発する。
それにしても、、
あのコバヤシという男はいまいちその“底”が知れないなと一人ごちるのであった。
・・・
「なるほどなるほど、、」
メリエから少し離れた場所にある森の中、その奥にあるちょうど開けた空間にコバヤシは立っていた。
目の前にはすでに切断され整えられた木材がきれいに並んでいる。とりあえずはザッチョの設計図どおりにここまであっという間に終わってしまったのである。
もう少し時間がかかるかと思っていたが、、
作業を進めるにつれ様々なスキルが手に入っていったので、それらのレベルを全て最大まで上げていった結果がこれである。
これならもしかしたら思っていたよりも早く終わるかもしれない、、
今ではザッチョの描いた設計図が隅から隅まで自分の頭の中へとするする入っていく。それどころか更にプラスして自らのアイデアを散りばめられるほどである。
あまり詰め込みすぎてしまうのもな、、
それにしても相変わらずこの“スキル”という設定には毎度驚かされる。コバヤシはそんなことを考えながらも馬車いじりを続ける。
あともう少しだけ進めたら今日はここまでにしておこう。
製作途中の部品などはすべてそのままアイテムボックスに収納しておくことにしておけば大丈夫だろう。
日が暮れるにはまだ時間がありそうだったが、とりあえず今日はキリのいいところまでいったら終わらせることにしよう、、
つい夢中になっていつまでも続けたくなる気持ちを少し抑えながらも、コバヤシはその馬車が完成する姿を楽しみにするのだった。




