揺らぐの剣
激しい師匠の訓練を終えて家路につく途中、木の棒で腕と脚を何度も叩き、両手両足が痛む。
アストン(ため息):「師匠の訓練は最近どんどん厳しくなってるな……」
師匠の最後のアドバイスを思い出した。
モルア(厳しく):「いいか弟子よ!リー・シングの高等技術を身につけるためには、この訓練は絶対に必要だ!あんたの耐久力はその鍵だ!」
耐久力云々より、今は痛みへの耐性を身につけるには僕にとってもっと必要だけどな。
家の前の歩道に着いた時、門のそばに馴染みのある少女が立っているのが目に入った。
アストン(心の中で):「あの子……見覚えがあるな。門の前で何をしてるんだ?」
少女が突然叫んだ。
少女:「たのもおお!ここが道場ですよね!挑戦しに来ました!!」
予想外の大声に僕は驚いた。
アストン(驚き):「道場破り!?この時代に!?」
僕は隠れて様子を見ることにした。
すると叔父さんが玄関から出てきた。表情は読み取れない。
叔父さん(落ち着いて):「お嬢さん、うちの道場に挑戦する勇気は褒めてやる。名前は?」
少女は五十代の男性から放たれる穏やかだが鋭い気配を感じて息を飲んだ。
少女:「う、う、海島トモエです!近所で噂を聞いて……道場主がのんびり構えて道場を開いていると!」
ようやく思い出した——海島トモエ!ドュラン高校の剣道部エースであり、全国剣道大会優勝者!一学年上の先輩で、キングズ・トーナメントにも出場していた!
アストン(心の中で):トモエ先輩がうちの道場に挑戦状を叩きつけてきたのか!?
僕が近づこうとした時、叔父さんと巴は家の中に入っていった。
僕はすぐに後を追い、家の中に入った。興奮で胸が高鳴っていた。本当に久しぶりに道場破りが来た。
アストン(叫んで):「ただいま!」
宿題をしていたステラは僕の大声に苛立った。
ステラ:「おかえり、おにぃ!今は宿題中だから、騒がないで!」
アストン:「あ……ごめん!ステラ、聞いてくれ!道場に挑戦者が来てるんだ!」
ステラ:「え!?そんなこと今どきあるの!?漫画の中だけの話だと思ってた!」
アストン:「本当だよ!しかも相手は僕の学校の先輩、剣道部のエース、海島トモエさん!」
ステラ:「え?女の子!?」
アストン:「そう!着替えてすぐ試合を見に行くよ!」 *部屋に向かって走る
ステラ:「待って!おにぃ!私の宿題がまだ……もう~!私も見たい!!」
着替えを終えた僕は、家の裏にある道場へ急いだ。
アストン(心の中で):叔父さんvsトモエ先輩!二人とも剣の腕は一流だ!一瞬も見逃せない!
しかし道場に着くと、叔父さんとトモエは茶を飲みながら談笑していた。誰かを待っているような雰囲気だった。
アストン:「え?」
叔父さんは僕に気づくと立ち上がった。
叔父さん:「おお!ようやく帰ったな、少年! 海島さん、彼だよ!君の相手になる道場主!」
アストン(驚いて):「え!?僕!?」
トモエは静かに目を閉じ、僕に向き直った。
トモエ:「なるほど……あなたが道場主なのですね。私は海島トモエ、海島道場から参りました。よろしくお願い——」
目を開けた瞬間、彼女はようやく僕だと気づいた。
トモエ(慌てて):「えっ!?あ、あ、あ、アストン!?」
アストン(気まずそうに):「あはは……久しぶりですね、トモエ先輩……」
叔父さん:「おや、二人とももう知りや異なのか?なら話が早い!」
彼女は急に顔を背けた。息遣いが荒くなっているのが聞こえた。
状況が飲み込めず、僕は叔父さんに確認した。
叔父さん:「言った通りだ……前回の試合で君が私を倒した以上、道場主の称号は君が継ぐのが当然だ。」
アストン(驚いて):「えええ!?でも叔父さん、僕はまだその称号に値しないですよ!」
叔父さん(眉をひそめて):「そうか……私を倒した程度では大したことじゃないと言うのか……年を取ったとはいえ、そんなに低く見られるとはな。」 *わざと泣くふり
アストン(慌てて):「そ、そういう意味じゃないですよ!」
僕の後ろから、宿題を終えたステラがやってきた。
ステラ(微笑みながら):「おにぃ、試合は始まった?お菓子持ってきたよ!見ながら食べよう!」
叔父さん:「おお!いい子だステラ!温かいお茶とお菓子を用意して観戦するのが最高だな!」
ステラ:「あれ?お父さんが戦うんじゃないの?」
叔父さん:「いやいや、私はもう歳だ!それに君のお兄さんが道場主になったんだから!」
彼らはお茶とお菓子を準備し始めた。
叔父さん(ふざけて):「さあさあ、頑張れよ、少年!」
ステラ(叫んで):「絶対負けるんじゃないよ、おにぃ!」
アストン(ため息をついて):「わかったよ……」
最近の訓練でまだ体が痛むが、挑戦を断るのは賢明ではない。トモエがうちの道場まで来てくれたのだから。
僕はトモエの元へ歩み寄った。彼女は背を向けたまま座っていた。体が少し震えているように見えた。
アストン:「トモエ先輩……試合を始めましょう。」
彼女は素早く頷いたが、僕の方を向かなかった。どうしたのだろう?
トモエと僕が構えを取ると、彼女の構えはキングズ・トーナメントの時ほど良くなかった。
アストン:「あの、トモエ先輩……大丈夫ですか?」
トモエ(赤面して):「ひゃっ——!?」
彼女の構えはさらに緊張したものになった。彼女の今の状態で戦うのは正しい選択とは思えなかった。
しかし彼女の本当の腕前を知っている僕は、油断はできない。特に彼女の海島流・受け身は非常に厄介だ。
叔父さんが審判として僕たちの間に立った。
叔父さん:「よし、海島道場を継ぐ者、海島トモエと、ギエラス道場の唯一の後継者、月刃のアストン・ヘイルファイアの対戦を始める!」
アストン(つっこみ):「月刃な称号とは全然覚えがないんですけど!」
トモエは緊張しながら木刀を構えた。叔父さんは彼女に微笑みかけた。
叔父さん:「海島さん、相手がイケメンだからって手加減する必要はないぞ!」
アストン(慌てて):「叔父さん、何言ってるんですか!?」
叔父さんの言葉にトモエは息を飲んだ。そして突然——
*パチン!!
トモエは自分の頰を強く叩き、赤い痕を残した。みんなを驚かせ、彼女は一瞬で集中力を取り戻した。
トモエ(落ち着いて):「よし!海島トモエ、いざ前る!」 *木刀を構える
彼女の震えは止まり、ようやくちゃんと僕の方を向いた。叔父さんの冗談のおかげかどうかはわからないが、彼女はようやく落ち着いたようだった。
アストン(微笑みながら):「僕も手加減しません。どちらが勝っても恨みっこなしですね、巴先輩?」
トモエ:「もちろん!」
叔父さんが腕を上げ、試合開始の合図を出した。トモエと僕は木刀を構え、そして試合が始まった。
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第91章 揺らぐの剣 完




