↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Invisible to the Eye 〜目には見えない大切なもの〜  作者: ダークキング


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/33

バレンタイン大作戦〜揺れる恋心〜

「李璃、ちょっといい?」

一月も終わろうとしているある週末。

葵が部活終わりの東さんに声をかける。

「どうしたの?」

「ちょっと相談があるんだけど……」

「うん、いいよ。ちょっと待っててね」

そういうと、東さんは隼人の元へ。

「隼人、今日ちょっと用事できちゃったから、一緒に帰れない」

「用事って……ああ、葵か。分かった」

「ごめんね」

「大丈夫だよ。また明日な」

「ありがとう。また明日ね」

手を振る隼人に見送られながら、葵の元へ戻ってくる東さん。

(……多分、俊のことでの相談だろうな。頑張れよ葵)

隼人は東さんを見送りながら、そんなことを考えていた。

「お待たせ」

「ごめんね、隼人くんとの時間邪魔しちゃって……」

申し訳なさそうに俯《うつむ》く葵。

「大丈夫だよ。それより、どこで話する?」

「うーん……カラオケでいい?」

「いいよ。誰にも聞かれたくない秘密の話だね」

「う、うん」

二人はこういう秘密の話をするとき、いつもカラオケを選ぶ。周りを気にせず話せる、二人だけの秘密基地のような場所。

⸻

「で、相談って?」

「う、うん。俊くんのことなんだけど……」

カラオケに着くなり本題に入る。

「そうだと思った……。ようやく告白する覚悟ができた?」

「李璃はなんでもお見通しか。……バレンタインデーの日に告白する」

まっすぐ東さんの目を見る葵。

「葵、いい顔してる。大丈夫だよ、葵なら上手くやれる」

「ただ……私チョコ作ったことないから……」

「手作りチョコか。私も作る予定だから、一緒に作ろう」

「いいの?」

「もちろんだよ。葵がずっと応援してくれたから、私は隼人と付き合えたんだし。恩返しさせてよ」

「恩返しなんてそんな……。ありがとう」

照れながら嬉しそうに笑う葵。

その目には光るものがあった。

「葵って結構泣き虫だよね。そのギャップ、藤岡くんにも見せた方がいいよ」

「や、やだよ恥ずかしいじゃん」

「ギャップ萌えってやつで、案外好きになってもらえるかもよ?」

「……そんなものなのかなぁ」

「そんなものだよ。後は、美味しいチョコ作ろう」

「うん、私頑張る」

「じゃあ、そろそろ帰ろっか」

「うん。李璃、付き合ってくれてありがとう」

「全然大丈夫だよ」

カラオケ屋から出てくる葵と東さん。

そこに――

「あ……俊くん」

本屋に立ち読みに行っていた俺がバッタリ出会う。

「東さんに葵……」

まさかこんなところで会うと思っていなかったので、変な緊張感を持ってしまう。

「藤岡くん、こんな時間までなにしてたの?」

「ちょっと本屋に立ち読みに……」

「そうなんだ……。邪魔しちゃ悪いから、私は帰るね」

「え?」

葵と俺の声がシンクロしてしまう。

「二人してそんなに驚かなくても……。そもそも私帰り道二人と違うんだから」

「それは……そうだけど」

「頑張れ葵。じゃあね」

手を振りながら走って帰っていく東さん。

じゃあねの前に葵に何か言っていたようだけど、なんだったんだろう?

「……帰るか」

「……うん」

二人きりになってぎこちなくなってしまう。

一緒に帰ることなんて、これまで何度もあったはずなのに……。

「俊くん……もう傷は癒《い》えた?」

恐《おそ》る恐《おそ》る聞いてくる葵。

「……どうだろう。でも、失恋当初に比べるとだいぶ癒《い》えてると思う」

「新しい恋は……さすがにまだだよね?」

「……自分でもよく分からない」

葵へのこの感情が恋なのか、自分でも分からない。

「そっか……」

いつも通り話そうとすればするほど、ぎこちなくなる。

葵も変に意識してしまってるのか、なんかぎこちなくなってる気がする。

お互い何を話せば分からなくなり、無言の時間が続く。気がつけば家に着いていた。

「じゃあ、また月曜日」

「う、うん。またね」

俺は逃げるように家に入った。

俺は葵のことが好きなのか。いや、そんなはずは……。

葵は幼馴染でずっとそばにいた。ただそれだけのはずなのに……。

そう自分に言い聞かせても、頭に浮かんでくるのは葵のことばかり。

嬉しそうに笑う葵、照れて下を向く葵。

初詣の日以来、葵のことばっか考えてる気がする。

俺が家でそんなことを考えている頃――

「なんか俊くん、いつもと違う感じだったから緊張しちゃったなぁ。私のこと意識してくれてるのかなぁ……なんて、私の都合のいいように解釈《かいしゃく》しすぎか」

葵は独り言のように呟きながら、家路へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。