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『そして彼は』
山の中腹辺りにある、ふと開けたまるで広場のようなその場所に男が一人、どこか呆けたように突っ立ている。中腹とはいえ山の中であることには変わらなかったが、彼のその格好はあまりにも身軽すぎるように見える。
彼はしばらくして後ろを振り返る。そこには石で出来た“アーチ”のようなものがあるだけで他には何も無い。この場所において唯一それだけが存在感を放っていた。
「……」
その“アーチ”に触れながら彼はまたしばらくそこから動かなくなる。
「……よし、、」
ようやく一言だけ彼は一人そう呟き、そのアーチを背に歩き出す。
意外にもしっかりとした足取りで、彼は歩き出す。
仲間に裏切られ、目的を見失い、何を目指せば良いのかも、今では彼にも分からなかったが、、
それでも彼は、セイドウ・タケルは、前へ先へと、歩き始める。




