【報告と計画】4-27
結局、朝食兼昼食は『焼きたてパン ~ クウォーツ ~ 』で頂く事にした。リーシアが少し実家に寄って行きたいとのことだったので、そのついでも兼ねてである。
という訳で現在コバヤシ達は、このお店の中庭にある木テーブル周りに全員で座っているのであった。リーシアだけがまだこちらへ来ていない。
それにしても、、
このお店へ入った時に、店番をしていたリーシア父からあからさまな敵意を向けられたことをコバヤシは思い出す。
どうもあの人は自分とリーシアさんのことを勘違いしている節があるんだよな、、
そんなことを考えながらも、コバヤシ達はみんなで買ったいくつもの焼きたてパンをテーブルへと広げ始めるのだった。
・・・
「お待たせしましたっ」
パンをテーブルへと広げ終わってからすぐにリーシアも合流する。彼女は店の方から人数分の追加イスも持ってきてくれたのでコバヤシはそれを並べるのを手伝う事にする。
「さて、それじゃあ報告も兼ねながらみんなで頂こうか」
彼がそう言うと、真っ先にドラコが“敬礼”のポーズをとりながら「いえすまむ」と言う。ホントに、いったいどこからそんなことを覚えるのだろうか、、
それと男性に対しては“まむ”じゃなくて“さー”じゃないのかとコバヤシは心の中で突っ込みを入れる。
ドラコの言動に関してはもうみんな慣れてしまったようで、ルゥ以外は特に反応していなかった。彼女は彼女で「あはは、“まむ”って」などど言って笑っている。
コバヤシは自分たちの話(セイドウ達関連)を話す前に、まずは居残り組の話から聞くことにした。
「うーん、そう言ってもこっちは特に何もなかったわよ」
メイはそう言いながらテーブル上のパンを一つ取る。ドラコ対策にパンを大量に買っておいて正解だったようで、テーブルの上にはまだ十分の数のパンが置いてあり、コバヤシもその中から一つを掴み取る。この店のパンで美味しくなかったものにはいまだ当たったことがない。
「メイちゃんの“おっちょこちょい事件”以外はね」
するとルゥがにやにやと笑いながら突っ込みを入れる。そんな彼女をじろりと睨みつけるメイちゃん。
居残り組はいくつかのギルド依頼をこなしながら過ごしていたとのことであった。しっかりと依頼をこなすように指揮していたのはやはりメイだったらしく、コバヤシは少し感心する。
まぁドラコが居ればたいていの依頼はこなせるとは思うが、、
彼はひたすらに隣でいくつものパンにむしゃぶりついている赤毛の少女をちらりと見て思う。
「で、アキラ達は結局どうなったの?」
あの勇者達とは別れたの?
メイがこちらとリーシアの方を代わる代わる見ながらそう問いかけてくる。
「実は―」
コバヤシは、今回の旅についてを所々かいつまみながら彼女達に話し始めるのだった。
・・・
「―といった感じかな」
だから帰りは自分とリーシアさんの二人だったわけなんだと、コバヤシは一通りの説明を終えて再びテーブルのパンを食べようとするが、もう一つも無くなってしまっていた。彼の隣ではドラコが満足そうな表情をしてお腹を異常に膨らませている。こいつはたぶん話を全く聞いていなかったんじゃないだろうか、、まぁいいけどさ、、
「…ちょ、ちょっと頭が痛くなってきたわ、、」
メイはそう言いながら眉間に手を当てている。大丈夫だろうかとコバヤシは少し心配になるが、今度はルゥが、
「さっすがダーリン!」
と言いながら隣にすすすと移動してくる。追いやられたドラコはそのまま「あー」と言いながら地面へと寝転がりに行くのだった。たぶんお腹いっぱいで眠たくなったんではないだろうか、、
「たしかなまんぞく」と言いながら寝転がっている少女を見ながらコバヤシは思うのだった。あとルゥは距離が近い。
「…まぁでも、とにかく無事でよかったわ、、」
アキラも、リーシアも、とメイが微笑みながらそう告げる。
そうだ、、
「そういえばリーシアさんに今回の報酬分けてませんでしたよね」
コバヤシはそう言うと自身のバッグ(“アイテムボックス”)から、今回の報酬としてセイドウからもらった皮袋を取り出す。
そしてずしりとしたその皮袋をそのままリーシアの方へと渡す。
「私の分はもう半分ほどもらっていますので」
そうは言ってもその皮袋は依然としてかなりの重量感がある。リーシアはその袋をぽかんとした顔でしばらく見つめるも、
「私の分も、アキラさんが管理してもらって構いません」
彼女はそう言ってかたくなにその報酬の受け取りを固辞する。そういえばいつのまにか俺のことを「コバヤシさん」から「アキラさん」呼びになっているということに気がつく。
「…しかし、、」
コバヤシがそう言いながらためらっていると
「良いじゃない、私もダーリンと同じ財布だしね」
ルゥがそう言うなりこちらへウインク+投げキスをしてくる。
「うーん、、」
そんなことを言われてもなと、彼はまだ少し唸っている。
「私は、これからアキラさんと一緒に生活をしていくって決めたんですから、これで良いんですっ」
リーシアが顔を赤くしながらそんなことを言う。
コバヤシはそれを見て「こんなにも自分のことを信じてくれているのか」と少しばかり感動してしまうのだった。
「…分かりました、それじゃあこれから自分がしっかりと管理していくので」
家計簿でもつけるべきだろうかと、いやそれよりもまずは住居(拠点)の確保だなと、考えながらそう告げるコバヤシであった。
・・・
「それで、これからどうするつもりなの?」
またどこかに“遠征”でもしに行く?
みんなで朝食兼昼食を済ませたあたりでメイがそんなことを尋ねてくる。大量のパンを摂取したドラコはお昼寝タイムへと突入していた。
「そうだな、、」
コバヤシはみんなに自分の考えを話してみる事にする。
「実は、自分の家を買うか造るかしてみようと思っているんだ」
貸し家とかも一応は考えているんだけど、と彼はそう言ってからみんなの顔を代わる代わる見ていく。
「私達の愛の巣だもんね、必要だわ!」
「持ち家かー、、」
「・・・」
ルゥはともかくとして、メイは何か考えているようであった。リーシアも何かを考えているようにあごへ手を当てている。
「…あの、、それでしたら、、」
するとリーシアが口を開く。彼女の口からはなんとも意外な情報が告げられるのだった。




