【plan & build 3】4-31
女性陣が“女子会”を行っている最中、コバヤシはいまだザッチョと二人、まるで悪巧みをしているかのように面と向かい合い話し合っていた。
話の流れでザッチョがこの街へと来た経緯についても教えてもらう。彼曰く、鉱山にあるあの自宅に、彼の昔からの知り合いとやらが訪ねて来て今回の件を知らせ、そして依頼をしてきたとのこと。
というか“あそこ”本当に自宅だったのか、、
コバヤシはザッチョの話を聞きながら、これから造りあげようとしている家のイメージを固めていく。
ブレンダの家にあったようなあの浴室などをなんとかこの家にも実現する事はできないだろうか、、
彼女から聞いたそれらの仕組みは、ブレンダの使っている“古代魔法”とセットになっている、というよりもその魔法なくしてはそもそも実現できるようなものではない類いのものであった。
つまり“古代魔法”とやらを使えないコバヤシにとってはその実現が不可能であるように思える。というより“古代魔法”どころか、今のところどんな魔法も使えない彼には痛い話であった。
「ザッチョ、少し相談したいことがあるんだが、、」
しかしそれでも、彼ならば何らかの方法を見出す事が出来るのではないかと、コバヤシは一縷の望み持ってこのドワーフに相談してみる。その打ち合わせを通しているうちにコバヤシはザッチョとだいぶ距離が近づいたような気がしないでもないと考えていた。
・・・
「ふーむ、、、」
コバヤシの話をしばらく聞いてから、彼は唸りながら自身の髭をいじっている。彼の場合いったいどこからどこまでが髭なのか判断する事が難しかったが。
「おぃも魔法はあんま詳しくなくてぇなぁ」
そう言って彼は、なにやらごそごそと自分のポケットから何かを取り出す。
ザッチョの取り出した“それ”は、一見するとただの石ころのように見えたが、よく見てみるとうっすら不思議な輝きを放っている。
「それは、、?」
その石を《鑑定》してみると、そこにはコバヤシが聞いたことのない名称が表示される。
「こりぁ『魔力鋼』ちうてなぁ」
まぁ今回の件で知り合いからもらったもんだったんだが、とザッチョは言う。
“魔力鋼”…魔力を貯蓄することが出来る鉱石。
その鉱石はとんでもなく珍しいものであるようだったが、いまだ使い道が難しい、というよりほとんど解明されていないのだとか、、
「こいつぉ使えればもしかしたらなぁ」
聞いてみたところ、ザッチョも魔法や魔力に関してはてんでダメらしく、コバヤシとどっこいどっこいといったところのようである。
メイかリーシアさんにでも、後でこの石を使った実験に付き合ってもらう事にするか、、
コバヤシはその鉱石を見つめながらふとそんなことを思うのだった。
「実はもう一つ、頼みたい事があるんだ」
自宅建設に関して更にいくつかの打ち合わせを終わらせた後で、コバヤシはザッチョに対しそう切り出す。
そして前々から考えていた「マイ馬車」について、彼の意見を聞いてみることにする。買った方が良いのか、それとも作れるようなものなのか、、
「ふーむ、、」
ザッチョはもじゃもじゃの髭をくしゃくしゃとしながら考え始める。どうやらこの仕草は彼が思考する際の癖のようであった。
「ちなみんじゃが、どういった馬車が良いとかってのぁ、あるんかぁ?」
どういった馬車、か、、
「そうだなぁ、、」
コバヤシはとりあえず思いつくだけの要望をぽつぽつと述べていく。この世界のそれに関しては今のところ見て確認しただけのものではあったが、一応いくつかを確認してはいた。
乗り込む人数、速度や快適さなどの点をザッチョへと伝える。アイテムボックスがあれば馬車内のスペースも大幅に削減できるだろうと考えていたが、それは特に伝えない事にする。“勇者”と同じようなスキルを使えると知られるようなことはなるべく避けていこうと、今回の件ではっきりとそう決めたのであった。
「まぁ普通の馬車一つを造るぐらいどうってこたないんだぁがのぉ」
だがどうせなら、と彼は続ける。
「どうせならぁ、すっこしばっかおもしろいのにしてみんかぁ」
毛むくじゃらのドワーフは、そう言ってにかっと笑う。




