剣の聖女
デュラン高校スタジアム内。観客が興奮で叫び、口笛を吹く。いくつかのグループが活気ある応援団を組み、バナーを振り、クラブ代表の名前を叫ぶ。他のグループはすでに賭けを始め、笑いながら誰が勝つか議論している。
アナスタシアがステージで手を叩き、騒ぎを静める。
アナスタシア:「みなさん! これよりキングズ・トーナメント一回戦を開始します! 対戦相手はランダム抽選なので、誰と当たるかは運命の女神次第です!」
レオンが対戦抽選を起動。名前が巨大ディスプレイ上で高速回転。
スタジアム全体が静まり返り、すべての目が大きな画面に集中。
アナスタシア:「さて、キングズ・トーナメント一回戦は……」
回転が止まる。二つの名前が固定される。
アナスタシア(明るく):「不敗のアストン・ヘイルファイア、1-B VS 剣道部エース——剣の聖女:海島トモエ、2-B!!」
僕は待機エリアで息を飲み、重いため息をつく。
アストン:「マジかよ……」
対面の準備室で、巴が最後の素振りで木刀を空に切る。
トモエ:「よし……準備完了!」
二人の闘士がアリーナに出て、リングを挟んで対峙。
アナスタシア(元気よく):「Aサイドから! 無敗の新星で、負け知らずの闘士! 身長172cm、体重61kg! ようこそ、不敗のアストン・ヘイルファイア!!」
観客が興奮の叫びを上げる。
アストン(慌てて手を振り):「期待を高めすぎないでください!」
アナスタシア:「そしてBサイドから! 全国大会優勝の剣道部エース! 身長167cm、体重52kg! ようこそ、剣の聖女:海島トモエ!!」
剣道部員たちが木刀を高く掲げ、整然とした応援で叫ぶ。
トモエが彼らに向かって微笑み、ゆっくり息を吐く。瞳が静かな決意で鋭くなる。
アストン:「まさか初戦が全国優勝の剣道部エース、海島トモエ相手とは……複雑な気持ちです、先輩。」
トモエ:「君が噂の不敗のアストン・ヘイルファイアか……君との試合、楽しみにしていたよ! そして、フェアに戦おう、アストン!」
審判:「両者、準備はいいか?」
アストン&トモエ:「はい。」
二人が開始位置に移動。
アナスタシア(手を高く掲げ):「キングズ・トーナメント一回戦、スタート!!」
開始の鐘が響き渡る中、巴が完璧な教科書通りの剣道構えを取る。木刀をしっかり構える。
トモエ:「来なさい、アストン……」
僕は彼女の構えを慎重に観察。
アストン:「隙が見えないな、先輩……」
トモエがニヤリと笑い、足を一歩前に出す。
トモエ:「なら私が先手を取る!」
彼女が効率的に前進。構えは崩さず、バランスを保つ。
アストン:「さすが全国優勝……」
トモエ:「海島流:滝!!」
彼女が力強く、制御された弧を描いて木刀を振り下ろす。ガードは完璧。僕は剣で受け止めるが、巴の効率的な一撃の重さは予想以上。
アストン(目を見開く):「これは……!?」
トモエ:「まだよ! 海島流:川!」
彼女が流れるように連続した掌打へ移行。僕はすべて受け止めるが、徐々にリングの端へ追い込まれていることに気づく。
アストン:「まずい!」
トモエ:「逃げ場はないわ! 海島流:津波!!」
彼女が木刀を高く掲げ、壊滅的な一撃を溜める。
僕はニヤリ——ようやく隙を見つけた。
アストン:「迅足!」
一瞬で彼女の死角に滑り込む。
トモエ:「なっ——?」
彼女の全力の一撃が目標を外し、リングの壁に激突。衝撃で腕が震える。
僕は黄金の機会を逃さない。彼女のガードの隙に木刀を振り下ろす。
アストン:「フラシュ・スラシッユ!」
だが巴は腕の震えにもかかわらず怯まない。
トモエ:「海島流:受け身!」
彼女が僕の振り下ろしの方向に体を動かす。手加減した軽い一撃でも、彼女をリングの向こうへ飛ばす。
アストン:「何!?」
トモエが完璧に着地し、構えをリセット。
アストン(心の中で):「さっきの一撃……当たったはずなのに、まるで羽に当たったみたいに感じなかった……」
トモエが構えに戻り、僕に微笑む。観客は信じられないという顔。
トモエ:「混乱してるでしょ?」
アストン:「驚いてるよ、先輩……あんな技が人間技だとは思わなかった……」
トモエ:「あら、何が起きたもうかわかったの? さすが不敗!」
アストン(笑顔):「先輩の方がその称号にふさわしいと思ったけど……」
僕は剣を構え直す。
トモエがニヤリと笑い、再び前進。
トモエ:「海島流:激流!」
彼女が激しい連続の振り下ろしと突きを放つ。僕はすべて精密に防御。
アストン:「アブソルート・パリー!」
僕は彼女の攻撃をピンポイントで受け流し、最後に最後の振り下ろしを上へ弾き、ガードを完全に開く。
トモエ:「なっ!」
アストン:「これで終わりだ! クロス・スラシッユ!」
二度の連続した斜め斬り——だがトモエはすでに動いていた。
トモエ:「海島流:受け身!」
彼女が完璧なタイミングで後ろにずれ、衝撃を最小限に抑える。
トモエ:「危なかったわね、アストン……」
アストン(目を見開く):「まさか……二撃受けても無傷で立てるなんて?!」
観客がさらに大きな歓声で両者を応援。
観客席でエリセナとグラシアが試合を集中して見つめる。エリセナが歯を食いしばる。
エリセナ:「もう〜……なん彼女がで倒れないの!? アストンが直撃したのに!」
グラシア:「彼女の防御技よ、エリ……アストンが剣で打った瞬間、彼女は振り下ろしの方向に体を効率的に動かしてる。」
エリセナ:「えぇ? そんなの人間技なの!? 偶然じゃない!?」
グラシア:「三回もやってるから……偶然じゃないわ。」
エリセナ(心配):「じゃあどうやってアストンが勝つの?」
グラシア:「それは私たちの理解を超えてるわ。私たちは魔術師だもの。」
エリセナ:「ならモルアさんを呼ぼう!」
グラシア:「いい考えね。」
二人はすぐにモルアに電話。モルアはたこ焼きの大皿を食べている最中。
モルア:「うむ! 美味しい! あ、電話? リシか?」
食べながら通話を受ける。
エリセナ(電話越し):「モルアさん! 助けて! スタジアムに来て!」
モルア:「ああ、エリか……スタジアム? 混んでるみたいだけど。何があったの?」
エリセナ:「キングズ・トーナメントよ! 学校の王を決める格闘トーナメントみたいな……」
モルア(興奮):「格闘トーナメント!? なんで早く言わないの!? 今すぐ行くぞ!」
エリセナ:「待って、モルアさん……まだ説明が……」
モルアが電話を切る。
エリセナ:「もう〜……」
グラシア:「心配ないわよ。彼女なら数秒で来るから。」
その言葉通り、モルアが迅足で空から飛び降りる。観客が息を飲む中、彼女がエリセナとグラシアの席の後ろに優雅に着地。
モルアがすぐに僕が闘士の一人だと気づく。
モルア(興奮):「もう始まったか?!」
グラシア(ほほ笑む):「ほらね…」
エリセナ: 「あ、ほんとだ…」
モルア:「あれアストン!? あの子、苦戦してるみたいね……」
エリセナ:「モルアさん? 一目でわかったの!?」
グラシア:「さすが経験豊富な闘士……」
三人は試合を続ける。僕の攻撃はトモエの受け身で完璧にカウンターされ、トモエの攻撃は今や直撃し始める。
アストン:「まずい……このままじゃ長く持たない……」
モルアが突然解決策を思いつく。
モルア(大声で叫ぶ):「何やってんだ、バカ弟子!!」
エリセナ&グラシア(驚き):「え!?」
僕が馴染みの声に気づき、驚いて顔を上げる。
アストン(驚愕):「し、師匠!?」
モルア(叫び):「剣を捨てて彼女を倒せ!!」
アストン(心の中で):「剣を捨てる? ああ、なるほど!」
僕は木刀を離す。観客が諦めたと思ったのかざわつく。トモエが眉を上げる。
トモエ:「私を侮辱する気? 素手で私に勝てると思ってるの?」
アストン(微笑む):「逆だよ、先輩……剣士に剣で勝負するのは、最善の手じゃないって気づいたんだ……」
トモエ:「は? 意味不明よ! 剣を拾いなさい!」
アストン:「大丈夫だよ、先輩……実は今の方が自信あるよ。」
僕は拳を握り、格闘技の構えを取る。
トモエ:「馬鹿もの! 病院送りになっても知らないわよ!!」
彼女が前進。
アストン:「心配ないよ、先輩……僕は、病院送りになるつもりはないから。」
トモエ:「問答無用よ!くらえ! 海島流:津波!!」
アストン:「守護亀甲!」
僕は両腕を交差。巨大な亀の甲羅のシルエットが現れ、巴の全力の一撃を受け止める。
トモエ:「何っ!?」
アストン:「まだだ、先輩! 吠える虎拳!」
トモエ:「くっ!」
彼女が木刀で僕の強烈な拳を受け止めるが、僕は即座に追撃。
アストン:「飛龍拳!」
上昇する龍のシルエットが輝き、上段突きが彼女の木刀を飛ばす。
トモエ:「そんな! 私の剣が——」
僕は低く足払いで彼女のバランスを崩す。
トモエ:「うわあっ!」
彼女が倒れかける。
僕は肩を掴んで支える。トモエが固まり、僕の顔が近いことに気づく。
アストン(優しく微笑む):「大丈夫ですか、トモエ先輩?」
巴が声に我に返る。顔が真っ赤になり、立ち上がろうともがく。
巴(慌てて):「ア、ア、アストン!? 何を——!? 離して!」
アストン:「あ、すみません……」
深呼吸した後、巴は落ちた木刀を拾い、しばらく抱きしめて考えを整理。
そして突然手を上げる。表情は読めない。
トモエ(静かに):「私……負けを認めます……」
アストン(驚き):「え?」
観客:「え?」
全員:「えええええ!?!!」
審判が巴の負けを認め、彼女は体調不良で続行できないと事務局に伝える。
アナスタシアの声がスタジアムに響く。
アナスタシア:「それでは、一回戦の勝者は……不敗のアストン・ヘイルファイアだ!!」
観客は最初困惑するが、トモエが優雅にアリーナを去る姿を見て温かい拍手を送る。
まだ何が起きたかわからないまま、僕は彼女を追いかける。
アストン:「待ってください! トモエ先輩!」
トモエ(真っ赤になって):「ア、アストン!? なんで追いかけてくるの!?」
アストン:「ただ気になって……なんで負けを認めたの? さっきの試合、君は体調不良じゃなかったよね……」
トモエ:「あ、あなたに関係ないでしょ!」
アストン:「教えてください、トモエ先輩!」
僕の決意を見て、彼女は少し心を開く。
トモエ:「くっ……実は……試合中は私、完璧な状態だったわ……」
アストン:「じゃあなんで?」
トモエ(さらに赤くなって):「それは……あなたのせだから! あなたが……あんなことした後……私……」
アストン:「僕が何を?」
トモエ(完全に慌てて):「この生意気な!! これ以上は絶対言わないわ!!」
彼女が振り返って走り去る。
アストン:「先輩!」
僕は無力のため息をつく。
自分の更衣室で、フリックが僕の勝利発表を聞いてニヤリ。
フリック:「当然の結果だな、俺のライバル……」
試合を全部見たセトレが、怒りで拳を握る。
セトレ(苛立ち):「あの女たらし野郎!! 俺の潜在的なレディを口説くな!!」
僕が更衣室に戻る途中、エリセナ、グラシア、モルアがすでにドアの外で待っている。
エリセナ:「勝利おめでとう、アストン!」
モルア(誇らしげに):「さすが私の一番弟子だな!」
グラシア:「剣の聖女に何発も打たれてボロボロなのに、彼女と楽しそうだったわね。」
アストン:「えっ!?」
エリセナ:「グラシアの言う通りよ! あなた、彼女にイチャイチャしてたんでしょ!」
アストン:「イチャイチャだと!? そんなつもりじゃ——」
モルア:「このバカ弟子め……スレイヤーズ以外の女とイチャイチャするなって、私が言ったでしょ……」
グラシア(慌てて):「何て言ったの!?」
アストン:「待って! そんなこと言われた覚えはないよ!」
モルア(ニヤリ):「もちろん言ってないわ! 今言ったんだから!」
アストン:「何だって——」
エリセナ(怒り):「アストォン!」
アストン(震え):「何が起きてるかわからないけど……ごめんなさい!」
僕は振り返って走る。
グラシア:「あ……逃げた……」
エリセナ:「待ちなさい! アストン!」
彼女がすぐに追いかける。
モルア:「ははは!! なんか楽しいわね!」
彼女が大きな笑顔で追いかける。
アストン(まだ走りながら):「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!!」
一方、観客が再び歓声を上げる。二回戦が始まる。
――
第65章 剣の聖女 終




