第60話
第60話
<神楽のグループ:石柱で囲まれた境内(600平米):神社の照明の中に3人>
都筑 「ここは『二鳥神社』となっていますね」
「神楽様、此処に拠点を築きますか?」
神楽 「風雅さんはどう思います?」
風雅 「私は反対だ」
〈境内に篝と御影が入ってくる:3人が御影に視線を向ける〉
御影 「C地点へ向かいましょう」
神楽 「はい。そうですね」
風雅 「そうだな」
<油留木のグループ:境内:祠の前に3人>
妹 「ここは『六鳥神社』だって石にも彫ってあったけど、」
「この数字に意味が有るのかなぁ」
油留木「さぁ、どうだか。有ると思えば有るし、無いと思えば無いんじゃない?」
妹 「何・・それ」
油留木「神様だって忙しいのよ」
「だから、『謎掛け』をして時間稼ぎをするんだって言われてるの」
安茂里「外の世界には『多数決』という概念が無いそうです」
「それ故、神は『全ての属』の『全ての者』の声を聞き、」
「『異』有る者に対しては、」
「その者が納得するまで『賽』を振り続けるとされます」
「こうする事で『世界の総量』が変化するのを防げるのだと」
油留木「『時間』は神様がサイコロを振るのに必要な『引換券』とも言われるわ」
「不平や不満を訴える者には『時間』が遅く流れ、」
「逆だと早く行動できるようになるの」
安茂里「人間を含む生物等の『第5属』は時間の流れが比較的早い部類ですが、」
「恒星や銀河等の上位属は何時も不平不満を訴える為、」
「変化するのに億単位の年月が必要になるよう『組分け』が行われたそうです」
妹 「ふうん。そうだったんだぁ・・」
「って、こんな会話普通にしてるなんて、私もう 一般人には戻れない気が・・」
<姉のグループ:神社の駐車場に歩いて入ってくる3人:1600平米の敷地>
女の人「誰も居ませんね。車だって一台も見掛けないし」
朱雪 「どうやら、かなり大きな力が働いているようです」
鈴音 「でも、誰かに監視されているような気配は感じないわね」
〈3人は御手洗へ移動〉
女の人「水はちゃんと出てるみたいですね」
鈴音 「そうね」
朱雪 「ここは『五鳥神社』。8つある神社の中で2番目の大きさです」
女の人「うーん。鈴音さんは この神社を探索すべきだと思いますか?」
鈴音 「さあ、どうかしら」
「探っても新たに謎が増えるだけで答えには辿り着けないかも知れないわよ?」
女の人「そうですね。駐車場に戻って御影さんを待ちましょう」
〈5分後。駐車場でタクシーと合流(助手席に御影)〉
御影 「皆さん、私と一緒にC地点へ向かいますか?」
女の人「はい」
<油留木のグループ:神社を出る3人>
油留木「次はG地点に向かうわよ」
妹 「また『境界』を通るんですか?」
安茂里「調査対象は全部で7ヶ所、半径1500メートルの範囲に収まっています」
「そして、その全てに境界があり、其々異なる時間で動いています」
妹 「神社は8ヶ所あるんですよね?」
油留木「まず、7ヶ所の神社を廻って情報を集め、8ヶ所目に行く」
「この地域の構造が把握できたら、絵画の場所で霹靂神本人に渡せば作戦は成功よ」
「私達は、『影の世界』の地図をまだ持ってないの」
「自分達と密接な関係があるのに、何も分からないんじゃ『怖い』でしょ?」
妹 「でも、油留木さんと安茂里は、何度も『影の世界』に行ってるんじゃ・・」
油留木「それは、場所を選んでるからっ」
「現に、こうやって大きな道路に出てるのに誰とも会わないし、車も走ってない」
「これは、私と安茂里の能力を超えているわ」
<タクシー(走行中):後部座席右から姉・朱雪・鈴音>
女の人「御影さんって、領域内の『総量』を合わせたり変えたり出来るんですか?」
御影 「はい」「兄も同じ能力を持っています」
女の人「それなら、『影の世界』の どんな場所にも行けますよね」
御影 「いいえ」「この世界はそんな単純な構造ではありません」
〈道路や歩道に車や人の姿が現れ始める〉
女の人「あれっ、人が居ますね。っという事は元の世界に戻って・・」
鈴音 「違うわね。私達が一時的に この世界の『流れ』に乗ったのよ」
<神楽のグループ:街の交差点近くにある 小さな神社(400平米)>
都筑 「1時間経ちました。今、この領域内と同じ11時15分です」
〈目の前の道路にタクシーが止まり、5人が降りてくる〉
女の人「また、人と車が消えてしまいましたね」
御影 「私達は、まだ一部しか干渉できない状態です」
〈8人が合流〉
風雅 「御影、ここは『七鳥神社』だったよ」
御影 「そうですか。元の世界でも同様に発見されたと考えるべきでしょう」
都筑 「先ほど、この神社に拠点を築きました。此処は元の世界と同じ時間です」
神楽 「タイムリミットまで5時間を切りました。次の行動を決めましょう」
女の人「一つ聞いておきたいんですが、」
「この場所の『七』という数字に意味はあるんですか?」
「8つの神社は『8つの属』に対応していて、」
「B地点は『五』だったから、第5属の我々に関係していると考えると此処は・・」
鈴音 「もしかして貴女、肝心な所を聞いてないんじゃない?」
女の人「えっ?」
朱雪 「これは神話の伝承です」
「三元神の一人『借りる力』を司る神は、」
「第7属と第8属の『申入れ』を聞き、莫大な対価と引き換えに、」
「その者の中から選出された代表者に第5属としての『生』を許しました」
神楽 「『人間』は昨今、第7属と第8属に大きく関与できるだけの力を得ました」
「これが、三元神が彼等の『申入れ』を聞いた理由とされます」
女の人「ひょっとして、私達が当たり前だと思ってる習慣や考え方とかが・・・」
<油留木のグループ:現地時間 正午:無人の商店街を通り神社へ入る3人:500平米>
妹 「電気も点いてるし、食べ物だって店先に並んでいるのに誰も居ないなんて・・」
「そうだ、喉が渇いたからジュースでも飲まない?」
安茂里「姉様、それは黄泉戸喫に該当する可能性があります」
妹 「えっ、そんなあ」
油留木「でも例外として『水』だけは許されるとも聞くわよ」
「もし、その世界で空腹を感じる事無く、」
「純粋に水だけを欲する場合は見逃されるんですって」
〈社務所前にある 看板へ移動する3人〉
妹 「ここは『一鳥神社』」
「『二鳥神社』から『八鳥神社』までの方角と距離が書いてあるね」
安茂里「一覧に4番目、『四鳥神社』の記載がありません」
「此方の世界では『四』を隠すようです」
油留木「・・さてと、約束の時間まで少しあるけど、アナタ達どうする?」
妹 「私、商店街を見て回りたい」
安茂里「姉様、私も ご一緒します」
油留木「じゃあ、時間がくるまでアナタ達が先頭ね」




