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1/3時間  作者: 藤崎ユキオ
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キングス・トーナメント

翌日、来場者が校庭を埋め始め、生徒運営の屋台は笑い声と賑わいで活気づく。空気には新鮮なスナックの香りと興奮が混じる。


生徒会室でアナスタシアが席から立ち上がり、制服を整えて自信たっぷりに笑う。開会式の準備万端。


アナスタシア:「よし、みんな! 開会式の時間よ! 私が離れてる間、よろしくね!」


ウィル&ユズ(揃って):「はい、会長!」


マヤ(温かく応援):「がんばってね、アナス!」


アナスタシア(拳を握り):「うん! がんばる!」


レオンに護衛され、彼女は自信満々の笑顔で部屋を出る。


僕はそれを見送り、驚いて眉を上げる。


アストン:「会長……ちょっと変わってるけど、いざという時は真剣なんだな……」


マヤ(くすくす):「ふふ……そう言われると、そうね〜」


パール(眼鏡を押し上げ):「さすがゴルデフォート家の後継者……」


アストン:「ゴルデフォート家?」


パールが大きな眼鏡越しに目を細める。


パール:「まさか知らないの?」


アストン(気まずく笑う):「あはは……すみません……」


マヤ(優しく微笑む):「いいのよ、アストン。私、アナスの幼馴染として、ゴルデフォート家のことを説明してあげる……」


マヤが穏やかに歴史を語る。ゴルデフォート家が遺物研究と発掘で画期的な発見を重ね、繁栄と富を築いたこと。


アストン(感嘆):「遺物!? かっこいい!」


マヤ:「そうよ! それだけじゃないわ。ゴルデフォート家はこの街でも有数の資産家なの! シルヴェストン・エンタープライズやグレッグソン・グループと一緒に、市民の繁栄を支えてきたのよ!」


パール(頷く):「本当よ……うちのパパもゴルデフォート家の警備責任者だったし、その給料だけで私と妹をこの学校に入れられたんだから。」


アストン(微笑む):「なるほど……よかったね。」


ゴルデフォートという名前が、なぜか頭の片隅でかすかに響く。でも思い出せない。


校庭のステージ上。アナスタシアがマイクをテスト。クリアな音が響き、来場者と生徒の注意を一瞬で集める。


アナスタシア(明るく):「みんなさん! デュラン高校学園祭へようこそ! 遊びに来てくれて本当にありがとう!」


レオンがそばで小さなメモカードを持ち、重要なポイントを忘れないようサポート。


アナスタシアが咳払い。


アナスタシア:「学園祭のテーマについて……私たち生徒会は、この学校の現オーナー、セトレ・グレッグソン氏の支援を得て、決定しました!」


セトレの名前が出た瞬間、観客がざわつく。


男子生徒1(囁き):「え、あのナルシストのセセレがこの学校のオーナーだって?」


男子生徒2:「親の力で学校乗っ取っただけじゃん?」


男子生徒3:「金持ちの甘ちゃんかよ……ダサ……」


かつてセトレのファンだった女子たちも、噂を聞いて黙る。彼の暴走が恐怖を広めた記憶が蘇る。


アナスタシア(ニヤリ):「テーマは……格闘トーナメント! 名付けて『キングス・トーナメント』!!」


観客が再びどよめく——困惑する者、すでに興奮する者。


来場者1:「格闘トーナメント!? マジで熱い!」


来場者2:「これはヤバいぞ!」


アナスタシアがトーナメントの方式、ルール、優勝特典を説明:『デュラン高校の王』の称号、金色のバッジ、豪華賞金。


来場者1:「本当かよ!?」


来場者2:「うおおお!! 俺も出たい!!」


歓声と叫びが爆発。アナスタシアが片手を上げ、静寂を呼び戻す。


アナスタシア(燃えるように):「その熱、最高よ……! 時間は無駄にしない! さあ、パーティーを始めましょう! キング・トーナメント、開幕!!」


観客が大歓声で拍手し、各アトラクションへ散っていく。


レオン(静かに誇らしげ):「素晴らしいスピーチ……さすがアナスタシア様。」


アナスタシア(笑顔):「ありがとう、レオン! 今日は忙しいから、しっかり準備してね!」


レオン:「はい……お任せを。」


生徒会チームは三手に分かれる:


アストン、ウィル、柚子がフィールドパトロールチーム。


マヤとパールが司令室でイベント進行管理。


アナスタシアとレオンが地元テレビ・新聞の取材対応。


ウィルが胸を張り、三人で賑わう祭り会場へ出る。


ウィル:「先輩として俺がリードする! 頑張ろう、アストン! 柚子!」


アストン&ユズ(揃って):「はい、先輩!」


巡回中、食べ物屋台に大勢の群衆。激しい牛丼早食い大会が開催中。


アストン(目が輝く):「牛丼早食い!? 僕も出たい!」


ウィルがしっかり肩を押さえる。


ウィル:「ダメだよ。僕たちはみんなが安心して楽しめるよう見守るのが仕事だ。楽しむのは後でね。」


アストン(悲しげにため息):「わかりました……」


突然、大会が終了。大きな歓声。


審判(大声):「優勝! 27杯完食! 底なしの胃袋を持つ謎の美少女! モルア・リー・シンさん!!」


僕の顎が落ちる。


アストン(驚愕):「し、師匠!?」


モルアが賞金を手にし、すぐに首を振って笑う。


モルア(笑顔):「無料でこんなに食べられて、もう十分よ! 賞金は持ってて!」


観客が感動し、雷のような拍手。


アストン(感動):「さすが師匠……!」


パトロールを続ける。


アストン、クリスタルを見つける。ギャル友達と一緒に楽しそうに笑っている。


クリスタルが僕の視線に気づき、大きく手を振る。


クリスタル(満面の笑み):「アストン! いた!」


駆け寄り、友達もついてくる。


アストン(笑顔):「やあ、クリスタル……楽しんでるね。」


クリスタル(頷く):「うん! アストンと一緒に過ごしたかったな〜。生徒会のお仕事で忙しいんだもんね。」


アストン(気まずく):「あはは……」


友達がすぐ割り込む。


ピンク髪ギャル:「これがクリスのカレピ?」


金髪ギャル(身を乗り出す):「え〜……なんか可愛い子〜! めちゃタイプかも!」


アストン(慌てて):「か、可愛い!? 僕が!?」


金髪ギャル:「アストン、でしょ? 私はアリッサ!よろ!今度遊ぼうよ!」


アストン:「ア、アリッサさん! よろしく!」


黒髪ギャル(くすくす):「うわ……アリッサ、容赦ないね。」


クリスタルがぷくっと頰を膨らませ、すぐに間に入る。


クリスタル:「ちょっと! 私のカレピに手を出さないで! アリッサ!」


アリッサ(からかう):「めんご、クリス! 反応が可愛すぎてさ〜……」


クリスタル:「ダメです!」


四人でワイワイ盛り上がる。


ウィルが僕の肩にがっしり手を置く。笑顔が少し怖い。


アストン(緊張):「せ、先輩?!」


ウィル(笑顔で威圧):「仕事の続きだ、新入り。」


アストン(汗):「は、はい!」


柚子が後ろで小さく笑う。


時間が経ち、スタジアム前に人だかり。トーナメント登録が始まるが、最低基準をクリアできる生徒はわずか。


アナスタシアに個人的に参加を頼まれた僕は、試合に備える。


アストン(謝罪):「ごめん、ユズ、ウィル先輩……」


ウィルが肩をポンと叩く。


ウィル:「いいぜ! 残りは俺たちに任せろ! 勝ってこい! 応援してるぞ!」


ユズ(頷く):「うん!」


アストン(笑顔):「ありがとう、ユズ! ウィル先輩!」


10分後……


登録受付で怒鳴り声。


男子生徒(叫び):「なんでだよ!? このイベント、生徒のためのものだろ! 俺を出せ!!」


柚子が受付担当でパニック。隣のウィルは冷静に微笑む。


柚子(緊張):「す、すみません! でもルールで……」


ウィル(穏やかに):「残念だけど、君の現在の実力ではキング・トーナメントの最低基準に達していないんだ。もっと鍛えて、来年また挑戦してくれ!」


男子生徒(激昂):「は!? 何言ってんだ!? このチビをぶっ潰してやる!!」


ユズ(パニック):「ヒィィ!」


そこへマヤとパールが現れる。


パール:「何の騒ぎだ?」


柚子(安心):「パールちゃん! 助けて!」


男子生徒(まだ怒り):「こいつらがトーナメントに出してくれないんだ! 俺だって賞金も欲しいんだよ!!」


マヤが優しく近づき、いつもの母性的な温かさで。


マヤ(優しく):「よしよし……大声で話すのはダメよ……」


男子生徒(急に動揺):「え……?」


パール(きっぱり):「ルールを設けた理由があるの! まず、質の高い試合にするため……賞金目当ての雑魚は入れない。そして……」


マヤ(柔らかく):「二つ目に、基準に満たない子が出たら大怪我するかもしれない……心の傷にもなるわ。あなたが傷つくの、見たくないのよ。わかるよね?」


優しい表情に、頑固な少年の怒りが溶ける。感嘆して頷く。


男子生徒しおらしく:「は、はい……お母さん……じゃなくて、先輩!」


マヤ:「いい子ね……」 *肩をポン


少年は呆然と去る。マヤがチームにウィンク。


パールと柚子が同時にため息。ウィルがニヤリ。


ウィル:「さすがマヤ先輩!」


ユズ(涙目):「マヤ先輩! ありがとう……怖かった……」


マヤ(温かく):「よしよし、柚子ちゃん。」


彼女が優しく頭を撫でる。


スタジアムの更衣室。僕は剣道着に着替え、木刀を手に取る。長く息を吐き、視線を鋭くする。


アストン:「よし……」


ドアが開く。エリセナとグラシアが入ってくる。


エリセナ:「アストン!」


アストン(笑顔):「二人とも!」


グラシア:「本当に参加するんだね。」


アストン(くすくす):「うん、なんか巻き込まれて……」


エリセナ:「賞金のためじゃないよね?」


アストン:「もちろん! 実は……」


僕は本当の参加理由を説明。


エリセナ(静かに):「セト……のためなんだ……」


グラシア:「よく考えた?」


アストン(しっかり頷く):「うん……」


エリセナとグラシアが理解し、応援の笑顔。


グラシア:「じゃあ、行ってきなさい! 見せてやりなさいよ!」


エリセナ:「がんばって、アストン!」


アストン:「うん! ありがとう、エリ、グラシア!」


コーナーのモニターで、アナスタシアがメインステージから参加者と対戦カードを発表。


アナスタシア(興奮):「ついに!! 生徒の中から最強の8人を集めました! みんな! 栄えある闘士たちを紹介するわ!!」


スタジアムが大歓声。


アナスタシアが一人ずつ紹介。


アナスタシア:「六人目! どの部にも所属なし! しかし剣技と格闘技は無敵!! ようこそ! 不敗のアストン・ヘイルファイア、1-B!!」


雷のような拍手と歓声。


アストン(驚き):「な、何!?」


グラシア(からかう):「不敗、ねえ……」


エリセナ(遊び心):「がんばって、不敗さん!」


二人が笑いを堪え、観客席へ向かう。


アナスタシア:「七人目! 全員最強を目指す者! 鍛え抜かれた頑強な肉体と折れない闘志! 天に愛された闘士! ようこそ! フリック・ストームヘッジ、1-C!!」


フリックは更衣室で一人、目を閉じて瞑想。


アナスタシア:「そして最後の一人! かつて輝くデュラン高校の王子! 容姿と魅力だけで女子の心を掴む! だがここキングス・トーナメントで、王子はアリーナに降臨! 名誉を取り戻し、ずっと欲しかった称号『デュラン高校の王』を掴むために! ようこそ!! セトレ・グレッグソン、1-A!!!」


観客が興奮で叫ぶが、多くの生徒が冷ややかな視線。


生徒A:「また暴走したらどうすんだよ……」


生徒B:「俺らも巻き込まれるかも……」


更衣室でセトレが拳を握り、目標に集中。


セトレ:「フム、これこそ俺の最高の舞台だ……」


同時刻、別の部屋で二つの声が重なる。


セトレ&フリック:「アストン・ヘイルファイア……今回は俺が勝つ!」


――


第64章 王のトーナメント 終

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