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ドールガール  作者: stenn
11/18

勘違い


 朗らかな昼下がり。私たちはいつものようにお弁当を開いてたんだ。いつものようにタコさんウインナーを奪われて……。いつものように映見君のキャラ弁を見せつけられる。



 しかもいいお天気なので中庭でのんびり食べてるんだよね。



 わぁ! 気持ちいいし、楽しい!!



 ……。



 って、そんな気分じゃ無いです。無い無い無い。



 こっちは昨日縁に無言の腹パンを受けた気分なのに。



 そりゃあ、勝手に調べ上げていらないことしたと思うよ? 思うけど。そこまで怒ることないよね。親切でさ。



 お陰様で今までになく怒った縁は口を聞いてもくれないんだ。絶対、何があっても一日で許してくれた縁なのに……。なんでよぅ?



 おべっかも通じないなんて……。ケーキとか持っていったんだよ? ママに小遣い前借りしてさ。



 そんなに彼氏がいた事ショックだったのかなぁ。でも、私に怒ることは……。



 と考えたところでまりちゃんと、映見君に不思議そうに眺められているのに気付いたんだ。



「どうした? お腹痛い?」



 こっちはまりちゃん。別に心配している様子でもなく『どうせ食べ過ぎでしょ?』みたいな視線が気になるね。



 てか、ムカつく。まりちゃん。まりちゃんだってこないだの身体測定そんなに変わらなかったじゃないか。わ、私は少しあれから増えただけだし……。



 ……。



 さらに落ち込むから考えるのをよそう。うん。




 ま、それとは反対に映見君が心配そうに眉をひそめた。ああ、人に心配かけるのはイケないよね。



「……なにか、あった?」



「う、ううん。えと、食べ過ぎちゃって」



 私は軽く笑った。どういう顔をしてるかは知らないけど。ま、安心した様子は見受けられなかったので酷い顔をしてるかもしれない。



 まりちゃんは苦笑いを浮かべるとさっさと弁当箱を片付け始める。時計を見ればもう少ししかお昼休みは残っていなかった。



 あれ? さっき来たばかりじゃん。そう思ったのは私だけみたい。時ってすぎるの早いんだ。



「ほら。最近成長してきたって言ってるじゃんーー食い意地張りすぎ。全く。あ、映見っち。今日日直でしよ? 私この子保健室に連れてくから先に帰ってて」



「でも」



「大丈夫。あまりしつこいと嫌われるよね?」



 ね? って、なにが? とりあえず刺殺されそうな目で睨まれたので『うん』と言ってみたんだけど……。まりちゃん。怖いよ? 



 にこっと笑ったまりちゃんに映見君は大きなため息をつくと手元にあったお弁当をテキパキと片付ける。



「……わかった。じゃあ。体調悪かったら帰ったほうがいいよ?」



「あ、うん。ありがとう?」



 なに? この罪悪感? なんか真綿で首を絞められているようなんだけど。



 ……。



 もうやだ! 心の許容範囲はもう溢れそうよ!? 結局映見君にあの時の女の子は違う人だよ! って言えてないし!!



 なきたい!!



 いや、寧ろ泣く!!



 ーーって、できない!!!



 思わず突っ伏しそうになったけど私はまりちゃんの存在をかろうじて思い出していた。



 何とか平然を保っている顔を顔を向けると楽しそうに口を歪めている。そしてその目は玩具を見つけたように輝いていた。



 ……うわぁ。



 嫌な予感しかしない。



「え? なに?」



「……で、何があった? ホントのとこ。横に伸びたのは事実としてさ。上の空なんておかしいし、そんなに悩むなんて。言ってみれば? 私でも力になれるかもしれないでしょ? 友達だし」



 何とも嘘くさいんだけどなぁ。顔と言葉が合っていないような? それでも、私はまりちゃんに話してみることにした。



 だって親友だし。嫌な予感でも悪いことにはならないはずだし。……自信ないけど。



「あのね」



 声を発する私をまりちゃんは嬉々として見つめていた。






 ********





 ……って、誰もが振り返るくらいの大笑いすることないじゃないよ? 



 まりちゃんのバカ!! 恥ずかしいし、さらに傷をえぐられたような気さえするよ!! 友達なんてやめてる。そう思ったけど、私まりちゃん好きだしね。やめられないよね。そういう所もひっくるめて好きなんだもん。



 で、なんで笑ったって……。



「それ言ったら怒るでしょ普通に。吉岡報われない。オモシロすぎ!! あんなに分かりやすいのに!! 」



 意味がわからない。報われないって何が? なんで普通に怒るのよ。と問いかけたら更に笑われた。



 だから何で?



「まぁ、大丈夫なんじゃない? あっちからそのうち連絡あると思うよ? 私からも言っておくし。でも、この事があって代わり映えしなかったら大爆笑よね」



 ヘタレが。と最後の方は聞かないことにして(意味わかんないし)ホントかなぁと呟くとまりちゃんは笑ったっけ。



「私を信じなさい」



 ……で、信じた結果。



 凄いなぁ。まりちゃん凄すぎ。流石親友ーーと私は思わず感心していた。



 だって、疑心暗鬼気味の学校からトボトボ帰ると家の前に縁が立ってたんだ。



 珍しくイケメン風味に見えるのはオシャレな服を着てるかもしれない。打って制服以外は短パンとシャツという服がほとんどだし。(ちなみに冬はジャージ)



 女の子の服はよく知っているのに……。



 ……。



 ……あれ?



 ……ん? なんか違和感。



 私は自宅を目の前にして考え込んでいた。



 まさか……。



 告白相手『男の子』って言う事も考えられない!? だから怒ったのかも? 私が性別を決めつけてたから!!



 ああ。そうだ。絶対そうだ!!



 謝らなきゃ。それに私はそういうことに関してはそこまで偏見ないし。まりちゃんなんて喜び……ううん何でもない。



 ともかくと私は両頬を手で叩いて気合を入れた。そして、真っ直ぐ縁のもとに歩いていった。



「縁」



「レン」



 縁は笑う。それは久しぶりに見る縁の笑顔でとても嬉しくて懐かしく思えた。

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