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1/3時間  作者: 藤崎ユキオ
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死とのタイムレース

アリーナ中央で、僕は激しい頭痛に襲われ膝をついた。


アストン(必死に、心の中で):うぐっ! これは……ひどすぎる! みんなを……救わなきゃ! 今……気絶するわけにはいかない!!


隣でソフィアが心配そうに僕の肩を掴む。


ソフィア:「アストン! 本当にどうしたの!?」


意識を保とうと必死に耐えながら、僕は弱々しく彼女に微笑んだ。


アストン(弱々しく):「大丈夫だよ、ソフィア……ちょっと気分が悪いだけ……」


ソフィア:「本当に? 無理しなくていいんだよ!」


僕は優しくソフィアの手を自分の肩から外した。そしてゆっくり立ち上がり、審判の方へ歩いていく。


審判:「アストン選手? どうですか? 試合を続けますか?」


アストン(落ち着いて):「審判……僕の負けだ……」


僕の突然の棄権宣言に、スタジアム全体が息を飲んだ。


アナスタシア(驚き):「これは全く予想外です! 明らかに優勢だったのに、アストン選手が突然体調不良で棄権しました!!」


観客の反応は怒りと失望が入り混じったものだった。


観客男性1:「はあ!? ふざけんなよ!」


観客男性2:「俺たち、お前をたくさん賭けたんだよ!」


観客男性3:「腰抜け野郎! 失せろ!!」


彼らの身勝手な文句を聞いて、ソフィアは彼らを鋭く睨みつけた。殺気すら感じられるほどだった。


ソフィア(激怒):「この豚やろどもめ!! てめえらの汚い口をぶち裂いてやる!!」


観客たち(怯えて):「ひぃっ!?」


僕は彼女が爆発するのを止めるため、急いで近づいた。


アストン(落ち着いて):「ソフィア……大丈夫だ……彼らの言う通りだよ……脅しちゃダメ……」


ソフィア:「でもアストン——!」


アストン:「お願いだ、ソフィア……」


僕の目を見て、ソフィアはゆっくり頷いた。


ソフィア:「……あなたがそう言うなら……でも教えて! 本当は何が起きてるの!?」


アストン:「それは……ごめん、言えない……」


ソフィア:「えっ!? どうして!?」


審判とのやり取りを終えた後、アナスタシアがマイクで咳払いをした。


アナスタシア:「でわ、皆さん! アストン選手が棄権したため、キングズ・トーナメント準決勝第二試合の勝者は……『銀狼』ソフィア・ヴォルコヴァだ!!」


アナスタシアの宣言にもかかわらず、観客の反応は薄かった。


アストン:「おめでとう、ソフィア……僕はもう行くよ。いい試合でありがとう」


ソフィア:「待って! アストン! まだ話が——!」


彼女が追いかけようとした時、陸上部員の友達が彼女を呼んだ。


陸上部女子1:「ソフィア!! ナイスファイトよ!」


陸上部女子2:「おめでとう、ソフィア!!」


陸上部女子3:「さすが私たちのエースだわ!」


ソフィア(笑顔で):「みんな……ありがとう!!」


彼女が振り返った時には、僕はすでにアリーナを後にしていた。


ソフィア(心配そうに):「アストン……」


僕はできる限り早くアリーナを離れ、HQに向かって足を進めた。足元がおぼつかない中、なんとか立っている。


アストン(心の中で):うっ……頭が痛い……とりあえずリシテア先生に連絡を……!


HQに向かう途中、僕はスマホを取り出してリシテアに電話をかけた。


プルルル プルルル


リシテア:「アストン! エリセナから聞いたわよ、死の時計が暴走してるって! 今どこにいるの!?」


アストン(弱々しく笑って):「さすがだな、エリセナは……僕は今HQに向かってる……少し時間がかかりそうだけど……」


リシテア:「わかった……今はエリセナが迎えに行くわ! 意識を保ってね、アストン!」


アストン:「うん……頑張るよ……リーダー」


リシテアは小さく微笑み、電話を切った。


HQに向かう途中、エリセナがようやく僕を見つけて走ってきた。


エリセナ:「アストン! また死の時計の呪いなの!? 大丈夫!?」


アストン:「うん……もう大丈夫だ……アリーナから出たら少しマシになった。とにかくHQに行こう!」


エリセナ(頷いて):「うん! 私の肩を貸すね!」


アストン(弱々しく微笑んで):「ありがとう、エリ……」


彼女が肩を貸して近くを歩いてくれるおかげで、彼女の大きな胸が歩くたびに揺れるのがわかった。気になってはいたが、エリセナの心配を考えて必死に目を逸らした。


二人でできるだけ早くスレイヤーズ HQに向かった。


HQ内では、リシテアがデーモンレーダーとマジックドローンを操作していた。


エリセナ:「着きました! リシ先生!」


リシテアがこちらを向いた。


リシテア:「よし! すぐに彼をベッドに寝かせて! 簡単な検査をするわ」


死の時計がまだ観客の頭上で刻々と減っていることに焦り、僕は検査を丁寧に断った。


アストン:「すみません先生、僕のことより死の時計が……時間がありません!」


リシテアは無言で、表情を読み取れなかった。


すると彼女は突然立ち上がり、僕の方へ歩いてくる。


アストン(困惑して):「先生……?」


突然彼女が僕を抱きしめた。


エリセナ(頰を赤らめて):「えっ!?」


アストン(慌てて):「ちょ、先生! 何を——!?」


その隙に彼女は僕の首の後ろに注射を刺した。


アストン:「痛っ!」


体が急に重くなり、手足の感覚がなくなった。


アストン:「体が……動かない!」


エリセナ(驚いて):「えっ!?」


リシテア:「安心して……ただの麻酔よ。少量しか打ってないから数分で切れるわ。さあ、エリセナ! 彼をベッドに運びましょう!」


エリスナ:「は、はい!」


アストン(ため息):「うう……時間がないのになぜ……」


リシテア:「黙ってリーダーの指示に従いなさい!」


アストン(悲しげに):「はい……」


二人は僕を肩で支えて近くのベッドに運んだ。


リシテアは杖を構えて始めた。


リシテア:「スキャン:トータル」


杖から青い光が放たれ、僕の全身をスキャンした。


リシテア:「異常なし。最近の戦闘による打撲が少しあるだけ。よし! 検査終了! これを飲んで!」


アストン:「ヘルス・ポーションか……久しぶりに飲んだ」


エリセナ:「そうね、私もあの苦い味には慣れないのよ……」


ヘルス・ポーションを飲むと体が楽になり、手足の感覚が戻ってきた。


その後、死の時計を止める計画について話し合った。


リシテア:「アストン、呪いが発動してからどれくらい時間が残ってる?」


アストン:「おそらくあと十分くらい! ここでじっとしてる暇はない! 今すぐ動かないと!」


リシテア:「でも手がかりなしで動くのは貴重な時間を無駄にするだけよ! 落ち着いて、アストン!」


アストン:「でも!」


リシテア:「お願いよ、アストン……私を……いいえ、私たちスレイヤーズを信じて」


彼女の懇願に僕は息を飲み、頷いた。


エリスナ(微笑んで):「アストン……」


リシテア:「さあ、教えて、アストン! モニター越しに死の時計が見えるの?」


アストン:「たぶん見える……試したことはないが」


リシテア:「じゃあ試してみましょう!」


彼女はマジックドローンからのスタジアム映像を映すモニターをオンにした。


そしてモニター越しに、僕ははっきりとそれを見た。


アストン:「見えた! あと八分くらい!」


リシテア:「よし! ドローン映像のリンクを共有するわ! さてと、最大の問題は……」


突然彼女のスマホが鳴った。すぐに通話に出る。


グラシア:「リシテア——いえ、リシテア先生……手がかりをつかんだわ! トヲィンテイルなぽっちゃりした少女よ! 今追いかけてる!」


リシテア:「よくやったわ! そのまま追いかけて!」


グラシア:「了解!」


通話が切れた。


エリセナ(興味津々):「あれはグラシアですか? 何て言ってたの、先生?」


リシテア:「やっと見つけたわ! 悪魔信号の発生源よ!」


アストン:「待って! それって悪魔の出現と死の時計の発生は全部繋がってるってこと!?」


エリセナ:「本当!? じゃあその悪魔を倒せば、スタジアムの死の時計も止まるの!?」


リシテア:「いい考えね!その可能性は高い! でも二つの悪魔信号を検知したから、グラシアが今一つを追ってる……ということは残りの一つは……」


彼女は再びデーモンレーダーとマジックドローン映像を確認した。


リシテア:「見つけた! 奴は数分前にポータルを通って消えた後、近くのショッピングモールの屋上に再出現したわ!」


エリセナ:「すごい! これで二体の悪魔の位置がわかった!」


アストン:「すぐに行こう!」


リシテア:「出かける前にちゃんと武装して!」


アストン&エリセナ:「はい!」


僕たちはできるだけ早く近くのショッピングモールに向かって走った。


一方、スタジアムの屋台が並ぶ中庭で、キャンディスは甘いものを食べ終え、裏路地に迷い込んでいた。


キャンディス(嬉しそうに):「あー……いっぱい食べちゃった! 美味しかったわ! さて、あのちびロイドはどこに行ったかしら?」


彼女は気づいていないが、グラシアとモルアが彼女を追い詰めていた。


モルア(叫んで):「そこまでだ!」


キャンディス:「えっ!? 私!? そんな! 私、何か悪いことした!?」


モルアは隣のグラシアに目をやった。グラシアが頷く。


グラシア(冷たく):「無駄よ。私たち騙されないわ」


キャンディス:「ど、どういうこと!?」


モルア(にやりと):「とぼけるのはやめろ、悪魔め!」


キャンディスは驚いて口を開け、それから不気味に笑った。


キャンディス(笑いながら):「ふふ……ふははははは!!」


グラシアは即座に杖を構え、モルアは戦闘態勢を取った。


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第75章 死とのタイムレース 終

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